黒伏山南壁/D凹角ルート

宇都宮クライマーズクラブ/グループ.ド.ミソジ/遠藤博隆、成毛


< 記 録 > 遠 藤 博 隆


<山行日>     1998年2月21日(土)〜22日(日)

★ 記録写真
2/21 (曇り時々雪) 6:00駐車場出発−8:00キビタキの池−9:00取り付き−10:30 1P完−11:30 2P完− 13:30 3P完−懸垂下降−3:00テント  1/24−25は天候も悪く敗退。  2/14−15は後2Pを残し時間切れで敗退と連続して登ることが出来なかった。降りてきたときは疲れ切って しばらく休みにしようと思ったが2,3日すると登れなかった悔しさがじわじわと腹の底からわき出してきた。  行かなければ気が済まなくなり成毛を無理矢理誘って行くこととした。20日は雨だったので黒伏は雪になりそう とう積もっているだろうと予想していったが思ったほどはなく先週の踏み跡がうっすらと残っている程度であった。  6時に出発をし8時にはキビタキの池に着いた。準備をして取り付きへと向かう。低気圧が夜中に抜けたため気温 が高く雪もしめった重い雪だ。夏の1Pめは雪に埋もれ2P目からの登りとなる。出だしからフレン ズでの人工と なり10mほどのぼってバンドに出る。前回は凍った雪にバイルを打ち込んで抜けたが今回は雪が柔らかいためパイ ルがきかずバランスでなんとかはい上がり雪と岩のミックス壁をビレー点まで登る。成毛ユマールで後続し時間を稼 ぐ。  3P目(40ま1)はピンが遠いながらもほとんどが人工のため逆に冬は快適だ。登っていて腹の底から楽しくて 嬉しくて歌でも歌いたくなる気分だ。天気も小雪がちらつく程度で風もなくただ気温が高いので手袋がびしょぬれに なるのを除けば登攀日和である。順調にザイルを伸ばし12時 には4P目のハングに取り付くことが出来た。  3mほどの張り出しだがピンが比較的近くここも快適に登っていける。12時半には終了しセカンドを待つ。成毛 が登りだして間もなく本格的に雪が降り始め風も強くなった。直ぐにチリ雪崩が落ち始め体中真っ白となる。冬壁初 めての成毛も冬期登攀の厳しさを味わいながら登ってきた。直ちにザイルをフィックスし懸垂。テントに戻り乾杯。 2/22 (小雪 曇りのち晴れ) 6:00テント出発−6:30取り付き−7:30ハング上(ユマール)−9:30 4P完−12:30 5P完− 2:00 6P完(登攀終了)−懸垂下降−3:00取り付き−5:00 駐車場  4時起床6時出発。雪は昨日一時的であった。幸いにも気温が下がり最高の条件となった。ハング上までユマール で1時間半。7時半5P目へと進む。ブッシュ混じりの壁をダブルアックスで登る。気温が低くバイルも気持ちよく 決まる。  6P目は成毛トップでゆく。出だしは簡単なA1で行くがザイルがのびなくなる。凍ったわずかな草付きにパイル を打ち込みそれにアブミをかけて慎重に登って行く。10M程続き ”たのむぞ” の声。ビレーしている方も緊張 する。腐ったシュリンゲにアブミをかけてビレー点のあるバンドへ出てビレー解除のコール。  セカンドで登って行っても良くこんなところを登ったなと思うようなところであった。初めての冬壁でのリード。 緊張の連続であったであろう。これもいい経験だ。いよいよ最終ピッチ。壁の傾斜も落ち雪をかぶってピンが1本も 見えない。ピッケルでかき落としながらA1で登る。10mで最後のブッシュとなり登攀終了。  成毛が続き完登。完登を祝うがごとく雲が切れ周りの山々の白さと空の青さが見事なコントラストであった。  今回は絶好のコンディションに恵まれ登ることが出来た。どうしても登りたいという気持ちを持てばいつか登らせ てもらえる。そんなことを感じらさせられる登攀であった。

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