釜無川〜鋸岳〜甲斐駒ヶ岳〜北沢峠〜戸台

暁山岳会/中村、丸山、前川、久保、小藤


< 記 録 > 丸 山 尚 代


<山行日>     1997年12月26日(金)〜31日(水)

 ACML、MMLの皆様、暁山岳会の丸山尚代です。年末の合宿の報告ですが、いつもの事ながらとても長くなってし
まいました。必要のない方は読み飛ばして下さい。

◎12/26(金)

 八王子21:33発のあずさに乗り、23:14雪の降る富士見駅に着く。駅の待合室は通常なら閉めてしまうそうだが、
駅長さんが特別に仮眠に使ってもいいと言って下さったので、有り難く使わせて頂く。おかげで朝までぐっすり
眠れた。

◎12月27日(土) 晴

〔ゲート8:30→林道終点11:00→水源12:45→横岳峠13:35〕

 7:00予約していたタクシーに乗り込む。手違いからか1台しか来ていなくて、2往復となった。少し時間のロ
ス。タクシー代は2回分で\5,780。ゲート手前で雪は5cm程度。プラ靴に履き替えて歩き始める。

 釜無川沿いの林道は、堰堤だらけの心が痛くなる景観だ。鹿の姿を多く見掛ける。我々の姿を確認すると、仲
間に警戒を促す甲高い鳴き声を発して斜面を駆け登って行く。林道終点からダム工事現場の上を巻くようにつけ
られた登山者用のトラバース道を慎重に過ぎる。そこからは釜無川の河原歩きとなる

 所々付けられた目印を頼りに何度か沢を渡りながら進む。ほとんどが飛び石づたいに渡れるが、飛べないとこ
ろには丸太が渡してあり、とても助かった。

 伐採小屋跡を過ぎるとやや緩やかに登り始め、間もなく「富士川水源」の標識。清んだ冬の沢の水で喉を潤す。
昨夜の積雪で、今夜の幕営地での水の心配はなくなったが、余力があったので1人1リットルずつ水を担ぎ上げ
ることにする。ついでに綺麗な氷を、今夜のお酒用にこっそりザックに忍ばせる。そこからは樹林帯の中の急登
となる。重いザックに歯を食いしばり、40分ほどで幕営予定地の横岳峠へ着く。

 峠の積雪は15cm程度。樹間からは北岳・仙丈岳が間近に見える。早々にテントを設営し、少し戻り下ったとこ
ろの吹き溜まりの雪を集め、足りない分の水を作る。

◎ 12月28日(日)晴れ

〔横岳峠7:30→三角点ピーク9:25→第一高点10:55→鹿ノ窓12:30/15:30→第二高点17:05〕

 横岳峠から三角点ピークへは、樹林帯の急登を2時間ほどで到着。それまでは樹林帯の中の無風に気をよくし
ていたが、さすがに稜線に出ると風は強く冷たい。

 角兵衛沢ノコルを越え、第一高点までは問題なく通過。その先の小ギャップへは、しっかりした残置ボルトを
利用して懸垂で下り立つ。小ギャップからは岩場のすぐ右手の草付き斜面をザイルを使用して直登する。

 1ピッチでザイルを回収し、小ピークで大岩を回り込むと次はクライムダウンだが、足場が少なく、最後の2
足はズリズリ落ちという始末。

 潅木の雪斜面を登り切ると、鹿ノ窓という風穴が、ポッカリと戸台川の谷へ向かって口を開けている。鹿ノ窓
をくぐった出口のあたりにしっかりとしたボルトが打ってあり、それを支点に15m懸垂する。(実はこの先でル
ートを間違え、3時間のロス物語があったが、今回は非公開。)本ルートは、そこからガレ場を更に5mほど下
り、右の斜面沿いについているルートを行き、適当なところから今度は左下ガレ沢を目指して一気に下る。

 注意していれば目印を見失うことはない。(後で聞いた話によると、鹿ノ窓から下らずにそのまま稜線伝いに
行き、大ギャップへ2回の懸垂で下り立つことも可能とのことだ。)ガレ沢(大ギャップ下部)を横切り、第二
高点南西稜への登りに取り付く。ガレ岩に安定しない雪が付いていて歩きにくい。右手に沈む夕日を眺めながら
の登りとなってしまった。

 稜線へ出た時には辺りはすっかり暮色に包まれていた。幕営予定地の中ノ川乗越まではあと30分ほどの下りだ
ろうか。ヘッドライトでの行動を覚悟し始めていたところ、第二高点頂上へ偵察に行っていた中村Lが戻って来
た。ピークにテントを張れるとのこと。力を振り絞り、5分ほどの登りで第二高点に到着。そこには4人用テン
トがぎりぎり張れるようなスペースが2ヶ所ほどあり、石積みもされている。

