甲斐駒ヶ岳/黄蓮谷右俣

登攀倶楽部求道心/斎藤祐一、藤田倫康、今井 啓


< 記 録 > 今 井 啓


(山行日)1996年12月29日(日)〜12月31日(火)

<記録>

12/29 竹宇駒ヶ岳神社 8:00 -- 5合目 13:00 -- 千丈の岩小屋 14:00
12/30 千丈の岩小屋 7:00 -- 奥千丈の滝 9:00 -- 奥の滝 12:0 --山頂15:30 --7合目17:00
12/31 7合目 9:00 -- 竹宇駒ヶ岳神社 13:00

 千丈の岩小屋をでて黄蓮谷に降り立ち、最初の滝は滝壷が出ていて登れないので右か ら巻く。坊主の滝は中を水が流れているのが見えるが問題なく登れる(IV-)。一応 ロープを使った。

 先行パーティはなく、踏み跡も数日前という感じなので楽しい。水流が出ているので 雪を踏み抜いて落ちないよう気を使いながら進み、15m滝、二股と過ぎると奥千丈の 滝だ。奥千丈の滝の最初の部分は見事に埋っていて、氷が出ているのは5mくらいしか ない。その上の夏の核心部も完璧に埋っている。見事に氷化した側壁を見ながらぐん ぐん高度を稼ぐ。雪が締まっていてアイゼンが面白いように効く。

 奥千丈の滝の上は、時たま現われるナメ氷の他はひたすら雪面を登る。ラッセルのな い雪面登高は気持ちいいが、こう長いと飽きる。インゼルを越えて、デブリの上で一 休み(!)したあとさらに登っていくと、薄い氷の張った滝が現われる。奥の滝だ。 小さな滝を右から越え、リッジを越して滝の左端の雪の堆くなった部分を登っていく 。滝そのものは左端の岩との凹角をガイドブックの記述通り登るが、不安定なベルグ ラのスラブで結構怖かった。もう少し右の氷のわずかに厚い部分とどっちを登るか迷 ったが、こういうところで経験の少なさを実感してしまう。

 このあとは雪質のいいところを選びながら延々と雪面を登ると、黒戸尾根の山頂直下 、駒ヶ岳神社の社のあたりに出た。山頂には人影がなく、雲一つない晴天で素晴しい 眺望だった。7合目の冬期小屋に泊まる予定だったので、赤石沢の奥壁を登るパーテ ィを見つつ急いで黒戸尾根を下った。

 当初単独でいく予定でしたが直前で3人になりスピードが心配でしたが、天気もよか ったし、雪も締まっていてラッセルもなく、なおかつ滝はほとんど埋っているという 状況だったので呆気なく登ってしまいました。千丈の岩小屋はとても快適な場所で、 焚火もできたし、7合目の小屋も羽毛350gの寝袋で暑いくらいだったので「冬合宿が こんなのでいいのかあ」と皆でいっていました。

 黒戸尾根を下山中、刃渡りで転倒して休んでいる登山者の群れに向かって滑落してし まいました。そのグループのリーダーとおぼしき人が「上手い人でもこういうことが あるんだから皆さん気をつけて!」と訓示しているのを聞いて顔から火が出るほど恥 ずかしかったです。


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