『黄色い目の魚』 佐藤多佳子 9点
『超人計画』 滝本竜彦 7点
『子どもの王様』 殊能将之 7点
『竜が飛ばない日曜日』 咲田哲宏 7点
『歌の翼に ピアノ教室は謎だらけ』 菅 浩江 7点
『黄色い目の魚』 佐藤多佳子 新潮社 
俺は少年のとき、父親と会った。一緒に父親の部屋行き、絵を描いた。そしてその一年後に父親が死んだと知らせを受けた。今ではサッカー部に所属し、ときどき人の似顔絵を描く。ただ描きたい衝動に従って…
わたしには居場所がない。学校にも家にも。ただイラ
ストレータの叔父のところだけが心安まる。そんなとき、同級生の男の子に出会った。一風変わった似顔絵を描く彼に…
「絵」をひとつの道具とした恋愛/青春小説です。若いっていいですよね。口に出せない葛藤と、口から出る言葉と。異なる視点からのアプローチも、読者へのもどかしさと期待感を高めてくれます。よかった作品でした。さすが、皆がオススメするだけの作品ですね。
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『超人計画』 滝本竜彦 角川書店 
新世紀、世界は悪い方に転がっていた。デフレ、戦争、頭髪の悪化、預金残高の減少。しかし、一抹の希望は残されていた。「超人」になればすべてが解決するのだ! 安定した人生と人間彼女を獲得するため、輝かしい超人ロードを突っ走るときがいま到来したのだ! だがその決意を固めたひきこもり新人作家を試練が襲う。
まさに「ひきこもり」生活、ダメ人間改造計画。というか、自らをネタにした小説でもあるような… もうダメっぷりを暴露しまくりで、ある意味笑いが止まりません。「かわいそう」を超えて、これが「ダメ」の見本なんだといわんばかり。しかし、だからこそ超人になろうとする意気込みこそが… ああ、それもダメだぁ… もはや、がんばってくださいというしかない、ですかね。
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『子どもの王様』 殊能将之 講談社 
ショウタの親友トモヤは学校にはほとんど行かずに本ばかり読んでいる。そのせいか途方もないつくり話をよくする。この団地の外側には何もない。現に団地の案内図には外側なんて描いてないじゃないかという。今日も学校はあったよとショウタがいうと、昨晩大急ぎで造ったのさ、といった調子だ。他にも団地に住む西の良い魔女と東の悪い魔女の話とか… だがある日、ショウタはトモヤがいうとおりの姿かたちをした男を目撃する。もしかしてあれが子どもを穴蔵に閉じ込め、召使としてこきつかうという子どもの王様?
ジュブナイル風でありながらも、仕掛けはお見事といった感じでしょうか。子どもの空想力と冒険心をうまく描きつつ、大人の世界のどろどろを演出している手腕はなかなかのものだなあと感じました。実際、小さな出来事を積み重ねて起こす仕掛けでもあり、そのバランスも微妙に整っているようにも感じられ、だからこそ最後にまとまったともいえるような、いい作品と感じました。
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『竜が飛ばない日曜日』 咲田哲宏
角川スニーカー文庫 
「竜―――なのか」 親友の死の真相をさぐる羽井貴士。 「―――やっぱり、変」 なぜか一日が二度繰り返すという時間のループに陥った藤谷瑞海。竜が支配する世界に違和感を覚えているのは、池橋高校に通うこの二人だけ。竜を崇拝しない異端者として謎の校内組織に追い詰められるなか、貴士と瑞海は世界に対する反撃を決意する。
微妙にファンタジーでしょうか。突然竜の支配する世界に落ち込んだ人間。しかも周りはそれがあたりまえと認識していれば、もう自分がおかしくなったのではと疑うこともあるでしょう。まあ、そんな話でもあるのですが。結末まで読んで思ったのは「容赦ないなぁ」ということ。その所為か、登場人物たちの必死の行動もうなずけますし、かわりに脇役やエキストラの馬鹿っぷりはどうかなあと。まあ、意外と厳しいファンタジーを読みたい人向けでしょうか。
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『歌の翼に ピアノ教室は謎だらけ』 菅 浩江
ノンノベルス 
「私、変な男の人を、見たの!」
楽器店二階の音楽教室で、生徒の小学生ユイカが泣き出した。商店街周辺に変質者が出没していた矢先の事件―――だが、少女と弟の証言が微妙にずれて… ピアノ教師杉原亮子が解きほぐす生徒たちの心の襞と綾。
日常系のミステリであり、対照は小学生たちの悩み。なぜかピアノ教室が心のカウンセラーになってしまう、というのはまあアリではありますが、そこから探偵にまでなってしまうとは。実際悩み相談ということで、大きな「謎」なんてのはそれほどないわけですが、その悩みを癒す手法、解答の論理付けが面白いのかもしれません。底なしに「いいひと」な話なわけで、それに抵抗がある人はちょっとダメかもしれませんが。
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