TUSACの夏合宿報告

<1996年−TUSACの夏合宿報告>


TUSAC/新井 裕己




 とりあえず、TUSACの夏合宿の報告です。長いですはい。

7/30、31
急行能登で冨山へ。その後冨山地鉄と馬場島行きのバスの連結が悪く憤慨するが、5人パーティーなので
タクシー一台で行けたので安く早かった。

 この日は早月小屋まで。汗水たらして登る。一応歩荷訓練ということで1、2年生3人でギアから食糧か
ら全部持つので大体40キロのもんでしょう。
 早月尾根には標高差200メートルごとに標識がありますが、何か違ってるような気がするんですけど、気
のせいでしょうかねえ。 早月小屋周辺には雪渓が残っており、水は補給できます。

8/1
この日は剣本峰経由で三ノ窓まで。後で通るんだからと本峰の一個北のピークの影に食糧をデポしていく。
そこから主稜線の縦走は予想以上に時間がかかった。

 理由1、基本的に逆ルートなので道がはっきりしなかった。
 理由2、いつもならフィックスロープが張ってあるところが、雪渓の下に埋まっており、すれ違う人々は
    懸垂下降している場所があって、ロープを出さざるを得なかった。
 理由3、荷物が重かった。暑かった。

 長次郎谷雪渓へは池ノ谷乗越からよりももう一個岩峰越えたところからの方が斜度もないし割れてないし
安全みたいです。まあ、それにしても何度来てもいやなのが池ノ谷ガリーです。もー二度と行くかって感じ
ですね。しかも荷物が重い時の下りは最悪です。岩雪崩と共に滑落していく感じですはい。

 三ノ窓は4、5パーティーくらいでしたかね。水は雪渓にハングになるくらいへこんでいるところがあっ
て、そこに5、6箇所タラタラたれてます。僕が平らな岩をセットし、水が集まるように雪渓を崩した場所
は通称・新井ポイントと呼ばれ重宝されたもんです。キジ場は雪渓沿いに左の方に上がっていったところに
結構してあったのでそこにするのがいいでしょう。

8/2
 チンネ左稜線。取り付きまでは雪渓ですが、気合いを入れて慎重に行けば運動靴でも行けますが、まあバ
イルなり登山靴なりがあった方が安全で早いでしょう。登った後、池ノ谷ガリーを下ることを考えたら登山
靴はあった方がいいんですが、背負って登るのはちょっと嫌ですね。

 取り付きは雪で埋まっておりまして、1Pは半分雪渓上で思い切ってシュルンドを大ランジして岩にとり
つくか、シュルンドを降りて取り付きましょう。5時に三ノ窓を出たんですが、ちょうど某大学のパーテ
ィーが取り付くところで、聞けば1年生を交えて3パーティーいるとのこと。まあしょうがないかと思い
つつその後を登るが、これが遅いの何の。さらに11ミリシングルでどうもちょっと切ってあるみたいで、
しょっちゅう

「せんぱーい。いっぱいでーすう。」
「なにー、もうちょっとでないかあ?」
「ち、ちょっと待って下さーい。(セルフを外して2、3歩前に歩く)はーい。おっけいでーすう。」

な、何がオッケイやねん。もうハラハラでした。核心はA1してるし。何か良く分かんないけど、一人がロ
ックスをフルセット、もう一人がフレンズをフルセットギアラックに掛けたままなんですよね。

 この日は早く降りてもう一本登ろうと思ってましたが、結局彼らの後ろをずーっと登っておりました。登
ってる時間より待ってる方が長いって悲しいことですね。
 TUSACのもう1パーティーは中央チムニーからc、dを登って、わざわざ池ノ谷ガリー経由でもう一回中
央チムニー登ってa、b登ってました。

8/3
 この日は諸事上により剣沢に移動しなきゃならないのです。ということでうちのパーティーはチンネの魚
津高〜筑豊を、もう1パーティーは八ッ峰IV峰Aフェイス中大ルートから八ッ峰上半をやることになりまし
た。「もう池ノ谷ガリーは下りたくない」ということで取り付きに登山靴、ピッケル等を残置して、絶対懸垂
で降りてくるぞと硬く心に誓って登り始めたのでした。

 魚津高(VI、A0)はいいとして、筑豊(VI+、A1)もオールフリーで登りました。
筑豊の1P目はジャミングなどを駆使して結構面白かったです。ビレイ点間違えて変なところで切ってしまい
ましたが、本物は偽物の4メートル左上のちょっとしたテラスです(偽物は狭いクラックの中)。まあV+
くらいでしょう。

 2P目は急に残置が少なくなってカム類がないとちょっと不安です。残置のないスラブの立ち込みをしたと
ころがビレイ点ですが(リングボルト、リングのないリングボルト、懸垂の際に僕が打ったピトン、足元に
もピトン有り)、またも間違ってずーっと左の方のテラスで切りました。ここもV+くらいですか。

 3P目はルート図によれば左の方が簡単らしいですが残置がなくなって激しくランナウトするので、凹状
を直上したほうがいいです。激しいランナウトでVI+くらいかな。このピッチで左稜線の上部と合流です。
ここから先は昨日やったのでサクッと同ルート下降しました。中央バンドからは北条・新村ルートを下降し
ました。
 下降に結構時間をとられて、剣沢キャンプ場についたのは19時30分でした。八ッ峰パーティーは最悪
に混んでいたらしく22時30分になってやっと到着しました。

