剣岳/小窓尾根

茅野労山しらびそ山の会&むさしの勤労者山の会/篠原宏次、清水、町田グラウス/篠原延


< 記 録 > 篠 原 宏 次


(山行日)1996年12月28日(土)〜12月31日(火)

<記録>

12/28 茅野17:00−上市21:30

 茅野バス停で東京から来る清水車に拾ってもらい中央道〜直江津回りで上 市まで入る。途中妙高高原付近では雪だったが上越市では雪は無い(上市 も同様)。上市駅前の地下駐輪場通路でシュラフに入る。夜中に他のパー ティが来てうるさい。

12/29 晴れ:上市6:40−ゲート7:30−馬場島9:30−雷岩12:00−1600m14:15

 夜行で来た篠原延さんと合流し清水車を駅ビル裏の駐車場に止め、タクシ ーに乗り込む。伊折まで雪はなく、結局剣青少年センタ先のゲートまで入 る(積雪10cm)。単調な車道歩き2Hで馬場島へ、警備隊でヤマタンを受 け取る。小窓尾根は10パーティ以上届け出があり、既に数パーティが入 った由。白萩川沿いのしっかりついたトレースを追い、取水口から雷岩ま で4回の徒渉をすべて石を跳んで渡る。雷岩からラッセルのトップに感謝 しつつ急斜面のトレースをたどる。ちょうど1Hで尾根上に着き、そこか ら1Hで1600m台地に至る。他5パーティとおだやかな夜をすごす。

12/30 晴れ:1600m6:00−ニードル10:00−ドーム10:30−三の窓14:00

 満天の星の中ヘッドランプをつけトレースをたどる。2000mピークの先の コルで、先行パーティが雪庇に乗り亀裂が入ってあわてて逃げた跡を見つ ける。低いところでも気の抜けない所だ。2100mで元気な若いパーティに 抜かれる(平均年齢40+αの当方とはペースが違う)。それでもニードル 手前でハーネスの用意をしている彼等を抜きかえし、ニードルのテラスで ザイルを出す。ここは15m程の下降トラバースがあって良くない。(中間 にちょうど良い木が生えているが、皆がつかむので何年かすれば枯れてし まうと思う)急雪壁を登り、見晴らしの良いドームから見るとトレースは 直近の岩峰正面についており、先行5人パーティが取り付いている。記憶 ではここは巻いたはず、とドームからコルに下り、フィックスに従って一 段登った所から岩峰基部を右に回り込むと、フィックスが出てきてルート が正しいことを確信。(今回の山行で自分でトレースをつけたのはここだ け。あとは全て階段ステップとアイゼン跡をたどった)マッチ箱の難所も トレースがしっかりで、フィックスも出ていたのでザイルは出さずに通過。 あとはひたすら雪稜をたどり、小窓の王基部の懸垂点もザイルは出さず階 段ステップを下り三の窓に早い到着となる。幸運なことに三の窓雪渓側に 雪洞跡があり、少し拡張したがありがたく使わせて頂く。後から4パーテ ィ程が来て三の窓に設営。

12/31 ガス後晴れ:三の窓6:40−池の谷乗越7:20−剣岳8:50−早月小屋10:50−馬場島14:00−ゲート15:30−上市16:00

 小雪混じりのガスの中、雪洞を後にする。池の谷ガリーの雪は落ち着いて おり、アイゼンをきかせて急雪壁をひたすら登る。乗越では2人パーティ? が撤収中で、彼等もタクシーの便を考えて今日中に下山予定、と会話を交 わす(上市近辺は1月1日はタクシーが休み)。剣尾根の頭付近で剣本峰が ガスの切れ間から迫力ある姿を現す。長次郎コルへの懸垂下降点は剣沢側 にトレースがついており、効率よく通過。このトレースを付けた人の判断 力に感心するが、視界も無いこの日、自分がトップだったら懸垂したかも? コルから急雪壁を息を切らして登りしばしで本峰へ。祠がわずかに出てい る。この頃には完全に晴れ上がり、気分が良い。見ると別山尾根に延々と トレースがついている。早月尾根を下降し、シシ頭のトラバース点でザイ ルをフィックスして登ってくるパーティに出会う。待たされそうなので稜 上を行く(下降方向は簡単)。その後は展望を楽しみつつ、何の苦労も無 く早月小屋に着いてしまい、気温も上がって冬のジャケットを脱ぐ。小屋 からは登ってくる人に気兼ねしつつステップを崩しながらひたすら馬場島 を目指す。馬場島の警備隊詰め所に公衆電話があり、下山報告とともにタ クシーが呼べるので便利。

装備:4・5人用エスパース、9mm*50mザイル1本、カラビナ各自4枚

皆さんの報告にもあるように、この正月は天候に恵まれ、最低5日を覚悟 していた小窓尾根〜早月尾根に3日で行ってこれて少々拍子抜けでしたが、 たまにはこんなこともあるものだ、と思いました。


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