『ゲッベルスの贈り物』 藤岡 真 7点
『われらが英雄スクラッフィ』 ポール・ギャリコ 8点
『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 9点
『マドンナ』 奥田英郎 8点
『血文字パズル』 有栖川有栖・太田忠司・他 7点
『ゲッベルスの贈り物』 藤岡 真 創元推理文庫 
爆発的な人気を誇りながら、メディアへの露出はビデオテープのみ、実際には誰ひとりとしてその姿を目にしたことのない謎のアイドル「ドミノ」。製作会社のプロデューサー・藤岡真は「ドミノ」捜しに駆り出されるが、それが真夏の悪夢への入り口になろうとは、その時の彼には知る由もなかった! 全くわからないアイドルの素性、殺し屋による著名人連続殺害事件、そしてUボートで日本に持ち込まれようとしていた「ゲッベルスの贈り物」の謎―――辿り着く先は?
謎のアイドル「ドミノ」を捜す話だったはずなのに、いつの間にやら120度ほど方向はそれて、連続自殺事件絡みに。というか、それすぎ。実際のところ、読んでて「ああ、これはきっと…」という思いがあったためか、それほど面白いと感じることもできず、しかも話の流れが大きすぎて、ちょっと客観的に見てる間に終わっちゃったという。まあまあでした。
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『われらが英雄スクラッフィ』 ポール・ギャリコ
創元推理文庫 
この地からサルがいなくなったとき、英国人もいなくなる―――古くから奇妙な言い伝えのある英領ジブラルタルで、サルたちを愛し任務に励むサル担当士官ティムと部下のラブジョイ。だが、敵国ドイツの策謀か、思わぬ大事件が勃発し、サルたちは激減。英国軍の命運を担うのは、今や群れいちばんの暴れものスクラッフィ一匹だけ? ティムの奇策やいかに?
第二次世界大戦下、「この地からサルがいなくなったとき、英国人もいなくなる」という奇妙な言い伝えのある英領ジブラルタルでのサルを巡っての大騒動物語。ユニークで面白かったです。ちなみにスクラッフィというのは、あるサルのあだ名です。といってもサルが主人公ではなく、その世話役や部下、英国スパイなどが入り混じり、多彩なやりとりを見せてくれます。生き生きとしたストーリーは一気に読ませてくれるものでした。意外とオススメです。
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『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 新潮社 
歩き出したバラバラ死体、解体された神様、鉢合わせの泥棒−。無関係に思えた五つの物語が、最後の最後で一つの騙し絵に収斂する。
まったく別々のストーリーが展開されていきます。瞬間移動する泥棒の話、拳銃を拾った失業者の話、神を解体する信者の話、殺人者になろうとする男女の話、富豪の話。それぞれが完全に独立し、独特のストーリでありながらも、読者にだけわかるほんの些細な本人たちにも気がつかない繋がり。読了後にぴたりと収まったパズルのような気持ちの良さがあります。短編としても楽しめ、全体としても楽しめた、なんだかお得な一冊でした。
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『マドンナ』 奥田英郎 講談社 
部下に恋をする。息子がダンサーになりたいと言い出す。同い年の女性が上司になる−今、日本で一番大変なのは「課長さん」。
ユーモアオフィス物語は面白かったですね。ふってわいた出来事に「どうする? 課長さん?」ってな短編ばかりで、自分好みの部下が入ってきて惚れちゃったり、息子がダンサーになりたいと言い出したり、異動した部署がとんでもないところだったり、同い年の女性がいきなり上司になったりと、ありえる話だからこそ共感でき「うむうむ」と思う、いやはや、こんな小説が面白いと感じるのも歳ですかね?
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『血文字パズル』
有栖川有栖・太田忠司・麻耶雄嵩・若竹七海
角川スニーカー文庫 
死体が遺した、奇妙な手がかりを読み解け! ダイイング・メッセージを題材としたミステリ短編のアンソロジー。
有栖川有栖さんの『砕けた叫び』は火村、有栖シリーズで相変わらずの安定トリック、太田忠司さんの『八神翁の遺産』はちょっと変則的なオチ、麻耶雄嵩さんの『氷山の一角』はメルカトルの邪悪っぽさ満載、若竹七海さんの『みたびのサマータイム』は青春風? といったところでしょうか。ダイイング・メッセージがテーマっぽいんですが、有栖川さんの以外はそれほど目だってなかったかもという気がします(他が目立ちすぎなのかもしれませんが)。そういえば、若竹さんの主人公・杉原渚ってのは『クール・キャンディ』の主人公なのかな?
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