2005年08月27日
[感想] 『老ヴォールの惑星』/小川一水
老ヴォールの惑星
著者:小川 一水
出版社:早川書房 文庫
発売日:2005/08/09
価格:¥ 756
ISBN:4150308098
偵察機の墜落により、おれは惑星パラーザの海に着水した。だが、救援要請は徒労に終わる。陸地を持たず、夜が訪れない表面積8億平方キロの海原で、自らの位置を特定する術はなかったのだ―――通信機の対話だけを頼りに、無人の海を生き抜いた男の生涯。(『漂った男』) ホット・ジュピターに暮らす特殊な知性体の生態を描き、SFマガジン読者賞を受賞した表題作。(『老ヴォールの惑星』) 環境と主体の相克を描破した4篇を収録。
非常に面白かったです。小川氏の初の短編集ですが、短編には短編のシンプルで面白いという部分が実によく出ていました。
最初の作品『ギャルナフカの迷宮』。地図だけしか持たない状態で、常に疑心暗鬼と戦わざるを得ない特殊な状況。そういった環境下での冒険談なんでしょうが、それにひねりが効いている。社会という環境を作り出していく見事さを見せ付けてくれます。
2作目、表題作ともなっている『老ヴォールの惑星』。正直私にはこの作品だけはいまいちよくわかりませんでした。イメージとしてはエイのような形の知的生命体が飛び回ってる世界なのかな、という感じでしょうか。
3作目『幸せになる箱庭』。これも他の作品でも見受けられるある設定を用いているのですが、設定を流用と思わせない独自の部分などがあり、またそこから展開する新たな部分など、一つのアイデアだけじゃなく、いくつかが組み合わさったものをみせてくれた気がしました。
ラスト『漂った男』。これも特殊環境と世界ですよね。思ってたのとは予想外なラストへの展開には、「どうなるんだろう」という興味を常にかきたてられ、またバッドでもハッピーでもとりようにとってはどちらともとれるエンドにはうならされたと言うか、上手いなあと感心したというか。
全体的にシンプルながらいろんなアイデアやら何かが詰まっており、楽しめた作品でした。SF初心者にもオススメな一冊です。
投稿者 FOOL : 2005年08月27日 23:57
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