槍ヶ岳/北鎌尾根

日本登高研究会/惠川佐和子、伊藤


<山行日> 1999年10月9日(土)〜11日(日)<記録> 惠川佐和子



 惠川@日本登高研究会です。

 またぁ?と言われそうですが・・ どうしても、アプローチが変わってしまった様子をこの目で見たくて また、「北鎌」へ行ってしまいました。

《その後の北鎌尾根》

 湯俣までは、壊れた橋も修理され、 崩れた個所も整備されいた。そのせいか2時間で到着してしまった。 ダムの小屋の後ろをくぐり抜けてびっくり。

 かつてはクサリを使って、足下切れ落ちたところをへつりながら行き、 橋の袂までひと登りして行ったのに、川底が土砂で埋まり、 段差がなくなっていて、登らずに橋に行ける。

 初めて行った人は”なんでこんなところにクサリが・・?”と思うでしょう。 橋も新しいものに架け替えられていた。

【アプローチ】

<トラロープの付いたトラバース>

 途中までロープを伝わって行けるがその先は、 懸垂しても水の中となるため不可。 ロープの手前から川へ降り、徒渉となる。 そして、数メートル進んで、再度左岸へ渡り返した。

 その先から川は二俣に分かれ、えぐられているところや、土砂が押し寄せて いるところもある。そのため川幅が狭まり、水深は増しているように見えた。

<ワイヤーのついたへつり>

 ワイヤーは跡形もなく、替わりに残置ロープが張ってあり容易に越せる。

<以前の第一徒渉点>

 橋の残骸が対岸にへばりついていて全く役にたたず、 少し先の比較的穏やかなところを選んで、入水。 水は切れるようにつめたい。

<以前の第二徒渉点>

 クロスした倒木は、クロスが外れてしまって、利用できない。 あんなに、ワイヤーなどで固定されていたのに驚き!

 手前に大木が横倒しになっていて、先端が丁度対岸へ到達しているので、 その上を歩いて渡った。これは、幅があるので比較的安心。 渡ったところが、P2基部となる。

<アプローチの全体の様子>

 同じ川を遡行しているとは思えないくらい様子が変わってしまった。 徒渉は4回。水の中を飛び石したところもあって、水量によっては難しいかもし れない。

 土砂が押し寄せて、川の流れが変わってしまったようだが、 高巻で行ったところも河原に下りて歩けるようになったりと、いろいろ。

    【稜線】

 P2基部から上がるが、途中の岩場にあった、古い残置ロープは老朽化して 引っ張れば切れるので、切ってきた。

<P5基部からの懸垂個所>

 基部から懸垂し、一番下のバンドへ出れば、踏み後が見られるが、不明瞭。 懸垂しなければ、岩をトラバースして、クライムダウン。更に下降して トラバースを続け、奥のガラガラのルンゼ登りに突き当たるのだが、 ルンゼにかけてあった残置ロープがなくなっていて、目印がなく 奥へ突き進むというのがわかりずらくなった。

 岩をトラバースした後、すぐに直上した形跡が見られる為 後続パーティーもそれに導かれ上へ上がって行き、行き詰まって戻ってきた。

<P6のトラバース>

 かなり崩壊していてガレが進んでいた。 足下は数百メートル切れ落ちているので、ロープを使用。 ビレー用のピンは以前は2本あったが、1本に減っていた。 ホールドもボロボロで、足を置いた岩が崩れ、危うく落ちるところだった。

<P7の登り>

 登り始めてすぐに、コケモモ畑!とてもおいしい。

<北鎌のコル>

 コルから100メートル〜150メートル降りたところでしみ出しがあり、 水が得られる。我々はそこで補給した。 (運がよければ得られるくらいに思ったほうがいいかも?)

<独標>

 千丈沢側をトラバースできるが、ここも崩壊著しい。 2年前はロープを一回使っただけだったが、今回は数回使用した。

<P15>

   夏道はトラバースで行くが、ここも崩壊が激しく 途中まで踏み後があるものの、ロープを使用しないと危険。 しかし、その先は進めなくなり、ルンゼを上がるところは完全にガレ場となって いて 多分直上は難しい。

 我々は、トラバースせずに積雪期のルート、稜線ルートを取った。 しばらく、稜線の岩稜帯を歩いて行くと、 トラバースで行き詰まったパーティを見下ろす。 このパーティーは、戻って来て我々の後を追ったようだ。

<槍の登り>

 北鎌平から基部までの登りは比較的安定している。 最後から2ピッチ目のチムニーの登りだが、 槍の小屋の人の話しだと、横に亀裂が走っているそうである。

<全体の感想>

 自然の力というものは本当にすごいものだと思いました。 アプローチがここまで変わっているとは思いませんでした。 「北鎌尾根」はどんどん崩壊していっているといった印象を受けました。 無積雪期の「北鎌」を計画しているならば、 なるべく早く行かれた方がいいかもしれません。


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