黒部別山・大タテガビン南東壁正面壁露草ルート

黒部別山・大タテガビン南東壁正面壁露草ルート

京都・左京労山/伊藤達夫・野村勝美・富澤隆一郎


< 記 録 > 伊藤 達夫



  黒部別山・大タテガビン南東壁正面壁露草ルートに行って来ました。4ピッチしか登れず敗退しま
したが,初登以来ほとんど記録のないルートなので報告しておきます。

山行日: 1996年10月10日-12日

参加者: 伊藤達夫(左京労山)・野村勝美(左京労山)・富澤隆一郎(京都府立大)

山岳会: 京都・左京勤労者山岳会/京都府立大学体育会山岳部

ルート: 黒部ダム - 南東壁沢 - 正面壁露草ルート4ピッチ目まで - 同下降 - 南東壁沢下降
     - 黒部ダム

10/10 晴れ

 黒部ダムから入山。南東壁沢はF1の下から左岸のスラブを8ピッチ登り,最後は沢筋に戻り,ガレ
を登って基部洞穴に入り登攀準備。

 洞穴から少し下って 沢の最奥部から取り付き凹角から逆層のフェースを登る。
1ピッチ目は30m,特に問題なし。

 2ピッチ目,ビレイポイントから少し下って左へ水平にトラバースし,カンテを回り込むとバンドが
ある。これをさらにトラバースしぼろぼろのくぼみに上がり込んだところでロープが流れなくなり苦労
してボルト2本を打ってビレイ(25m)。さらに5mほどで,一段上のバンドへ上がって安定したテラ
スでビレイを取り直した。ここからロープをフィックス(30m弱)して基部洞穴の前へ下降し洞穴内で
ビバーク。

10/11 晴れ

 空中ユマーリングで昨日のテラスへ上がりザック3個を荷上げ。 3ピッチ目,左上の凹角を登り,途
中から右のスラブへ出る。このスラブを人工で登って広いバンドへ(30m)。バンドを右へ10mトラバ
ースしビレイを取り直す。

 4ピッチ目,左斜上後人工で直登して下部破砕帯のバンドへ(25m)。ここで時間がかかりすぎている
こととルートのあまりの悪さに嫌気がさし下降を決定。

 3ピッチの懸垂で基部へ戻り,南東壁沢を20m5回の懸垂を交えて下降。鳴沢出合の岩小舎に泊まり翌
日下山。

 伊藤にとって,大タテガビン南東壁の正面壁は,残雪期と積雪期には3連勝だが,無雪期には1勝4敗
となってしまった。岩が脆く傾斜が強いのでとにかく悪い。ここでの登攀に比べれば,奥鐘山西壁の近藤
・吉野ルートから唐松岳まで登ることさえハイキングのように思えてしまうほどだ。

 来年はもっと気合を入れて,露草ルートと岳人第二ルートの2つを完登したい。



 黒部別山・大タテガビン南東壁正面壁露草ルートの報告に訂正があります。

 「南東壁沢はF1の下から左岸のスラブを8ピッチ登り」と書きましたが,南東壁沢は右岸のスラブを
登りました。

 いつも,このスラブ沿いのアプローチをとるのですが,重荷で確保なしだと少し怖いし,確保しようと
するとビレイポイントが適当な間隔でなく苦労します。

 素直に沢沿いに行った方が楽かもしれません。F1少し悪いかもしれませんが空身でフィックスしても
それほど時間はかからないと思います。


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