『樹海伝説 騙しの森へ』 折原 一 7点
『平井骸惚此中ニ有リ』 田代裕彦 7点
『ブラック・コーヒー ≪小説版≫』 アガサ・クリスティ 7点
『まろうどエマノン』 梶尾真治 8点
『幽霊列車』 赤川次郎 7点
『樹海伝説 騙しの森へ』 折原 一 祥伝社文庫 
奥深いその森に棲む一家の主が、家族を斧で惨殺し失踪。数年後、事件を究明するため、若者が一人で森に分け入り遭難。そして今、若者が遺した克明な手記「遭難記―魔の森の調査報告書」を片手に、男女二人の大学生が樹海に足を踏み入れた…
大学生のカップルが遭難記と言う手記を頼りに、樹海の奥の惨劇のあった館を訪ねるというもの。「折原さんだからきっと騙しがある!」と気合いを入れて読めば、案の定、三人称の文章と、手記の文章、さらに一人称の文章の三つが入り混じる状態。騙されないぞと思いつつ、いろいろな想像の結果、あれ…? 予想以上の騙しはなく、ミステリというよりもホラー的なオチで落ち着いた終わり方でした。うーん、身構えすぎたかな?
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『平井骸惚此中ニ有リ』 田代裕彦
富士見ミステリー文庫 
時は大正十二年。探偵小説の礎が築かれ始めた時代に、一世を風靡する探偵小説家―――その名も平井骸惚。そこに、むりやり弟子入りを頼み込んだのは貧乏「書生っぽ」の河上太一くん。ご婦人の助け舟もあってなんとか居候の身となった河上くんでしたが、弟子とは認めてもらえずに先生には頭あがらず、娘の涼嬢には尻に敷かれる毎日。
そんなある日、先生の知人・池谷是人氏が不可解な自殺を遂げます。これは自殺じゃないね―――そう言う骸惚先生は「事件解決の折には弟子入りを認めよう」と河上くんに持ちかけるのです。俄然張り切る河上くんと涼嬢でしたが…
大正を舞台としたオーソドックスなミステリ。事件そのものは地味で、どちらかというと事件よりも、主人公の書生と、彼が弟子入りした作家家族とのやり取りを楽しむ部分が濃いかなとも。それでも、動機や密室に対する考え方がなかなか良い点を突いていて、ニヤリ。派手ではないですが、ライトって感じもそれほどなく、ちょうど良いのではないでしょうか。
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『ブラック・コーヒー ≪小説版≫』 アガサ・クリスティ
早川文庫 
晩餐後、科学者のエイモリー卿は家のものを一室に集めると驚くべき話を始めた。このなかに卿の極秘書類を盗んだものがいる。部屋を暗くしている間に密かに返すようにと。が、明かりが再びつくと、卿はコーヒーに入った毒で殺されていた! 混乱のなか、卿に緊急の調査を頼まれていたポアロが到着する…
小説版のやつです。元(?)が戯曲だけあって、閉鎖された空間で限りある登場人物たちの短期決着がつきます。人物同士のつながりと事件のつながりや、証拠や心証の聞き出しなど、やっぱり上手いなあと関心してしまいます。短くて単純と見えても奥が深いと言う感じ。なかなか純な推理小説を楽しませてもらいました。
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『まろうどエマノン』 梶尾真治 徳間デュアル文庫 
小学四年生の夏休み。父親が海外へ仕事で出かけるため、直樹は曾祖母の住む九州の御所船に行くことになった。そこで彼は、ながい髪に印象的な瞳、ジーンズをはき、手にナップザックを提げ、唇にタバコをくわえていた美しい女性―――地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶している少女・エマノンと出会った。
少年がエマノンと出会い、貴重な夏の体験をするという、ファンタジーとも取れる作品でした。ある程度展開は読めるんですが、それでも少年のけなげさに心打たれるものが… いい話でした、ちょっとほろりと、面白さと半分こ。
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『幽霊列車』 赤川次郎 文春文庫 
山間の温泉町へ向かう列車から八人の乗客が蒸発してしまった。前代未聞の難事件に取り組んだ中年警部は行く先々で推理マニアの女子大生と出くわす。捜査の邪魔だとカッカしていたオニ警部殿はいつの間にかこの美女にカッカ。二人のコンビがであった五つの事件―――
デビュー作。ミステリとしてはユーモアというよりもライト感覚あふれる作品という印象を受けました。非常にあっさりした部分があるからかも。謎自体には驚きなど特になく、流れのまま進んでいく印象も。ただ、いただけないのが微妙な濡れ場。まったくないほうがよっぽどいいと思うのに、なぜか中途半端な濡れ場シーンが必ずあって、おいおいおいおいとツッコミたくなる一瞬が。これでデビューしたんだなあと思うと、結構意外だったりします。今もそんなに変わっていないのではという点で。
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