『完全犯罪に猫は何匹必要か?』 東川篤哉 7点
『走れ!神秘の大森林 新ソード・ワールド・RPGリプレイ集7』 秋田みやび 7点
『やっとかめ探偵団とゴミ袋の死体』 清水義範 8点
『番号をどうぞ』 星 新一 7点
『サマータイム』 佐藤多佳子 7点

『完全犯罪に猫は何匹必要か?』 東川篤哉
 カッパノベルス BK1-3.gif (240 bytes)

 回転寿司チェーンを経営する資産家・豪徳寺豊蔵が殺された。犯行現場は自宅のビニールハウス。そこでは、十年前にも迷宮入りの殺人事件が起こっていた… 豊蔵に飼い猫の捜索を依頼されていた探偵・鵜飼杜夫と、過去の事件の捜査にかかわっていた砂川刑事がそれぞれの調査と推理でたどり着いた真相とは?

 予想以上に猫が目立ってなかった作品だったような。それでも、これまでの地のいいわけめいた文章がなくなったのはいいかも。そういえばこの作品って一応探偵が二組いて、それぞれが別の推理をしている点は、ちょっと他の作品にはない部分かな。適度に楽しめました。

『走れ!神秘の大森林 新ソード・ワールド・リプレイ集7』
 秋田みやび 富士見ドラゴンブック BK1-3.gif (240 bytes)

 ついに来た王宮からの依頼! 以前助けたユニコーンを隣国のラムリアースに返還する使者として向かってほしいというもの。破格の報酬に加え、うまくいけば騎士団への採用も夢じゃない? 初めての大きな依頼に張り切るイリーナたち。道中、ユニコーン相手に乙女の純情を試されたりしながら目的の場所に着いてみれば、なにやら怪しい事件が進行中?

  実は非常に有能なのに、街の何でも屋さん扱いの面々がいきなり大舞台へと。しかし、上手くツボをついているとしかいいようのないお約束の展開など、笑いが盛りだくさんなのがいいですよね。実は下品な生き物ユニコーンなど、目から鱗が落ちてしまうような。ちなみに、読んでいる人でユニコーンに乗れる人ってどれぐらいいるんだろうか、と。あとは、素手で追加ダメージ二桁など、もう人間の規格を超えているあたりも笑えるというか、なんというか。しかし、このシリーズも結構続きますよね。がんばってほしいものです。

『やっとかめ探偵団とゴミ袋の死体』 清水義範
 祥伝社文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 分別・無分別の複雑なゴミ分類に踏み切った名古屋の街は、ゴミの話題でもちきり。分類方法をめぐって侃侃諤々の大騒動が繰り返されていた。仲良しおばあちゃん六人組にとっても、ゴミ問題は重要な関心事。ある日、ゴミ袋に入れられて市内各地のゴミ集積場に捨てられていた死体が見つかった! バラバラにされた死体を巡り、おばあちゃんの推理が冴える。

 なんとなく設定の説明が多いような気がする祥伝社文庫のやっとかめシリーズ。ゴミ袋からばらばら死体というショッキングな出だしの割には、あくまで野次馬探偵の立場を崩さず、傍観者的に話が進んでいくため、ちょっと惹きこまれるというのとは違う感じで、なおかつ全体量が少ないんで、きっかけであっけなく終わっちゃって拍子抜けというか、なんというか。ちょっと残念でした。

『番号をどうぞ』 星 新一 理論社 BK1-3.gif (240 bytes)

 休暇先で荷物をすべて失ってしまったエヌ氏。しかし、サービスの行き届いた世界では、無くしたものもすぐに取り返すことができるはず。しかし、何をしようにも証明番号が必要でその番号はなくした荷物の中に… 便利が蔓延した世界の不便さなど近未来SFのショートショートが満載。

 気楽に読める本という印象が非常に強いです。なんだかごちゃごちゃとしているときは、ほっと一息のショートショート。きらりと輝く作品っていうのはないにしても、ちょっとした皮肉を交えた作品と、心温まる作品に数多く触れることで、「あー」と思ったりすることも。楽がいいです。

『サマータイム』 佐藤多佳子 新潮文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そしてぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。

 短編四作。それぞれは関連しているものの別個の話でもある青春小説という感じ。二人の兄弟と一人の少年が昔出会い、ピアノと自転車のつながりを持つ。そのやり取りが心躍らされるというか、少年時代にしか味わえない何かを見せてくれる。それが表題作。出会いの前後の彼らのストーリーがそれぞれ残りの短編であり。まっすぐな人間、ひねくれた人間の多彩な心を見せてくれる。面白いというか、どきどきするというか、なんだかわからない懐かしさを感じさせてくれるというか、そんな小説でした。