8/4
 昨日が遅かったのと、天気も悪くなりそうなので1日停滞。ずーっとボルダーやってました。ここでヨセ
ミテに旅立つ先輩が帰ってしまった。

8/5、6
 恒例のLongRun。要は予定ビバーク入れて2日間動きまくるわけです。今年のルートは剣沢〜真砂〜池ノ
平小屋〜大窓〜池ノ平山〜小窓〜三ノ窓〜剣本峰〜剣沢ていうルートです。大窓から池ノ平山までの区間の
岩に期待していったんですが、何のことはない薮とチンケなトラバースとボロボロのフィックスロープ地帯
ばかりで全くつまらなかったっス。で、薮はつまんないので途中で変更して池ノ平山から池ノ平小屋に下山
しました。気付いたことといえば、

・真砂のキャンプ場はまだ雪が多く、お立ち台周辺は池になっていた。
・二股からは北又雪渓を通った方が全然早いし、涼しくて快適。
・三ノ窓雪渓は登降オッケイ。
・大窓雪渓も問題なし。大窓は薮。テントは1張張ってあった。
・池ノ平小屋では薪で小さい風呂を沸かしてくれていて、テント泊の人も入れる。
 6日はサクッと剣沢に戻って、室堂へ移動。2人先輩が院試の勉強のために冨山に降りてしまうので、残
りは僕と1年生1人になってしまったのでした。
でもついでにギア類も持って帰ってもらいましたけど。
 この日は室堂のバスターミナルのところでテント張らずに寝ようと思っていたら、ホテルの人に怒られて、
仕方ないからホテルの屋上で寝なさいっていうので寝ていたら、県警の人にとっ捕まって、結局ホテルの人
がバスターミナルの入口の中で寝かしてくれました。いやあ、迷惑かけてしまったっす。

8/7
 室堂〜一ノ越〜東一ノ越〜タンボ平〜黒部ダム→扇沢→大町

 室堂からダムまで3時間30分でついてしまうというハイペースでした。荷物が軽いといいですねえ。こ
のルートはあんまり人が入っていないのでかなり笹薮になっていました。んで、薬師の湯でのんびりして、
大町でソースカツ丼食べようと思ったら昭和軒は休みでした。駅前で寝て、合宿後半の後立山縦走にのみ参
加する先輩一人と合流。

8/8  大町→扇沢〜種池〜冷池

 荷物が軽くなったので、他の2人を置き去りにして全区間コースタイムの半分で飛ばす。縦走なんかやら
ないクライマーになっていたのに眠っていた高校時代の縦走魂に火がついてしまった…。

8/9
 冷池〜鹿島槍〜八峰キレット〜五竜〜唐松

 前日同様飛ばしまくる。1人完全にバテてしまい、共同装備を全部僕が持つことになったが、まだまだ
飛ばす。コースタイム2時間30分を1時間で飛ばす。他の2人はコースタイムよりちょっと早い程度な
ので、待っている時間の方が長いという本チャンみたいな状況に…。

8/10
 唐松〜不帰キレット〜天狗山荘〜白馬〜雪倉〜朝日〜黒岩平〜栂海山荘
1人体調が悪くて、もう1人が付き添って八方尾根から下山することになった。ということで僕1人になっ
たので日本海まで行くことにする。荷物も軽いので全区間コースタイムの半分でいって日が出ているうちは
全部行動することにしてコースタイム21時間、普通3日間のところを1日で行くことにした。
 んで、結果は1日で行けた。行動時間12時間30分。めちゃくちゃきつかった。栂海山荘に着くとこの
栂海新道を切り開いた小野健さん御一行がが偶然にもいらっしゃっていて、ビールやスイカをご馳走になっ
た。どうやら唐松から1日で来るのは前人未踏らしい。よかったよかった。

8/11
栂海山荘〜白鳥山〜尻高山〜親不知・日本海→糸魚川

 前日のハードスケジュールで体中ガタがきたが、しつこくコースタイムの半分で飛ばす。しかし、登りで
飛ばすのは簡単だが、下りで飛ばすのは非常にきつい。どんどんペースが落ちていき、標高500メートル
を切った辺りからは暑さも交じってヘロヘロになる。何とか11時に日本海に到着。そのまま日本海に飛び
込む。しかし、親不知は砂浜ではなく岩浜で、海に入ったはいいが、足にガタがきていて、痛くて直立歩行
ができなくなってしまった。しょうがないのではいつくばって海から上がる。周りの海水浴客から見たら謎
の男であったことだろう。

 3時間くらいして小野さん達が降りてきて、またもビールや冷えたトマト、果物類をご馳走になった。さ
らに青海の御自宅に突然お邪魔して、いろいろとご馳走になった上に、奥様に糸魚川駅まで送って頂いた。
もう感謝感激雨アラレである。

 ということで本チャンは魚津高〜筑豊をオールフリーで登れたし、縦走は前人未踏の記録らしいし(誰も
やらないだけだって…)、まあ充実した夏合宿でした。

 で、16日辺りから北海道へクライミングツアーに行くんですけど、よくよく考えたらもう1ヶ月半くら
いフリーやってないんですけど…。かなりやばいかもしんないです。



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