『涼宮ハルヒの退屈』 谷川 流 7点
『かりそめエマノン』 梶尾真治 7点
『メシアの処方箋』 機本伸司 7点
『太陽の塔』 森見登美彦 8点
『フェイダーリンクの鯨 クレギオン2』 野尻抱介 8点
『涼宮ハルヒの退屈』 谷川 流 角川スニーカー文庫 
ハルヒと出会ってから俺はすっかり忘れた言葉だが、あいつの辞書にはいまだに”退屈”という文字が光り輝いているようだ。その証拠に俺たちSOS団はハルヒの号令のもと、草野球チームを結成し、七夕祭りに一喜一憂、失
踪者の捜索に熱中したかと思えば、わざわざ孤島に出向いて殺人事件に巻き込まれてみたりして。まったく、どれだけ暴れればあいつの気が済むのか想像もしたくないね…
ちょいと笑っちゃいました短編集。短編集ということで、短いだけ騒動の規模が小さく、ちょうどいいという感じが。あまりにもスケールが大きすぎると引く話も、こじんまりとしたレベルであれば笑い話、ドドーと盛り上がって一気にはじけるそんな感じで、最初の草野球など、めちゃくちゃぶりがよかったですね。最後の孤島はちゃんとミステリだったりもして。小ネタ、楽しいな、と。
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『かりそめエマノン』 梶尾真治 徳間デュアル文庫 
握りしめた掌の温かさ。どこかあやふやな、しかし確かにあったはずの記憶の断片。それは、孤児となった拓麻に残された、たったひとつの過去との絆だった。相手は、長い髪と大きな瞳を持った女の小。そして彼は出会う。地球に生命がうまれて以来の、膨大な記憶を受け継ぎ、ただ旅を続けている少女エマノン―――幼い頃に別れた、実の妹と。
めずらしく長編で、エマノンの兄が主人公。生まれるはずのない兄弟が何故生まれたのか? その彼の持つ能力とはなんなのか? 寂しさと孤独と、あいかわらずノスタルジーをあふれさせる物語です。なかんなかよかったですが、むなしさと言うか悲しさがあとを引く作品でした。
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『メシアの処方箋』 機本伸司 角川春樹事務所 
ヒマラヤで発生した氷河湖決壊。下流のダム湖に浮かび上がったのは古代の「方舟」だった――― こんな高地になぜ文明の跡が? いぶかる調査隊をさらに驚愕させたのは、内部から発見された大量の木簡だった。それらにはみな、不思議な蓮華模様が刻まれており、文字とも絵とも判然としなかったが、なんらかのメッセージを伝えているのは確かだった。一体、何者が、何を、伝えようというのか?
ヒマラヤに埋まっていた箱舟と謎の文字。それを解読し、救世主を生み出したときに、何が起こるのか。それがテーマです。このテーマ自体は面白いと思うのですが、全体的に進み具合がなだらかな傾斜なのが残念かなと。ゆっくりとゆっくりと、慎重に進んでいったかなと思うと、なだらかが平坦になり、一気に終わっちゃったかなと。あいまいさがあって、見せ場が少なかったように思えます。ちょっと残念でした。
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『太陽の塔』 森見登美彦 新潮社 
私は休学中の五回生という大学生の中でもタチの悪い部類に入る学生である。そんな私の日課は、私を袖に振った水尾さんの研究を行うことだ。そうして、だらだらと過ごす日々。だが、ある日そんな日常に亀裂が入った。
「これ以上彼女につきまとったら警察を呼ぶからな!」
突然現れた男はそう私に指を突きつけたのだ。しかし私はくじけず友人に彼のことを調べてもらうと、なんと彼も…
第15回ファンタジーノベル大賞に輝いた作品ですが、どの辺がファンタジーなんでしょ? いわゆる女っけのない男くさいオタクもどきな大学生が、クリスマスなんてくそくらえーと叫び、妄想し、凹む話、だったように思えますが。それでも、変なテンポがあり、笑えるんですよ。その笑いもまた爆笑とは違う、普段笑わないような笑いを。しかし、そんな男どもも哀れですが、ここに登場する女性も変です。萌えな要素もありますが、「やめとけ」と言いたいかも…
最後に、思わずうなった名言。
>「だって、俺によぅ、女なんて、俺が好きなんて、自然の理に反してるよぅ」
>「ダメだ。三次元だぜ。立体的すぎる。生きてる。しかも動いてる」
なんとなくわかるパニックぶり。青春だぁ。
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『フェイダーリンクの鯨 クレギオン2』 野尻抱介
早川文庫 
麻薬組織の追跡を振り切り、とある恒星系に逃げ込んだミリガン運送のロイドとマージ、そして新任航法士の少女メイ。愛機の故障による窮地から三人を救ったのは、ガス惑星フェイダーリンクのリングの上で暮らすコロニーの人々だった。しかし、星系政府が推進するフェイダーリンクの太陽化計画によって、かれらの居住地は消滅の危機を迎えていた。恩義に報いるため、ロイドらは一計を案ずるのだが…
やはり面白いというか、設定がしっかりとしてますよね。全然ハードSFでありながらも、読みやすいという。宇宙における真理、男の夢、恋心の芽生え、未知の生命体。いろんなものが詰め込まれすぎにならない程度のバランスで上手く機能しているSF。まさか、という展開に引きずられ、きれいな結末を迎える。一つの物語をぞんぶんに楽しませてもらいました。
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