『時間泥棒』 J・P・ホーガン 8点
『とんち探偵一休さん 謎解き道中』 鯨統一郎 7点
『能面殺人事件』 高木彬光 7点
『おさかな棺』 霞 流一 8点
『蓬莱洞の研究』 田中啓文 7点
『時間泥棒』 J・P・ホーガン 創元SF文庫 
ある日、ニューヨーク市の時間がおかしくなりはじめた。全世界でもこの街でだけ、時間がどんどん遅れていくのだ。しかも街の場所ごとで遅れ方が違う。前代未聞の事態に著名物理学者が言うには「異次元世界のエイリアンが我々の時間を少しずつ盗んでいるのです」!? 議論は際限なく続くが、その間にも時間は本当になくなっていく。大騒動の顛末は?
実に単純で、アイデアの詰まったSFという感じ。いろんな場所によって違う時間の進み方、戸惑う人々、解決をエイリアンの性にするわけでもなく、「原因追求」を論理的にもっていこうとするその姿勢と、奇抜な発想にはただただ関心するだけ、といったところ。薄い本ということもあってか、そういった部分を簡単に読ませて、なおかつ「なるほどな」と思わせてくれたのに感謝です。
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『とんち探偵一休さん 謎解き道中』 鯨統一郎
ノンノベルス 
京でも賢才と誉れ高い建仁寺の小坊主・一休。少女・茜と茜の行方不明の両親を探す旅へと出た一休と新右衛門の三人は、難波、大和、伊勢へと――― だが三人を待ち受けていたのは不可解な事件ばかり。冴え渡る一休のとんち推理。やがて、旅の先に待ち受けるものは?
時代背景のせいか、一休のとんちというせいか、くだらないと感じるような解答もそれなりに「ほへー」と思ってしまったりします。鯨のネタが妙に一休のとんちにあっているのです。ですから、普通に楽しめて読めるし、次はどんな難題を一休はどう切り抜けるのだろうと、楽しみにしてしまったりもします。しかし、ここまで不可解な事件がおこるというの、なんというか「ありえねー」ですよね。って感じで読みましょう。
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『能面殺人事件』 高木彬光 双葉文庫 
次々と一族が死んでいく呪われた千鶴井家の当主泰次郎が、その行く末を案じて探偵作家高木彬光に善処を依頼する。だが、その翌日に泰次郎は密室で殺されてしまう。香水の微香漂う現場に不気味な鬼女の能面が…
おどろおどろした雰囲気で起こる連続殺人、もったいつけてます。密室やら見立てやら、説明的なんですが、読んでるとだんだんなにがなにやらって気持ちに。もっと純粋に事件解決ができないのかなと、昔の探偵小説に要求してしまいます。まあ、それなりに楽しめました。
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『おさかな棺』 霞 流一 角川文庫 
迷走と妄想の迷探偵・紅門福助の元に奇天烈な事件が飛び込んできた。依頼人の別れた夫が、セーラー服を着たまま、車に轢かれたというのだ。紅門は調査の過程で、予備校教師・柏葉に話を聞く。しかしその夜、柏葉は首が切断された死体として発見される。容疑者はリストラされた元講師。果たして? 四季折々、旬の魚づくしの連作短編集。
表紙のばかばかしさもさることながら、内容もいつもどおりのバカトリックでニヤリの嵐。しかも短編だから楽しさ倍増って感じです。タイにウナギにサンマにアンコウ、旬の魚はおいしそうだし、事件は面白いし、ついでに結末は突飛で実に楽しめました。新キャラクター登場にはいつも味な落ちが用意されてますよね。オススメ。
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『蓬莱洞の研究
私立伝奇学園高等学校民俗学研究会その1』
田中啓文 講談社ノベルス 
"常世の森"で続出する失踪事件、学園の秘密行事"蛭女山祭"中に現れる巨大な怪物、合宿中のいわくありげな旅館で発生する連続殺人! 私立伝奇学園民俗学研究会を次々に襲う理不尽な事件に古武術の達人女子高生諸星比夏留と民俗学の天才高校生保志野春信が挑む。
伝奇もどき小説で、学園小説で、駄洒落小説。妖しげな研究会と、ひと癖もふた癖もある先輩たちというイロモノが巻き起こす騒動というか、事件というか。そしてなによりも主人公が大食いで回転する凶器。最後はいつもものすごい技を披露してくれて、それがまた笑えたりします。なんだかわからんですが、意外と面白かったです。最後の話は、まさに「かまいたちの夜」のサブシナリオみたいな感じに、道から外れた「怪奇編」ってな感じですが、いかがでしょう。
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