鹿島槍ヶ岳/大冷沢/鎌尾根

京都大学/村田次郎


< 記 録 > 村 田 次 郎



<日程> 11月25日(月)〜26日(火)

・ 積雪状況:cont.1300mから雪が現れ、1500mで完全に雪に覆われる。
・ 鎌尾根は下部はブッシュが埋まっておらずcont.2200mあたりで完全な雪稜となる。
・ 上部はキノコ雪が成長を始めたばかりという感じ。
・ 尾根上でどこも最低1.5mは積もっている様子。対岸の東尾根は一ノ沢ノ頭付近から上部は真っ白に見えた。
・ 見える限りで雪崩の痕跡は大冷沢周辺で全く無し。



11/25 晴 -> 雪 -> 晴

5:30 大谷原 st.、6:20 西俣出合、7:20 北股出合、13:00 JP直下稜線、 15:00 cont.2400付近で幕営

 大町から予約していたタクシーで大谷原まで。途中狩野さん宅で登山届けを 提出。暗闇の中を歩き出す。雪は全くない。西俣出合で残雪が数cm程度。側壁 には殆んど雪は付いていない。安心して北股を目指す。

 岬状の鎌尾根突端は深 いブッシュに覆われていた。左へ50m程入った所に食い込む小さなブッシュ混じ りのルンゼに入る。雪は締まっており足首程度のラッセル。一度尾根上に上が ってみたが激しい薮漕ぎで途中から再び布引沢に降りて雪崩を警戒しながら インゼル状の台地をひたすら登る。

 相変わらず雪は締まっている。cont.2100m 付近でJPから落ち込むルンゼを目指して急な側壁を登りcont.2320m地点の尾根 が水平に張り出した部分に上がった。いきなり鋭いナイフリッジ。北側の雪面 は新雪状態、南側はブレーカブルで歩きにくい。アイゼン+ワカンのまま一部 露岩、キノコ雪状の部分があるものの頂角45°以下の切れそうな急傾斜のナイ フリッジの登高を続け、cont.2450地点で尾根が微妙に傾斜を落とした部分を 整地して猫の額程の平地を作り幕営。夜行列車明けで疲れてしまった。

 明け方 北日本を通過した低気圧の影響も抜け高気圧の圏内に入りつつあった。澄んだ 青空の下足元のすっぱり切れ落ちた絶景を楽しみつつ、早く安全圏に入りたい 不安な一夜を過ごした。満月が夜通テントを照らし翌日の晴天を約束してくれ てはいたが。

11/26 無風快晴 -> 高曇

6:20 st.、8:30 主稜線着、9:20 南峰発、13:10 西俣出合

 夜明けとともにテントを飛び出す。雲一つない快晴、そよ風すらない。絶好 のコンディションのなかいきなり核心の露岩、ナイフリッジへ進む。

 今日は ワカンははずしアイゼンで切り込む。急な雪壁の下部がブレーカブルになっ ており消耗させられるが特に困難もなく次第に傾斜も落ち程無く雪ピの張り 出す主稜線が目の高さに近付いて来た。

尾根は自然に稜線に吸収されており 不安だった雪ピきり崩しの必要もなく稜線に飛び出し、冬の剣が圧倒的な迫 力で飛び込んで来た。稜線上にはトレースがあり鹿島槍南峰を踏んだ後快適 に赤岩尾根を下山した。

 大谷原から工事関係車両をヒッチして鹿島山荘へ下 山報告。ご馳走になった漬物がとてもうまかった。バスがないので再び釣の 車をヒッチして大町へ。松本の「高橋」でカツ丼大、ビール一本で無事成功 を祝った。


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