北海道/斜里岳/北西尾根

札幌登攀倶楽部/小野寺、釧路労山/山田


< 記 録 > 小 野 寺


<山行日>     1998年2月14日(土)〜16日(月)

2月14日

 夜行バスと電車をつないで朝8時清里で合流、180mあたりに車をデポ。林道から登山道をスキーで登高、
ブッシュのうるさい尾根だ。1月は良く見えていた斜里岳も昨日から雲の中。この日も小雪がちらつく。

 1000m辺りまでくると午後2時すぎて日差しが出てくるが上部は雲の中。1138mポコから沢に降りる
のでこの日はここでC1。午後3時。

2月15日  朝−20度

 夜中じゅう雪が止まず新雪20cm、昨日からでは40cmほど積もった感じ。視界はないが偵察と割り切っ
てブッシュの多い沢に降りる。高度差200mほど腰ラッセルだった。沢中も膝上から股ラッセル、視界50m
と悪く、1100mあたりから派生するエスケープの両側の痩せ尾根も不明のため突っ込めず敗退、来た道を引
き返す。ずーと雪は止まない。尾根にもどり10時過ぎ夏道を辿ってピークに向かう。

 1200mあたりまでスキーで、少しツボで岩稜に上がり、アイゼンを付け登高。風は弱くセッピもあまり発
達していない。ピーク手前の痩せ尾根は2ヶ所幅1mもない所もあり、視界がきかず風が強ければザイルがいる
難所だ。ここは西風が季節風のようで北壁は海老の尻尾も発達していなく利尻東壁のようにべたーと雪が被った
感じで嫌らしい。

 雪崩の巣のようなルンゼの集合体だ。この壁を2月に登った記録も見当たらなかったことを考えると、2月に
ここを攻めるのはロシアンルーレットのようになるかも。1300mあたりの氷のルンゼを越えると逃げ道はな
い壁だ。今回1月末の偵察でルンゼが氷化しているとの情報からアイススクリュウも8本持参、ハーケン10本
にキャメ1セット、アブミにジャンピングと開拓装備一式で荷物も非常に重かった。が結局なにも使わず背負っ
てピークに上げただけで終ってしまった。12時山頂、14時C1テン場でC2

2月16日

 最終日天気が良ければもう一度登ろうと言っていたが、ガスの中で視界も悪く泣く泣く下山する。しかし下り
たら天気も回復、スカッパレで山も全貌を表してくれたが…。清里で昼風呂に入り網走へ向かった。午後4時の
バスで札幌へ戻る。バスステーションの近くの中華料理屋で飲めるオホーツクビールはお勧めです。

 清里方面から見たこの山は利尻にそっくりだ。バリエーションも探せばまだまだ有りそうでこれからが楽しみ
の山だけど、札幌から車で7時間は遠すぎる!個人的な好みとしては北尾根が一番の登攀対象に為ると思う。ギ
ザギザリッジ^で楽しそうです。

 夏は100名山として人気の山も冬は殆ど人が入りません。たぶん利尻より冬は登られてないのかも。静かな
山が好きな人にはおすすめの山です。『知床半島』と言う写真集の最後の方にこの斜里北壁の冬の航空写真があ
ります。たぶん一番良い資料でしょう。

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