『四季 夏』 森 博嗣 7点
『総理大臣のえる! 彼女がもってる核ボタン』 あすか正太 7点
『仏陀の鏡への道』 ドン・ウィンズロウ 7点
『名探偵は密航中』 若竹七海 7点
『フラッシュフォワード』 ロバート・J・ソウヤー 7点
『四季 夏』 森 博嗣 講談社ノベルス 
米国から帰国した真賀田四季は13歳。すでに、人類の中で最も神に近い、真の天才として世に知られていた。叔父、新藤清二と行った閉園間近の遊園地で、四季は何者かに融解される。
感想を書くのに困る作品です。書くと、いろんなネタバレになる暴露が盛り込まれていました。時期的には書かれていない時期だからかもしれません。例のごとく天才少女四季ちゃんの生い立ちですが、転機が訪れます。はたから読んでいる限りでは、某さんにあこがれ、なぞらえているようにも見えてしまいます。そして『F』が近づいています。『秋』が果たして『F』の前か後か、気になるところだったりもします。完結したときに、果たして出来上がるものが何なのか、それが楽しみですね。
▲
『総理大臣のえる! 彼女がもってる核ボタン』 あすか正太
角川スニーカー文庫 
健太は五年ぶりに幼馴染・のえるに出会った、バスジャックされたバスの中で。しかも、のえるは悪魔と契約し総理大臣になっていたのだ! 彼女は本能のおもむくままに国家権力を振り回し、周りを騒動の渦へと巻き込んでいく。
悪魔に「世界を支配する王になりたい」と言ったら、「実在するポストじゃないとダメ」と返され、総理大臣になった少女が巻き込む騒動話。まあ、子どもが「なんで○○なの」と大人に聞いて、「そうなってるからしかたがない」と返されるのを逆にしたパターン。子どもが法律をいじくりまくります。バカっぽくて、ある種理想で面白いです。すっきりそうかいにいきましょう。
▲
『仏陀の鏡への道』 ドン・ウィンズロウ 創元推理文庫 
ヨークシャーの荒れ野に隠栖していたニールの元に仕事が持ち込まれた。鶏糞から強力な成長促進エキスを作り出した有能な生物学者が、一人の姑娘に心を奪われ、新製品完成を前に長期休暇を決め込んだらしい。香港、そして大陸へ。文化大革命の余燼さめやらぬ中国で、探偵ニールが見たものとは。
序盤、恋にメロメロ、中盤、廃人、終盤、世捨て人という不幸をしょったニール・ケアリー君の活躍が描かれたシリーズ二作目。舞台は中国、ただ人を連れ戻すだけなのに、深みにどっぷりとといった感じ。なぜかいつもババを引かされ、裏のある仕事が回ってくるというのは、問題ありじゃないのかなとも思うんですが。さてさて、単純だけど奥が深いシナリオ、気が付いたら夢中です。面白い面白い。そして、この引きで終わっちゃいますかという。続きが気になる一冊です。これはこれで完結してますけどね。
▲
『名探偵は密航中』 若竹七海 カッパノベルス 
昭和五年七月。豪華客船・箱根丸は、横浜を出航、倫敦に向けて旅立った。しかし、船出早々、横浜で起きた奇妙な殺人事件の容疑者が、箱根丸に乗船していたことがわかり、大騒動に! さらに、男爵令嬢の逃亡事件、船内での殺人事件、幽霊船騒動等々… 箱根丸の"訳あり"の船客たちが引き起こす奇妙な事件ばかり。
船上を舞台とした連作短編。いくつかの独立したエピソードがあり、最後にそれが上手くまとまるもの。いや、あんまりまとまってないかもしれませんが。なんていうか、どことなく素人っぽい構成だったりするのもわざとでしょうか。悪意があるのかどうかもわからない話やら、猫が主人公の話やらいろいろ楽しめるのがミソですね。
▲
『フラッシュフォワード』 ロバート・J・ソウヤー
早川文庫 
全世界の人々が自分の未来をかいま見たら、なにが起こるのか? 2009年、ヨーロッパ素粒子研究所の科学者ロイドとテオは、ヒッグス粒子を発見すべく大規模な実験を行った。ところが、実験は失敗におわり、そのうえ、数十億の人々の意識が数分間だけ21年後の未来に飛んでしまった! 人々は、自分が見た未来をもとに行動を起こすが、果たして未来は変更可能なのか…?
数分間だけ未来へと意識が飛んだことで起こった奇跡と悲劇。意識のない間に飛行機は墜落し、手術を受けていた人々は命を落とした。未来を見た人と未来を見なかった人。その原因を作ってしまったかもしれない科学者が苦悩する、ということと、自由意志を持って未来を変えることが出来るかと言う、哲学的な部分がかなり大きな予想外のSFでした。実際、そういった部分が内容的には多く、時間の概念、自分がどうやって未来を見たかなどSF的な説明は非常に簡潔だったのが非常に残念ですかね。斬新なアイデアとかを期待していたので。また、最後gいつもどおりだなというのと、あまりにもきれいに収まっちゃったなというのが不満といえば不満かもしれません。時間をテーマに挑む、という作品とは微妙にずれた一冊でした。
▲
|