地獄谷/権現沢右股/三ッ滝ルンゼ

獨標山岳会/西片・寺田

<山行日> 1999年4月2日(金)〜4日(日) <記録> 寺田正之


4月2日(金)曇り一時雨

 会社より帰宅後20:40葛飾の自宅出発。首都高がすこし渋滞していたが、21:55西片と待ち合わせの八
王子ICI前に到着。西片が遅れて22:20現れた。16号のコンビニで食料とアルコールを調達。

 22:40八王子インター。中央道は途中雨となるが須玉で降りる頃は止んだ。R141を北上し、清里から美
しの森に入り24:30林道終点。ここを今宵の宿とする。ビールで乾杯して25:00就寝。

4月3日(土)快晴

 5:50起床。食事身支度を済ませ6:50出発。とても暖かい。天気も良くサングラスは必携だ。春の装備
で身も心も軽く、沢沿いのゴーロを歩く。途中何カ所かの堰堤を巻く。

 8:00赤岳沢出会小屋到着。小屋のノートに記帳する。ここら辺から雪が深くなり、くるぶしから膝位の
ラッセルとなる。9:00権現沢右股・左股の二股着。滝は全て雪に埋まっている。さらにひたすら雪のルン
ゼを登り続ける。ナメ滝ルンゼと三ッ滝ルンゼの分岐点を見誤り、当初予定していたナメ滝ルンゼではな
く三ッ滝ルンゼに入ってしまう。

 しばらくのぼりルンゼを回り込むと目の前に凍った滝が三つ現れた。戻るのも何なのでその場で今回の
山行は三ッ滝ルンゼに変更する。一番左の滝は雪に埋もれている。真ん中の滝は中間部で多少傾斜が緩む
ものの、上部と下部は垂直。氷結状況も良い。登攀の対象としては三つの滝の内、1番魅力的だ。しかし
今回はルートを登り切るのが目的だ。

 一番右側にかかる本流の取り付き右側の岩壁に、ピトン2本でビレイ点を作る。13:00ガチャ類を装着
し、10メートル程の垂直の滝に寺田のリードで取り付く。滝は全体に空気を含み白濁しかなり脆い。一番
状態の良さそうな左側の岩壁沿いにルートを選ぶ。全装背負って、ミックスのアイゼンでは辛い。スクリ
ューもすかすかのところが多くなかなか決まらない。

 4本目のプロテクションを取った後、セルフを取ったバイルが外れ、何と墜落してしまった。ロープが
1メートル程出ていたので墜落距離はそれ程でもなく、スクリューもばっちり効いていた。弱気になると
ころだが、ここを登れなければ敗退だ。10メートル程の氷柱に、ダブルロープで6箇所もランニングを取
り、抜けるのに1時間もかかってしまった。

 さらに西片もこの日も為にカモシカのガラクタ市で、DMMエイリアンを15%引きで購入してきた。に
もかかわらずフォローに1時間もかかってしまった。15:00滝の上に両名とも冷え切った顔を合わせた。

 ダブルアックスを振れたのはここだけ。あとは稜線まで60〜70度の雪壁のラッセルに終始する。後
半は全て西片がラッセルしてくれた。17:00雪と這松をかき分け主稜線直下、ナメ滝ルンゼと三ッ滝ルン
ゼ中間稜に這い上がった。西からの風が強く、寒い。

 目の前には、主峰赤岳と阿弥陀が鎮座する。東面からはガスがあがってきて何も見えない。西面は素晴
らしい景色だ。薄暮の中、アルプスの眺めと、町の灯り、スキー場のナイターが箱庭の様に見える。レー
ションを取り、ガチャ類を整理し17:30出発。

 18:00旭山頂。19:00ツルネ東稜。そこから5分ほど下降した樹林帯にツェルとを張る。一緒に滝を登
った?ビールで乾杯。21:00就寝。

4月4日(日)快晴

 本日は下山のみ。昨日の12時間以上に及ぶ疲れで、寝坊を決め込む。夜間はかなり冷えて寒かったが、
日の出以降ぽかぽかと暖かい。8:30起床。目の前の八ヶ岳の峰々や、富士山、国士などのパノラマが広
がる。景色を見ながらゆっくり支度をし9:50出発。ツルネ東稜の上部は膝から腿までのラッセル。

 中間部はザラメ雪。下部は氷化した雪と、夏道が露出していた。10:50ツルネの取り付き。11:20出
会小屋。ここで下山報告の記帳をする。我々以降2パーティが入山したようだ。12:10林道終点にデポ
したクルマに到着。

 その後大泉の温泉に立ち寄り、温泉の前のそば屋で昼食。15:00長坂インター。甲府盆地は桃の花が
満開だ。富士山も雪の量が多く、真っ白だ。17:00八王子。首都高が事故で渋滞の為途中休憩して、家
に着いたのは20:00を廻っていた。

 今回の山行で結局氷は1ピッチしかなく、しかも決して良いスタイルで登ったとは言いがたい。しか
し静かな山域で天気も良く、充実した春の山行になった。

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