南岳西尾根〜槍ヶ岳

TUSAC/新井裕己、その他


< 記 録 > 新 井 裕 己



(山行日)1996年12月26日(木)〜12月30日(月)

<記録> 12月26日


 予備日を入れて8日ということで買う切符に悩む。結局、北陸ワイド周遊券 を千葉市内から乗るのがベストと判断(東京都区内からと値段が同じで有効日 数が10日と3日も長い、北陸までの行き帰りに急行自由席に乗れる等)し、 わざわざ総武線の幕張本郷までいって切符を買う。んで、急行能登で離京。

12月27日
 富山で高山線に乗り換え、猪谷で神岡鉄道に、奥飛騨温泉口でバスに乗り換 えやっとのことで新穂高温泉に到着。天気は入山日にはもったいないほどの快 晴。雪の量は少な目でトレースもついているので快調にとばして、穂高平、白 出沢出合、滝谷出合を越えて、1900m付近の本谷沢を横断するところで横 断しないで沢を詰めていき、南岳西尾根の末端にとりつく。トレースは予想通 り全くなく、はじめの急傾斜はかなりのラッセルを強いられる。2時間ほどラッ セルしたところで最低コルに到着。偵察兼ラッセル部隊と設営兼天気図部隊に わかれる(部隊といっても2人ずつ)。最低コルは3、4張張れそうだが、風 が強そうだったので、ちょっと下の1張ぎりぎり張れるところに幕営。

12月28日
 天気は雪。それほど強い降りではないので予定通り出発。うまく行ければ南 岳の冬期小屋に泊まれるだろうが、途中の2631mピークやそのほかもろも ろにも張れそうなので臨機応変にということで。はじめは昨日のラッセル部隊 のおかげで楽に進めたが、トレースが無くなると傾斜も強いのでスピードも上 がらない。デルタ状岩壁の下辺りからクラストしてきたのでワカンからアイゼ ンにはきかえる。デルタ状岩壁ではロープを1ピッチ出して真ん中を突破。大 したことはないが、荷物が重いので結構きつい。

 岩壁を越えて少しいくと2631mのピークに到着。この辺りで森林限界を 越え、風雪ともに強くなる。視界もあまりなくこの先つっこむか判断に悩むが、 まだ11時前なのでとりあえずつっこむ。2700mも幕営適地という話だっ たが切り立ったコルで風が強く、こんなところで張るくらいなら2631mピー クまで戻った方がまし。

 風も強くクラストしているところが多くなり、アイゼンをきかせてガンガン とばせるようになる。どれがマッチ箱なんだかわかんないままにいくつか岩稜 帯を越していきながら、ナイフエッジと急な雪壁でロープを出すが、どちらも ちょろい。このあたりから猛吹雪となり、まつげに氷柱が下がるし、雪が舞っ て呼吸困難になる。前の人と近づきすぎると乱気流が発生してマジで苦しいの で、ちょっと間をあけるが視界が悪いのであけすぎてもやばい。ナイフエッジ という話だったが、こんなのはナイフとは言わんと思いながらもラッセルを続 けると2900m付近で南西尾根と合流してさらに尾根は広くなる。視界が悪 い上にまつげ氷柱で目も開けてられないので小屋を見つけるのにかなり苦労す るが、5分に一瞬くらい視界が晴れることがあるので方向を定めてドリャドリャ とつっこみ、無事冬期小屋に到着。中は真っ暗なので注意。

12月29日
 天気次第では、昨日とばしたのでうまく行けばこの日中に下山できてしまう。 と思ったらありがちなパターンながら2時間寝坊。しかし、小屋の外は雲ひと つない快晴。風は強いものの3000mの稜線上だから当たり前と言うことで、 最高のコンディション。周囲の山々はすべて見えていて我が15年の山歴でも 最高の展望。クラストした稜線をアイゼンをきかせて槍めざしてガスガス進む。

 南岳をこえて中岳むけて進んでいると、足下がするっと滑った。やべぇと思 う間もなく滑落開始。斜度が緩いからすぐ止まるかと思ったが、なかなか止ま らず、オイオイと思いながらも滑落停止開始。ピッケルさんありがとうという 感じで止まった。原因はアイゼンが外れた御様子。かなりやばかったッス。やっ ぱりワンタッチアイゼンは前の方と足首がつながっているやつの方がいいです、 実感。

 中岳の下りは梯子を使ってサクッと下り、大喰岳にザックをデポして槍山頂 をピストン。ここまで来ると他の登山者も多い。下山は大喰岳西尾根。よくよ く見れば、飛騨乗越からトラバースすればいいので飛騨乗越にデポしておけば よかったと後悔。ガンガン下るが、飛騨沢もぜんぜん雪崩の心配もなく皆さん 下降路に使っている御様子。山スキー滑っている人もいてうらやましい限り。 2600m付近から飛騨沢の宝の木めざして下降。沢は雪が深いのでワカンを つけ、ダブルストックで駆け下る。あっという間に槍平に到着。驚くほどにテ ントが多くかなりびびる。ここは流水あり。頑張れば新穂高まで行けるが、食 料がたくさん余っているので一泊することに。あんまりうるさいのも何なので、 槍平をはなれ、1900m付近の平坦地に幕営。

12月30日
 サクッととばして新穂高温泉へ。途中滝谷出合にもテント村が。さすが正月、 入山者も多い。奥飛騨温泉口行きのバスには間に合わなかったので(1日2本…)、 温泉に入ってからバスで高山へ。高山で暇つぶしてから、鈍行で富山へ。富山 でパアーッと飲もうと思ったら、忘年会だらけでどこも満員。しかたなく、コ ンビニで酒買って、駅のホームで宴会。かなり寂しい。急行能登で帰京。電車 はかなり混んでた。

 天気が良くて予定よりもサクッと終わったが、1日吹雪かれた日もあって、 岩場も荷物が多かったのでまあまあで、充実した山行でした。まさに冬山は天 候次第ということで。


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