 急いで整地し、滑り込みセーフ。今回、5人に対して4人用テントを選択してよかったと、毎晩就寝時の戦争
を差し引いてもこの時だけはそう思った。我々の時間との戦いを心配していた合宿B隊(北沢峠B.C.)とも交信
が取れ、ひとまず安堵。雪は3-40cmほどあり、水には困らなかった。

◎ 12月29日(月)快晴

〔第二高点8:25→中ノ川乗越8:45→三ッ頭10:30→六合目石室11:50→甲斐駒ヶ岳15:00→駒津峰16:10→
北沢峠18:10〕

 目の前のとても格好のいい甲斐駒の左肩から太陽が昇る。緊急とは言え、絶好の幕営地だ。  第二高点から中
ノ川乗越までの下りは、かなり急なガレ場で歩きにくい。昨日ヘッドライトで下らなくてよかったと思った。

 中ノ川乗越にはやや狭いが2ヶ所ほど平らなスペースがあり、幕営可。中ノ川乗越からはまた急登。登り切る
とそこからはトラバース気味にルートが付いていて、昨日までのアップダウンを考えるとはるかに楽だ。 三ッ頭
でお日様に当たりながら大パノラマを楽しむ。北ア・中ア・白山までが一望できる。槍ヶ岳を見つけ、惠川さん
(@登高研)の北鎌尾根完登を祈った。

 三ッ頭からの尾根はやや痩せているように見えたが、踏み込んでみるとそれほどでもなかった。40分ほどで六合
目石室に到着。中は綺麗で広く、大型テントも張れそうだ。ここからはひたすら甲斐駒への登りとなる。私を筆頭
にメンバーには疲れが見え始め、思うように進まない。B隊と交信した中村Lが元気づけようと「丸山さんにいい
知らせがあるよ。宴会セットが今、北沢峠に向かっているって。」「???」よく話を聞いてみると、今回の鋸の
合宿に、身内の危篤で直前に不参加となった会のCL吉原が、宴会セット(エスパースジャンボ+お酒)を担いで戸
台から北沢峠へ向かっているとのこと。CLの粋な計らいにジワワンッときた。

 しかしそれでも登る速度は依然として上がらず、刻々と時間は過ぎて行き、気は焦るばかりだった。  石室から
小1時間登ったところでちょっとした岩場が現れたので、念のためザイルを出した。そこはフェース状で、三ッ峠
でのアイゼントレーニングのようだ。  偽ピークに何度も騙されながらも負けずに登り続け、そしてやっと本物ら
しきピークが視界に飛び込んで来た。人の姿も確認できる。甲斐駒のピークに間違いない。「あともう少しだ」気
力を振り絞って足を出す。

 甲斐駒への最後の登りは、各々思い思いのルートを行く。ある者は吹き溜まりで胸までのラッセルにはまりなが
らも、冬合宿はこうでなくちゃと、満喫した者もいたようだ。やっとたどり着いた山頂で握手。記念撮影をし、早
々に北沢峠へ向けて下る。今日、甲斐駒を往復したB隊と交信し、その助言からトラバースルートを行くことにす
る。駒津峰の登り返しが、疲れ切った体にはとても辛い。仙水峠からはヘッドライトとなった。

 18:30暗闇の中にやっと北沢峠テント村の明かりが見えた。とても暖かい明かりだった。CL吉原と大竹会長が出迎
えてくれた。B隊のメンバーが次々とテントから出て来て、水を汲みに行ったり、荷物用のテントを張ったりしてく
れる。私たちが装備を外しているうちに、すっかり宴会の準備が整っていた。山の仲間は本当にいいものだ。

◎ 12月30日(火)雪

〔停滞〕
  朝、目が覚めると雪が降っていた。鋸を辿ってきたA隊はここで解散とし、2人が下山して行った。私を含む3人
は残り、明日の早朝、仙丈岳を往復してから下山することにする。今日は1日休養日だ。

◎ 12月31日(水)曇りのち晴

〔北沢峠11:45→戸台14:35〕

 5:10仙丈岳の山頂に向かってヘッドライトで歩き始める。途中、私は靴擦れがひどくなり、残念だが途中で引き返
すことにした。結局、時間切れとなり登頂を諦めて戻って来た中村氏と、待っていてくれた吉原氏と3人で戸台へ向
けて下山する。

 右方に甲斐駒と鋸を見ながらの林道歩きは、長いように思われたがあっという間に車停めに到着。合宿は無事に終
わった。帰りは吉原氏の車のお世話になる。重ね重ね感謝したい。

 高遠の街中にある「さくらの湯」が年末のためか閉まっていたので、中央高速・諏訪湖S.A.のお風呂(\590)で汗
を流した後、年内には家に帰り着いた。

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