ヨーロッパアルプス/マッターホルン

<ヨーロッパアルプス/マッターホルン>

無所属/大嶋慶諾、山下


<記録> 大嶋慶諾



1996年8月3日〜18日

大嶋@無所属です. マッターホルンに登ってきました. 以下,簡単に報告します. 山下君が帰ってきたら,また改めて彼からもあると思います.

 結論から言うと時間切れで完全な頂上には立てませんでした. このMLではいろいろ情報をいただいておいて恐縮ですが, 一番大きい敗因は体力不足のトレーニング不足, というところだと思います.

<行動内容>

8/3 (土) 成田 - ブリュッセル - チューリッヒ (ユースホステル泊)
8/4 (日) チューリッヒ - ツェルマット (キャンプ場泊)
8/5 (月) ツェルマット - ヘルンリ小屋 - ツェルマット (キャンプ場泊)
8/6 (火) ツェルマット (キャンプ場泊)
8/7 (水) ツェルマット - ヘルンリ小屋 (ヘルンリ小屋下で幕営)
8/8 (木) 偵察
8/9 (金) 本峰アタック (ビバーク)
8/10 (土) ツェルマット (キャンプ場泊)
8/11 (日) ツェルマット - グリンデルワルト (キャンプ場泊)
8/12 (月) グリンデルワルト (キャンプ場泊)
8/13 (火) グリンデルワルト - バーゼル
8/14 (水) バーゼル - フライブルク(山装備を船便で郵送) - バーゼル
8/15 (木) ベルン観光
8/16 (金) ルツェルン観光
8/17 (土) チューリッヒ観光
8/18 (日) 大嶋帰国(山下学会のため残る)


8/3 (土) (現地は)雨

 ブリュッセル経由チューリッヒからスイスに入る. その日はチューリッヒのユースホステルで1泊.日本と違ってコンビニ等無いの で夕飯は食えず(夕食の時間はとうに過ぎていた)水を飲んで我慢.「明日にな れば...」

8/4 (日) 晴

 チューリッヒからツェルマットへ移動. ツェルマットの駅からすぐのところにあるキャンプ場に幕営. 土産物屋しか開いていなかったので,何もできない. 日曜はスーパーも閉っており,食糧調達ができない. 日本から持っていった即席ラーメンを食べる.

8/5 (月) 晴

 ツェルマットからヘルンリ小屋まで往復して, 上にテントが張れるかを確認しにいく. 日本で聞いた話ではあまりテントを張っている人はいない, (スイス政府観光局のお姉さんの話では幕営禁止とまで言われた) とのことだったが, ヘルンリ小屋のすぐ下のところに テント村(といってもテント数は一桁)ができていた. 「これなら安心. 明日はテントを持って上がってこよう.」 下で,食糧,燃料を調達.

8/6 (火) 晴

 寝坊. といっても, ヘルンリ小屋まではすぐだったので,別段慌てることもな く, 準備をする. ところが,気が付くとキャンプ場の受付が閉っている.

 ドアのところを見ると, 「受付時間 8:30-10:00/17:20-19:00」と書いてある. 「ゲ!パスポートを返してもらっていない...」 仕方がなくもう一泊. ツェルマットの薬局で扱っていた遭難時にヘリを飛ばしてもらえる保険に入っ た.(30SFで1年間スイス国内のみ有効でした.)

8/7 (水) 雨

 ヘルンリ小屋まで移動.

 ささやかな水場もあった.(直径30cm位の窪みの周囲を岩で固めただけの水溜ま りであるが,2個所作ってあった.水は一度沸かして使用) ちなみに小屋で水をわけてもらうと8[SF/l]とのことだった.

 夕方には雨もやみ, 取り付き付近を偵察. もっとじっくり偵察しておかなければ分からないだろうと思い, 次の日は明るくなってから行動することにする.

8/8 (木) 晴

 4:30過ぎ起床.
 テントの外を見るとヘッドランプの列が東壁をトラバースしていくのが見える. 雲ひとつない.
 6:00行動開始.
 まず,稜線に出るまでに迷ってしまい,何とか間違いだらけの踏み跡をたどりつ なぎ強引に稜線に出る.(登ったり降りたりを繰り返した結果ここまでで4時間 もかかってしまった.) ここから東壁側をトラバースする道が分からず. 結局,ソルベイ小屋を遥か下から仰ぎ見る位置で引き返してきた. (出発から6時間)(次の日に登ったときに分かったのであるが, 結局,そのとき引き返した地点から真っ直ぐ登れば良かったようである.)

 稜線上の正しいと思われる踏み跡まで戻り, ゆっくり降りながら,下りのパーティーが降りてくるのを待つ. 最初に降りてきたパーティに先に行ってもらい, 少し離れて後からついていくと, 最初に間違えたと思って引き返した道の方へ降りていった.

 「うーむ, やっぱり知ってる人の後をくっついていくのがいいね」 ということになり, 翌日は早起きして行列の後をついていくことにした.

