『風に桜の舞う道で』 竹内 真 8点
『地球平面委員会』 浦賀和宏 6点
『三人目の幽霊』 大倉崇裕 7点
『京人形の館殺人事件』 和久俊三 6点
『さみしさの周波数』 乙一 7点

『風に桜の舞う道で』 竹内 真 中央公論社 BK1-3.gif (240 bytes)

 「君達は今、分かれ道の交差点に立っています」
 白髪の老講師はそんな風に挨拶を始めた。
 「何本にも何本にも枝分かれした分かれ道です。まだ若い君達は、様々な未来を選んで進んでいくことができる。 ―― ただまあ、残念なことではありますが、この春は交差点の信号が赤だった」

 青春。十年前の浪人時代。寮のある予備校での仲間達との青春時代。バカをして、悩み、愉しかった日々が実に生き生きと描かれています。物語というほどの物語でもないのですが、ただその時代というだけで得られる青春、愉しく読ませてもらいいい作品だったと思います。

『地球平面委員会』 浦賀和宏 幻冬舎文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 大学に入学した僕が賑わう校内で見たのは、「新委員募集中。あなたも信じてみませんか――。地球が平面であることを」と書かれたビラを校舎の屋上から撒く女の子。その子に惹かれる僕の周囲で事件が起き始める。放火、盗難、そして殺人事件… 一体僕は何に巻き込まれたんだ?

 だぁぁ、なんじゃいそのオチは… 想像以上のくだらなさに脱力モノですね。まあ、たしかに言われてみればそうなんですが。しかし、しかしですねぇ、バカだ…

『三人目の幽霊』 大倉崇裕 東京創元社 BK1-3.gif (240 bytes)

 年四回発行の落語専門誌「季刊落語」の編集部は総員二名。新人の緑はそんな世界で落語にどっぷりとつかっていく毎日。しかし、寄席を巻き込んだ御家騒動、山荘の摩訶不思議、潰れ去る喫茶店の謎など様々な出来事に遭遇する。けれども、そんな様々な事件も、上司兼相棒の牧の洞察力で信じがたい見せて見事に着地。そして今日も落語漬けの一日が始まる―――

 落語ミステリになるんでしょうかね。まあ舞台が落語関係の世界っていうことなだけなんですが。一応短編ですし。日常というよりかは悪質・悪意のあるな事件が起こり、季刊落語の編集長がその洞察力で謎をとくという、それでもある種の日常系っぽい空気がながれてるわけで、心地よく楽しめる作品ではありました。

『京人形の館殺人事件』 和久俊三 光文社文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 京都・壱姫神社の雛祭りは、壇上に人形ではなく男女が並ぶ「生雛祭り」だ。今年も盛大に行われていたが… 赤かぶ検事ら大勢の観光客が見守るなか、お雛さまに扮した人形作家・高倉香織が、槍に刺されて死亡した! 事件の鍵は失踪した三人官女役の女性たちが握るのか? さらに、第二の事件―――密室で京人形師が殺された!

 文中事件のことのみを報告系で扱ったのみという、なんというか背景の見えない小説だったなという印象が。しかも赤かぶ検事って報告を聞いてるだけで行動とか推理しないし。思いついたことをヒントとして述べる、他のシリーズもそんなでしょうか? ちょっと退屈でした。

『さみしさの周波数』 乙一 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生の頃。それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時間だけが灯火となった…(『未来予報』) せつない短編4篇を収録した短編集。

 せつない青春小説ととりましたが、いかがでしょうか? 短編であり、男女がでてきて、ああだこうだという話ですよね。せつなさは相変わらずの乙一作品だなと。『手を握る泥棒の物語』が一番好印象でした。