2008年05月31日
[感想] 『奇談蒐集家』/太田忠司
奇談蒐集家
著者:太田 忠司
出版社:東京創元社 単行本
発売日:2008-01
価格:¥ 1,575
ISBN:4488012299
【Amazon】
【求む奇談!】 新聞の片隅に載った募集広告を目にして、「strawberry hill」を訪れた老若男女が披露する不思議な体験談―― 鏡の世界に住まう美しい姫君、パリの街角で出会った若き魔術師、邪眼の少年と猫とともに、夜の町を巡る冒険…… 謎と不思議に満ちた奇談に、蒐集家は無邪気に喜ぶが、傍で耳を傾ける美貌の助手が口を開くや、奇談は一転、種も仕掛けもある事件へと姿を変えてしまう。夜ごと"魔法のお店"で繰り広げられる、安楽椅子探偵奇談。
事件というか奇談の不思議を不思議じゃなくして事件にしてしまう、という感じの短編集。うーん、奇談自体それほど不思議と思えない(むしろ語り手の思い込み部分が多い)ような、そんなもので、あっというまに解釈がついてしまいます。そして最期のまさかの展開が、そんな落ち?みたいな。 もっとひねりというか綺麗さが欲しかったなと思ってみたり。
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2008年05月25日
[感想] 『賢者の贈り物』/石持浅海
賢者の贈り物
著者:石持 浅海
出版社:PHP研究所 単行本(ソフトカバー)
発売日:2008-03-25
価格:¥ 1,575
ISBN:4569698492
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同期の女の子を呼んで開いた週末の鍋パーティー。みんなを送り出した翌朝、部屋には、女物の靴が一足。代わりにサンダルがなくなっていた! ―――週明け出社しても、その間違いを言ってこないのはなぜ?(『ガラスの靴』) 古典・名作を意識した短編10編を収録した短編集。
なかなか良作なミステリが詰まった短編集。すべての作品に磯風という女性が登場します。ただしその年齢、職業は作品ごとに異なりますが、ただ探偵という役割を果たしてくれます。上手く物語りを引っ張り、心地よい解答が導き出されるのは読んでいて非常に気持ちがいいものです。また、短編であるため簡単に読めるもの好感触です。お勧めな一冊というところですね。
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2008年05月24日
[感想] 『人類は衰退しました 2』/田中ロミオ
人類は衰退しました 2
著者:田中 ロミオ
出版社:小学館 文庫
発売日:2007-12-19
価格:¥ 630
ISBN:4094510443
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わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の"調停官"であるわたしのお仕事。……なんですが。高い知能を持つ妖精さんのまわりは不思議なことだらけ。理解不能なおかしな道具を創って、わたしの身体を小さくしたり。現場復帰する祖父の助手さんのお迎えに、何度も何度も行かせたり。……そんなこと、報告書には書けません! えっ? わたしが一因? ではないですよ!?
あいかわらず妖精さんは挙動不審で不思議でかわいらしいです。とまあそんな話といえばそんなものですが。ちょいと長めの話で、突然小人になってファンタジーな世界でリアルな弱肉強食を味わい生命の危機に瀕したり、バナナに滑って時間をループしたりと、もうかわいらしいだけじゃない不思議な道具での話です。突飛ですね。まあ、まったり癒されるという感じです。
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2008年05月18日
[感想] 『君の望む死に方』/石持浅海
君の望む死に方
著者:石持 浅海
出版社:祥伝社 新書
発売日:2008-03
価格:¥ 880
ISBN:4396208456
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肝臓ガンで余命6ヶ月――― <生きているうちにしか出来ないことは何か> 死を告知されたソル電機の創業社長日向貞則は社員の梶間晴征に、自分を殺させる最期を選んだ。彼には自分を殺す動機がある。殺人を遂行させた後、殺人犯とさせない形で――― 幹部候補を対象とした、保養所での”お見合い研修”に梶間以下、4人の若手社員を招集。日向の思惑通り、舞台と仕掛けは調った。あとは、梶間が動いてくれるのを待つだけだった。だが、ゲストとして招いた一人の女性の出現が、「計画」に微妙な齟齬をきたしはじめた……
面白かったです。ミステリとしては珍しい、事件が「起こる」までの物語。殺されたい人間は、そのための小道具を保養所のあちこちに仕掛け、殺人者に使ってもらうのを待つばかり、そして殺人者はそれが偶然置かれていると思い上手く利用しようとし… 二人の思惑はそれぞれでリンクしているようで微妙な緊張を生み出し、物語に張りを持たせます。そしてゲストの登場。類まれない直感(推理力?)にて危険を感知し、それをさりげなく回避させようとする。うーん、見事な展開、水面下での高度な読み合い、実に計算された作品でした。おもしろい、お勧め。
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2008年05月17日
[感想] 『犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題』/法月綸太郎
犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題 (カッパ・ノベルス)
著者:法月 綸太郎
出版社:光文社 新書
発売日:2008-01-22
価格:¥ 880
ISBN:4334076661
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売れっ子ライター・虻原がマンションから転落死した。そのマンションには、虻原もかつて所属していた劇団の主宰者が住んでいた。最近、その劇団の芝居を巡り、二人には感情のもつれがあったらしいのだが…… 虻原は寄稿した雑誌の最終回のコラムに不可解な俳句を二首、残していた。さらに「六人の女王にたずねるがいい」という謎のメッセージが。はたして、俳句に隠された謎とは?(表題作)
星座にまつわる短編集です。無理やり星座にこじつけているという印象をうける作品もありました。事件自体は終わったあとの伝聞で、リアルタイムではない分ぱっとしない印象もあります。作品の中では『ゼウスの息子たち』が比較的好みだったでしょうか。平均的、と感じた短編集でした。
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2008年05月11日
[感想] 『零崎曲識の人間人間』/西尾維新
零崎曲識の人間人間 (講談社ノベルス ニJ- 21)
著者:西尾 維新
出版社:講談社 新書
発売日:2008-03
価格:¥ 1,092
ISBN:4061825828
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「零崎一族」―――それは”殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一賊。”少女趣味”こと零崎曲識が、一賊に忍び寄る危機を察知し、ついに表舞台に現れた。一賊の結束はどうなるのか。”音使い”零崎曲識の闘いが今、始まる!
