「傾城倭荘子 - 蝶の道行」
(けいせいやまとぞうし - ちょうのみちゆき)
 小槇:花柳蔦芳門下 花柳 蔦紫 (山本紫織)
 助国:花柳蔦芳門下 花柳 蔦伸 (山本大介)

2005/11/03
板橋区文化祭
板橋区文化センター(大ホール)

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四季の花が咲き乱れる野辺に遊ぶ、つがいの蝶。
それは現世で非業の死を遂げた「小槇(こまき)」と、
その後を追った恋人の「助国(すけくに)」の死後の姿でした。
夢のように華やかな花園での戯れから、一転して地獄の責め苦へ。
ドラマティックな魅力に満ちた舞踊です。




■概要
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北畠家の家臣、 近藤 軍次兵衛 の息子「助国(すけくに)」と、
同じ家中の 越野 勘左衛門 の妹「小槇(こまき)」とは深い恋仲でした。
両家はお家騒動に巻き込まれ、
二人の恋人は主君の若殿とその許婚の身替りとなり、
添い遂げられぬまま首を討たれてしまいます。(※)
すると並べてある二人の首から、二羽の蝶が恋する二人の化身として飛び立ちます。
もつれ合いつつ花園の上を飛んでゆく蝶たちは、やがて「助国・小槇」の姿となり、
在りし日の思い出を踊りながら、冥土への道行をするのでした。
やがて二人は再び蝶の姿に戻り、
遂げられなかった恋の苦しみから、地獄の責苦に合うことになります。
そして二人の姿は静かに消えてゆくのでした。。。
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(※)
このお家騒動にまつわる死に関してはもう一説あります。
両家はお家騒動が原因で両家は反目、敵同士となりました。
勘左衛門は小槇の嫁入りを頼み、断わられるとその父は小槇を斬殺します。
それを知った軍次兵衛も助国の首を討ち、
前非を詫びて、首になった二 人を祝言させた。
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■歌詞
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世の中は、夢か現か、ありてなき蝶となりしが現にて蝶となりしが夢かとも、
唐土人のたはれぐさ、咲や千草に群れ遊ぶ、二つの蝶のしをらしく、

されば大和の助国は春の花園秋の野辺、楽しむも花憂きごとも、
花になづみし心より、思ひは同じ花に寄る小槇も恋の根分草、
かなたこなたともつれ合ひ今は比翼の諸つばさ、/\

女蝶男蝶と浮かれ来て、花に養ふ哀れさよ、
二世と誓ひし言の葉に、猶さへやらで裟婆の昔を思ひ草、
野辺のたがへし苗代に、/\
堰き止められし恋仲も末はまゝなる起き伏しにかゝよ精出せ旦那殿/\

「こんな縁はから竿の、長き契りの楽しみも、/\
つい移り気と知りながら、馴れ染めにしは去年の秋、
在所祭りの折柄に、氏神様の鳥居前、参り下向のその中に、
私が振りの田舎染め、お前の差してござんした

お腰のものにかゝったが結び染めたる初 恋路、
こがれ慕ふて人伝てに、田の面の雁の文使ひ」
「ヲヽわれとてもひたすらに口説く心の切なれば花によそへし返り言、
その嬉しさと恥づかしさ、袖をかたしく新枕」

裟婆と冥途も初春はいづれ賑ふ門松の

徳若に御万歳と来世も栄ましますは、誠にめでたく候ひける。
萬安々としゃくせんだんの木の元より、
誕生まします釈迦如来、卯月八日に産湯をそゝぎ、
ねはんの雲に霰を降らせ、
すでにお茶湯捧げけるは誠にめでたく候ひける。
めでたや/\春の始めの春駒なんどは夢に見てさへよいとや申す/\、

月は桂に花は嵐に連れて勇の駒の足、坂はてる/\なア、
鈴鹿は曇る、あいの土山雨が降る、弘誓の舟の舟遊山、

三途の川の櫓拍子揃へてヤアシッシ/\

死出の山、/\/\/\
飛ぶ交ふ姿はひらりひら/\ひら/\/\、ちら/\/\四季折々の花の影、
かざす扇はそのまゝに蝶よ胡蝶よひら/\/\、払へばとゞめくる/\/\、
修羅の迎ひはたちまちに、狂ひ乱るゝ地獄の責め、
夢に夢見る草の露おもかげばかりや、残るらん






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