『マインド・イーター』 水見 稜 7点
『赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝』 石田衣良 7点
『しゃべれども しゃべれども』 佐藤多佳子 8点
『百鬼夜翔 水色の髪のチャイカ』 秋口ぎぐる・高井信・山本弘 7点
『百鬼夜翔 暁に散る翼』 柘植めぐみ・山本弘・友野詳 7点

『マインド・イーター』 水見 稜 早川文庫 

 人類の精神を食らい、肉体を核酸にしてしまうという存在「マインドイーター」と、その脅威と戦うハンターらを描いた短編集。

 精神を食らう鉱石との戦い(?)を描いた短編で、なかなかSFです。まあ、精神とは何かということ自体捕らえにくいですからね。こう、本質は同じでも毎回テーマが違ってたりするのがいい感じです。国産SFと思えないほど純粋SF、本格SFだったなあと思います。翻訳ものっていわれても違和感がないくらいに。最後のほうになってくると、もう神の領域でもありついていけなかったりもしましたが、楽しませてもらったなと思いました。オススメです。

『赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝』 石田衣良
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 カジノの売上一億円を強奪するという大博打。無事に襲撃は成功。ところが、奪った金を横取りされて…。人生は駆け引き、ギャンブル。奪われた金を取り返すため、男は立ち上がった。

 IWGPの外伝ということで「サル」が本編の主人公とコンビを組んで、奪われた一億円を追いかけます。裏の世界、金の流れなど、そういった部分のやりとりと、ギャンブル、カジノが焦点となっているかなといったところでしょうか。軽快なテンポというよりも、重厚で地味な展開ではありますが、読ませる部分はきっちり読ませてくれ、物語に引き込まれていきます。なかなか面白かったと思います。

『しゃべれども しゃべれども』 佐藤多佳子 新潮社 BK1-3.gif (240 bytes)

 修行中の落語家・今昔亭三つ葉。そんな彼のもとに「しゃべりのプロなら何とかしてくれ」と”吃音”に悩むテニスコーチや、美人なのに口下手の女性、いじめられている子どもがあつまって落語教室を開くことに。しかし、そんなときに三つ葉も芸の壁に突き当たり…

 一人の噺家と、話すことが苦手な人たちの話。いろんな経過で落語を教える会みたいなのが発足して、人にものを教えているのに、いつのまにか自分が大切なことを教わっているという、逆転的な部分を含んだ小説で、面白かったです。微妙に恋愛小説であり、青春小説でありって感じですが、そういったジャンルでくくれないエンタテイメントな話かなと。しかし、噺家が主人公の小説って最近結構ありますよね。全体的にイメージは同じなんですが。オススメの一冊です。

『百鬼夜翔 水色の髪のチャイカ』
 秋口ぎぐる・高井信・山本弘 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 私はチャイカ。未来世界から来た、小さな戦闘生命。だけど、私が敵から護るはずのあゆむはどこにいるの? 美少女フィギュアに過剰なまでの愛情が注がれたとき、新たな生命―――妖怪が生まれる!(『水色の髪のチャイカ』) 他に、謎めいた少女を追う死人の群れはどこから来たのか?(『屍の夜』) 妻子の奇妙なよそよそしさに隠された恐るべき秘密(『盗まれた町』)を収録。

 登場、山本弘さんの趣味の世界。ということで、今回はフィギュアというか、美少女もののアニメというか。内容として笑える部分もあり、実に上手いなあと感じさせる一作。楽しかったです。他にも秋口ぎぐるさんがこんなまじめな小説を書くこともできたんだという発見ができたかもしれません。内容はそれぞれ独立して適度な盛り上がりだったりしますが、いまいち全体的に目立ったというほどではないかもしれません。

『百鬼夜翔 暁に散る翼』 柘植めぐみ・山本弘・友野詳
 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 妖怪たちにガードされていた人物が殺された。責任を感じたルゥは手がかりを求め、自分たちの天敵である男のもとへ向かった。ルゥを止めるべく、ワヤンは夜の街を走る!(『暁に散る翼』) 麦とのデート中、謎の美女とともに消えた洋大の行方は?(『虹のかなたへ』) 洋大が「スーリエ・ルージュ」をクビになった? だが何かがおかしい…(『茜色の空の記憶』)を収録。

 いつのまにか共存を匂わせるような思想を前面に出してきてるのかなと。ひさびさに懐かしい登場人物も出ましたし、そういったところのサービスはOK。最後の話の結末には、このシリーズの大きな節目になりそうな事がおこりましたが結構思い切ったことをしたなと、思ってみたりです。