質問内容/回答

<質問>

 度々質問させていただいている、山形の山田と申します。皆さんの単独登攀方法を
読んでいる時に、一つ頭に浮かんだ事があります。
 確保の主な方法は、ソロエイドやソロイストを使用し、残りのロープはザックや
ロープバッグに入れて登る、というものですよね?私がそこで感じたのは(初心者な
りの疑問ですが)どんな方法にせよロープを背負って登ると重いだろうな、というこ
とです。
 そこで次のような事を考えて見ました。あくまで机上の空論です。実際に実験して
から述べるのが道理とは思いますが、もし私の考えがすでに誰かが行っていて、もう
ボツになっているなら教えて頂きたいなと思いました。
 ソロイストは自動的にロープを送り出せるんですよね? そしてソロイストは墜落
時の向きによっては制動がかからなくなる、という性質がありますよね。そこでこの
ソロイストを、登り始めのビレイポイントにセットし、ロープはパートナーと登ると
きと同様にハーネスに結んでおく。ロープのあまりはビレイポイントに絡まぬよう置
いておけば、ロープを背負わなくて済むのではないでしょうか。
 またソロイストをビレイポイントにうまく固定すれば、ソロイストの不利な点…墜
落時の向きによって制動がかからなくなる…は解消されるのかな、と考えて見まし
た。
 またこれはペツルのグリグリでもできるかな、とも考えて見ました。
 でもこんな方法上手くいくならとっくの昔にみんなやってますよね?皆さんお時間
ありましたら、私の空論にご意見・ご批判賜りたいと思います。よろしくお願いしま
す。

<解答> 


永岡と申します。
暇なので久しぶりに書かせていただきます。

山田さんのおっしゃられている「ビレイ点にデバイスを固定する」という方法ですが
最も致命的な欠陥がデバイスの作動が途中でおかしくなった場合対応し様が無い
所です。
グリグリにロープを通して引くだけでもロープの状態(太さ、毛羽立ち、濡れ)など
に
よって動かなくなることは多々あります。ましてや岩やランニングとの摩擦がかかれ
ばいつロープが引けなくなってもおかしくありません。またグリグリ自身のロック機
構
が働いた場合にも自分がビレイ点まで戻らないと解除できなくなります。私自身「平
地」で試しただけでもこれは不可能だと確信しています。

ソロイストは使ったことは無いのですが、構造上デバイスに対してロープの引かれる
方向に依存してブレーキがかかるので結果ブレーキ機能が全く働かないと思います。

当方「サイレントパートナー」を所持していますがグリグリと同様な理由で使用は不
可
能かと考えています。(でもロープの流れは良いのでグリグリより可能性はあるかも
知れません。)

さらにもう一つ懸念としてはロープの重さがあります。もし繰り出したロープ重量が
増え
デバイスの繰り出し抵抗よりロープが受ける重力が強くなれば際限なくロープが流れ
て
しまうことになります。
ロープを背負うタイプの方法でもこれを避けるために途中のランニングにロープを固
定し
たりしていますが、この方法では対処のしようがなくなってしまいます。

以上からこの方法はかなり危険だと思いますので、もし試すのでしたらビレイ点にど
な
たか「バックアップの人間」をおいて試されるのが一番だと思います。
ですが更なる改良を加えれば何らかのデバイスで実用化出来かもしれないので、更な
る試行錯誤をしてみてください。
また既にこれらの欠陥を乗り越えて実用化に成功した方がおられれば、是非教えてく
ださい。


四方と申します。 ソロイストをたまに使うのですが、 >山田さんのおっしゃられている「ビレイ点にデバイスを固定する」という方法ですが >最も致命的な欠陥がデバイスの作動が途中でおかしくなった場合対応し様が無い >所です。 そのとおりです。そしてロープの流れは滑車のごとくするするとは行かないので 全く登れないと思います。 >ソロイストは使ったことは無いのですが、構造上デバイスに対してロープの引かれる >方向に依存してブレーキがかかるので結果ブレーキ機能が全く働かないと思います。 ハイ、ロープは上から下方向には流れるが,下から引っ張られたら止まるという 構造です。 永岡さんの指摘通りです。 山田さん、確認のために、とトライするのも危険に思えます。 おやめ下さいね。
月稜会の角屋です。  四方さんのおっしゃるとおりですが、ソロイストなどをスタート地点に固定して も、ロープを繰り出す方向とフォールした時にロープが引かれる方向が同じなため、 ブレーキが利きません。つまり、ブレーキが利く方向にセットすれば、逆にロープが 繰り出されないようになります。  私がソロで最近使っているのはルベルソです。ハーネスにセットした上でクビにぶ ら下げるのですが、今のところ確実にロックします。ただし、セットの仕方を間違え ないように注意する必要があること(あたりまえ)と、クビにかけるシュリンゲの長 さの調節に経験が必要な事、そしてロックする時の衝撃が結構強いので、ランニング に不安がある場合や、予想墜落距離が長くなる場合は不安です。また、ロープをク リップする時に、腰クリップなら良いのですが、高い所にクリップしようとした場 合、ロープを手繰るのにちょっと手間取ります。  まあ、最近はソロなどしないで済むのなら、なるべくしないようにしていますが。

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