8/9 (金) 晴

 2:00起床.
 3:30出発.
 ヘッドランプの列についていく. が,気が付くと実は全部日本人. お互い現地ガイドの後をまんまとついていっていると思っていたら,先頭も普 通の登山者. 早速,暗闇のなかで迷いそうになっているところを客をつれた現地のガイドが 通りかかり,皆でぞろぞろついていく.

 ペースは順調で昨日4時間かかってやっとついたところまで1時間足らず. 明るくなる頃にはモズレイスラブ下まできていた.この辺で大嶋少しバテる. モズレイスラブは渋滞になっておりここで最初の時間を食う.ソルベイ小屋に ついたのは出発から約4時間後.
 ソルベイ小屋ではザイルを整理してすぐに出発するが,ここから渋滞は本格化 しだす.前がつっかえてなかなか進まない.(おかげで大嶋ばてていたのが回復.) フィックスロープが出てきたときには,下りのパーティーとも重なり完全に先 へ進まなくなってしまっていた.それでも少しずつ進み,フィックスロープが終 わって雪田へ出るころには12:00をまわってしまった.

 だんだんとガスが出てきて視界が悪くなってくる.雪田には鉄杭が打ってあり そこを支点にビレーや懸垂をする人が群がっている.(ここで引き返した人もい たようです.)雪田の中打ってある最後の鉄杭からさらに1ピッチ登ったところ, 前にお地蔵さんのようなものが見えた.最後に降りてきた人とすれ違ったとき に後5分くらいで頂上とは聞いていたが,視界はほとんどなくなっており,ここ で引き返すことを決定.

 下へ降りていくと,まだ鉄杭のところに人が群がっている.フィックスロープの ところまでは懸垂.フィックスロープが出てきてからはコンテのままフィック スロープにカラビナをかけてフィックスロープを伝って降りてくる.これで, 予想以上に早く降りることができ, 上ですれ違ったパーティのところまで追い 付くことができた.ここで,自分達が行ったところまでを言うと,残り高さにし て10m位だったと言われる.悔しいが,自分の実力不足もあり仕方がない.

 さらに,結局その日はヘルンリ小屋までは降りられなかった. 完全に暗くなってしまいルートが分かりにくくなってしまったこととモズレイ スラブの下で追いついた2人のパーティーのうちの一人がヘッドランプの故障 で歩けなくなってしまったため,23:00ツェルトを貸して4人でビバーク.

 夜中1:00頃懸垂で脇を通過していくパーティーがいた.

8/10 (土) 曇/雨

 第2クーロアールの辺りまで来ていたことは分かっていたが, 次の日,下から登ってくるヘッドランプの列を見るまでは, ルートの途中でビバークしているとは思わなかった. 完全に明るくなるのを待ちヘルンリ小屋まで下山.

 前夜懸垂で通過していった人たちは私たちのすぐ下でビバークしていた.

 前日と同じくデッドランプの列が上がっていくが,昨日と違い頂上にはすでに ガスがかかっている.

 テント場へ戻ってみると水場が渇れている. これでは飯も作れない. 仕方がないので,テントを撤収しツェルマットまで降りる. 流動食(ヨーグルト,アイス,果物)で腹を満たした後は死んだように寝る.

8/11 (日) 雨/曇

 前の日から雨がずっと降っている. もう一度マッターホルンに登る気にはなれず, メンヒとユングフラウくらいならば何とかなりそうだと思い, 次はユングフラウ方面へ行くことにする.

 グリンデルワルトへ移動. サンドというキャンプ場にテントを張る. グリンデルワルトは曇り. アイガーが見えると思しき方向はガスっていて何も見えない.

8/12 (月) 雨

 朝から雨がざーざーと降る. スポーツセンタの1Fに出ている天気予報では今日も明日も天気は良くない. ユングフラウヨッホ迄移動するつもりでいたが, やめて, 観光に切り替える.

 次の日からは山装備を船便で送り,スイス観光客... グリンデルワルトを発つ時ちらっとアイガーが姿を見せてくれました. 写真を撮って終りというのも,もったいない気がしました.

<感想>

 それにしてもすごい渋滞でした. 速い人はどうも強引な追い抜きをやっていたみたいです.現地のガイドはちょっ とでもすきまを見せるとどんどん割り込んできます.

 狭いルートの途中(最後のフィックスループが垂直に近くなっているところ)で アイゼンを履いている人などがおり, 渋滞の原因を作ってる方も作ってる方で すが, やっぱりそういうのも強引に抜いていかなきゃいけなかったのでしょう か...?

   やっぱり渋滞に引っ掛からないうちに登って降りてこなきゃいけなかったので しょうね. もっとルートファインディングがうまくならなくては(体力ももっ とつけなくては)と反省した今回の山行でした. それにしても悔しい...

#それでも,生まれて初めての海外旅行としては非常に充実しておりました. #良かったです.



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