北海道/斜里岳/北壁新ルート開拓

札幌登攀倶楽部/小野寺淳、長水、保坂


< 記 録 > 小 野 寺 淳


<山行日> 1998年4月18日(土)〜19日(日)
 漸く北壁に触われたが雪もなくボロボロ。以下記録です。 4/18 暑い暑い春に… 札幌を夜7時に慌ただしく出発。6時間弱で清里でC0。駅の待合室がいい寝床になる。翌朝6時起き、8時に林 道途中350mから歩き出す。雪も少なく今回はスキーを止めてワカンとする。  玉石沢を直上、4時間ほどで1100mのインゼルに着く。上部でいいビバークサイトが取れるか不明のため(雪 がない!)時間的には中途半端だがC1とする。側面のルンゼには氷瀑が2つ。どちらも1Pで登れそうだが記録は 聞かない。今は解け出して弱体化していた。昨年はGWも真っ白な北壁だったらしいが、今年は黒々している。 4/19 2時に起きだし4時半明るくなって出発。狭いルンゼも斜度は35度程で問題なし。厳冬期は雪崩の危険が一番高 い所だ。左側(右岸)のリッジをエスケープで登れるが、北壁をはずれ北尾根に上がっている。ノドのルンゼ(10 0m)を抜けると広い雪壁に出、中間部の露岩を避け左上の潅木帯から回り込んで北壁の最上部の岩壁に取付く。  最後45度程の堅い雪壁。ここまでノーザイルでこなすが、基部にはいいビレー点もなく、ハーケンとRCCボル トで新たに作る。この壁には左チムニールートと右カンテルートがあるが(夏期開拓される)今回この真ん中の逆層 のジェードルルートを開拓?する。  純粋な岩は1P40m程、その上2Pはブッシュクライムでピークへダイレクトに。長水リードで取付く。顕著な ハング下まで20mアックスも使い登る。そこから左へ5mトラバース、はがれそうな草付きをスタンスに(重量制 限あり)フレークを渡りハング抜け口で(ここがフリーだが背が高いと辛い)コの字ハーケンをきめ(残置)、その うえの逆層のフェースの出始めにRCCを激悪の態勢で打ち、リードはここで荷物をなげて(デポとも言う)登高、 この8mレッジも逆層でシビア。良くて1cm程のレッジ。  アイゼンを研いでこなかったことを後悔する。最後キャメ.75を穴にいれ左トラバース。ここが本日のメインイ ベント。ボロボロの逆層のレッジの3mのトラバース。落ちると???空身だから行けたようなものだったとリード 語る。  Wアックスを適度に利かす、というか触わるものみな浮いている。落石はビレーヤーに降ってくるので注意。痛か っただけだが二人ともモロ当たる。草付きに沈み込みながらのカウンタアームーブで抜ける。フォローの私は残置さ れた荷物を安環にぶら下げ引きずりながら登る。途中RCCに引っかかったりハーケンに引っかかったりトラバース で振り子のように引きずると振られたり…最後にはホトホトうんざり。  トラバースではフォローと言えども落ちれない。振られて痛い目に遭いそうだから。ルートを外して直上するのも 大変だし。時間もロスするし。ボロ壁のグレードは?ですが今シーズン最難でした。リードは2時間半かかった。  10時山頂、ヘリに残っていた雪でビールを冷やし乾杯。1200mあたりの北西尾根より沢にもどりワカンで登 山道に戻る。13時20分車着。温泉経由20時30分札幌着。美幌のクリュシュナというインド料理店はお勧めで す。この春小樽に支店を出すらしい。  雪解けの河原では水芭蕉も咲き出し例年より2週間早い異常な?春の遠征であった。GWの利尻が憂鬱だ!今シー ズンは利尻南稜に道内ですでに5P入る様です。バットレスの渋滞に御用心を。 P.S. 剣のワンデイアッセント?楽しく読ませてもらいました。似たような事を考えてる人がいてアルパインの未     来は明るい?

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