穂高岳/屏風岩/東綾

ARIアルパインクラブ/宮川良成、原岳広


< 記 録 > 原 岳 広


<山行日> 1998年7月4日(土)〜5日(日)
 今回の屏風のメンバーは、雨宮、久本ペア:雲稜・宮川、原ペア:東稜で、両ペアとも屏風の頭を越 えて北尾根を抜け、雨宮、久本ペアは前穂東壁を継登するという予定でしたが、ズバリ結論・・・  予定は未定であった!・・・(ざぶとん一枚!)まず、当初の集合時間である「10時に成瀬」をきち んと守った奴はドライバーの宮川さんただ一人。  原は宮川さんに「遅れる」という旨の一報を入れ集合を玉川学園に変えてもらい、言い訳を考えながら 22:30に玉川学園に降り立ったら、なんのこたあねえ私が一番乗りでした。結局全員そろって出発! が23:30。上高地に着いたのが3:00頃(でしたよねえ)。  2時間ばかし仮眠を取って朝飯食ってタクシーで上高地へ。上高地から順調に横尾を経て、T4尾根基 部についたのが11時。それから登攀の準備等々・・・で、結局登り始めたのが確か11:20頃。  T4尾根の2ピッチ目、宮川さんのステキなプレゼントをくらって、結局東稜ペアがT2についたのが 12:40。ちょうど同じ頃雲稜ペアがT4に到着。一休みして登り始めたのが13:00過ぎ。  さてさて、それから登り始めたのだけれど、重たい荷物と前日2時間しか寝れなかった疲れがたたって (そして原の未熟さもたたって・・・)ペースはあがらず、4ピッチ目が終わったところで日没。おまけ に暗黒の夜空からは雨がざあざあ降り出すし、こんな状況でハンギングビレーなんて濡れたパンツはいて 会社へ行くほどみじめぢゃ!と吐き捨てたくなるしで、やる気はどんどん萎えていくのでありましたとさ。  しばらく雨の中の夜間登攀を続けたのだけれど、行けども行けどもビバークできるようなテラスは出て こないので、結局夜の20:00、5ピッチ目に突入したところで上に抜けるのを断念。懸垂をしてT2 へ降りることにしました。雨の中つるつるに濡れた屏風の垂壁を懸垂するのは至福の気分でしたわ。ほほ。  (つまりオカマ化するほどの気分だったって訳ね)ちなみにこのとき、扇岩テラスでぬくぬくとビバー クしてやがった雲稜ペアは、ふらふら揺れるヘッテンの明かりを見て「原が落ちた!」と誤解し、目尻つ り上げて懸垂かましている我々に向かって「たいじょうぶかあー」と叫んできました。私は「大丈夫じゃ ねえよ!」と心でつぶやきつつ「だいじょうぶでえーっす」と明るく応えて差し上げました。  で、何とかT2まで降りてきて、飯を食って寝たのは23時。まあ、長い一日だった。  翌日、朝5:00頃目が覚めるとツェルトをばしゃばしゃ雨がたたく音が聞こえ、「こりゃだめじゃ」と 宮川さんと二人でつぶやきつつ、とりあえず寝坊を決め込みました。ところが、7時頃にはピーカンになり、 再び東稜チャレンジとなったのであります。  8:00過ぎスタート。上高地からの最終バスが4:30。この時点でもう今日の方針は決まったような もん。荷物を持たず東稜をさくっと登って懸垂で降りさっさと帰るしかないということで、疲れのとれない 重たい体を壁に貼り付け、上をめざしましました。  東稜のルートは、確かに単調なアブミの掛け替えだったけど、最上段に完全に立ち込まないととれないピ ンがあったり、ワンポイント、ツーポイントでフリーが入ったり、なんと言っても屏風のあの垂壁の高度感 ありで、僕にとってはとても面白かった。勉強にもなったしね。  ところで隣の雲稜ペア、ちょうど同じ時間に扇岩テラスを出たのに荷物を全部背負って登っているではな いか!しかもあまりペースはあがっていない様子。屏風の頭、抜けられるのかなあ・・と、少し心配しつつ、 まあいいや、彼ら降りてこれなかったら先に帰っちゃうもんね、と決心して、我々は無事終了点へ。  一休みして懸垂を4回繰り返してT2に降りました。T2、14:00。荷物をパッキングしたり昼食を 取ったりでのんびりしていたら、T4尾根の基部に降りたのが16:00!!や、やばい!帰れない!と焦 り、猪突猛進を体現するとこうなるのだ!というくらいの勢いで一路上高地へ突進。  なんと横尾〜上高地が1時間45分!まあ、どうせ雲稜ペアはあの調子じゃ上高地は20:00位だし、 彼らとの関係では勝負あったな!と、たかをくくっていたのだけど、とりあえずタクシーを一台押さえなき ゃ、と上高地の駐車場を見回すと、げ、いる。怪しげな笑みを浮かべたおっさんが一人。  「おそいよ〜。待ちくたびれちゃったよ〜。いひひひ」負けた。屏風の頭を越えてきた雲稜ペアに負けた。 「もう、ビールも飲んじゃったもんねえ。ああおいしかった」・・・何もいえない・・・。  まあ、なんだかんだ言って無事上高地を脱出できたのでよしとしよう!と、開き直り、あとは電車がなく なる前に宮川号を降りなきゃいけないので、夕食はコンビニ弁当にして一路東京を目指す。町田についたの が11:30!横浜線から東海道の終電に滑り込んで、ぎりぎり家にたどり着きました。最後の電車のどた ばた接続は、まさにこの山行の総集編とも言うべきものであった・・。  2日目はスピード重視!ということで、結局宮川さんオールリードでした(悲しい)。次の目標は、オー ルリードで屏風を登り、屏風の頭へ抜ける!だぜ!課題はつきない・・・。疲れたからおしまい。まともな 山行記録は後ほど。

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