登場人物が変態なのはおいておいて、”音使い”というのはなかなかに面白い設定です。時系列が飛び飛びなのと、これまでの作品と絡んでいるところもあるので、すっかり忘れている状態では背景がわからなかったりするのが残念ですが、まあそれなりに面白いかなと思う部分も。最強と最凶も登場し、あっという間に食われた感もありましたが、綺麗におわったのかな、とも。ところで、本編に繋がっていましたっけ?
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2008年05月10日
[感想] 『猫の手超人王、激闘! ソード・ワールドRPGリプレイ集xS1』/清松みゆき
猫の手超人王、激闘! (富士見ドラゴンブック 6-78 ソード・ワールドRPGリプレイ集xS)
著者:清松 みゆき
出版社:富士見書房 文庫
発売日:2008-03-19
価格:¥ 693
ISBN:4829145226
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猫の街ネイラードにはじまったキャンペーンもいよいよ大詰め。<猫の手冒険隊>と悪の大幹部ドクター・モリブの決戦は迫る。だが、我らが勇者ウインドは、いまだハイロード・ポイントを残していた。<猫の手>たちは、不安を抱いたまま、消えたモリブを迫ってネイラードへと向かう。かの地に跳梁する奇怪なゴブリンこそが、モリブの最後の陰謀だった。
いやもう、なんというか最後の最後のバトルがすごい、もうそれだけ。GMが用意したラスボスを操作する人こそ、別リプレイのメガネをくいっとするプレイヤー。まさにガチンコバトルで面白いこと。その他はまあ、ヒーロー物にある展開だったと覚えていますが、どうだったかなぁ、とも。それぐらい最後が印象を上書きしてしまっています。
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2008年05月04日
[感想] 『SP 警視庁警備部警護課第四係』/金城一紀
SP
著者:金城 一紀
出版社:扶桑社 単行本
発売日:2008-03-04
価格:¥ 1,470
ISBN:4594055540
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【SP=(Security Police)】 要人警護官とは、特殊な訓練を受け、その中からさらに優秀な者だけが選抜された、警護のみを担当する専従警察官である。国政に関わる国内外のVIPの盾となり時には自分の命を犠牲にしても必ず護り抜く”動く壁”なのである。
TVドラマのシナリオ集というものでした。金城さんの普通の小説かと思っていたのですが… まあ、それなりに面白かったですよ。SPという要人警護のなかでも特殊な才能に秀でた主人公が警護のみではなく、犯人逮捕を行う過程というか、まあアクションものというか。テロリストの視点なんかも想像できないところからだったり。まあ、最後のほう、黒幕の黒幕みたいになってきて、どろどろな展開はきれいに落ち着くことなく終わっちゃったのが残念というか、後を引くというか。それだけは、ちょいとうーんです。
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2008年05月03日
[感想] 『ホームズのいない町 13のまだらな推理』/蒼井上鷹
ホームズのいない町―13のまだらな推理
著者:蒼井 上鷹
出版社:双葉社 新書
発売日:2008-03-19
価格:¥ 950
ISBN:4575007684
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そんじょそこらにホームズのように名推理ができる人はいません。登場人物が不完全な推測をし合い、勝手に誤解をして、いつもおかしな展開に。妻とのロマンスのために庭を掘ってほしくない男と、庭のお金を掘り返したい男の思惑が交錯する「第二の空き地の冒険」など短編七編と、関連する掌編が六編入った、傑作ミステリー集。
ただの短編集かと思いきや、予想外のつながりがある驚きの作品集でした。それぞれ、いつもの格好のよくない大人たちがやんややんやと事件を起こし、解決とまではいかない程度の推理を展開し、ニヤリとしながら読んでいると、いつの間にやら、それぞれの物語のつながり部分が見えてきて、あれやあれやと、気がつけばひとつの町で起こった出来事の大きな流れが見えてくるわけですよ。うーん、これはなかなかに計算されたミステリだなと。お勧めな一冊です。
