カナディアンロッキー/アイスクライミング

山登魂/永岡朋和、外語大ワンダーフォーゲル/船橋 正丈


< 記 録 > 永 岡 朋 和


<山行日>     1997年12月18日(

ルイスフォール..WI4+〜5 110M
 1997/12/18
 永岡 朋和(山登魂)、船橋 正丈(外語大ワンダーフォーゲル)

 カナダに来てから最初の氷瀑となる。下部は全体的に傾斜も緩く、WI4ぐらい。上部の核心ピッチは垂直な氷柱
になっておりかなり困難。我々が登ったときは氷結がいまいちで、上部は全体に激しく水が流れており氷質もボロボ
ロ。上部ピラーをあきらめ途中から下降する。

ギネスガリー..WI4 245M
 1997/12/24
 永岡 朋和(山登魂)、船橋 正丈(外語大ワンダーフォーゲル)

 船橋のトレーニングも兼ね、ギネスガリーに行く。 駐車場から樹林帯を歩き15分ぐらいで取り付きへ着く。最
初の氷瀑は20M程の立った氷。船橋がリードで取り付くが氷質が悪く途中で引き返してきた。入れ替わって私がリ
ードし、次の氷瀑の下でピッチをきる。次の氷瀑は船橋のリード。なれないリードに時間がかかる。次から上は雪面
が続いており時間もないことからここから撤退した。

ボージョーレフト..WI5 185M
 1997/12/28
 永岡 朋和(山登魂)、船橋 正丈(外語大ワンダーフォーゲル)

 サンシャインビレッジスキー場から見事に見える氷瀑。偵察にはスキー場のゴンドラが一番でしょう。ライトハン
ドの方は細い氷の筋が見えるだけなので多分登れないとの判断から、しっか り氷結しているレフトハンドを選んだ。

 氷瀑は上下二段の各100Mクラスの氷柱によって構成。下部の氷柱は所々薄いところもあるが、氷質もよく快適
にザイルをのばす。下部を2ピッチで登りぬけ、20M程雪面を歩いて上部氷柱へ。上部も最初の2ピッチは快適に
登っていけた。しかし最終ピッチはかなり困難だった。

 発達中のつららの集合体でピックが十分に効かずきわどい姿勢でのクライミングを強いられた。さらにこの時はク
ロモリ製のスクリューを一本しか持っておらず、ランニングの作成に苦労する。アックステンションが使えず、口を
駆使してスクリューを埋める。ハング気味になったマッシュルーム状の氷を突破し滝上に到着したときはすでに暗く
なりはじめていた。その後、スキー場の明かりを頼りに懸垂下降し帰還した。

 ※このルートはアプローチと上部にかなり大きなスラブ状の岩盤を持っているため雪崩の危険が高いといわれた。
時期的には雪が多く付く前の方が安全なようだった。

ウェーピングウォール センターピラー..WI5+ 160M
 1998/1/3
 永岡 朋和(山登魂)、船橋 正丈(外語大ワンダーフォーゲル)

 前回のアタックでザイルが凍ってしまい、1ピッチのみで撤退した雪辱をはらしに再度挑戦した。最初のピッチは
どのルートを登っても同じぐらいの快適な氷瀑(WI4)。次のピッチからルートによってかなり困難度が異なる。
左の段々状の氷と中央の上下に独立した短いが困難なピラー、右の急だが傾斜の一定で安定した垂壁の3るーとであ
る。その中でもっとも困難なセンターピラーを選んだ。

 2ピッチ目は傾斜は差ほどではないが、氷質が悪い。表面に積もった雪が中途半端に氷結しており、アックスで叩
くと5CM程の雪と氷の固まりがどっと剥がれ落ちる。氷柱の下まで登り、ビレイポイントをさくせいし、セカンド
を確保する。そこから何本かあるピラーのうち、ドライでしっかりしたものを選んで登り出すが氷質がスカスカでか
なり難しい。傾斜も全体的にかぶっておりのけぞるような姿勢でのフッキングムーブが連続する。

 スクリューの効きも心もとない状況で緊張する。ピラーを抜けると緩い氷で、その上に短い氷柱がみえる。時間も
ないので左にトラバースしながら簡単な突破口を探すが見つからず、結局ピラーに追い上げられる。この辺は氷質が
悪く、垂直部はスカスカ、寝ているところは中途半端に氷結した雪でたちが悪い。

 ピラーのから表面の氷が層になって一遍に落ちたときは自分もいっしょに落ちそうになって恐ろしい思いをした。
右手のアックスをピラーの根元に打っておいて命拾いをしたところだった。最後のピラーも7〜8Mぐらいだが困難
で、特に落口をのっこすところで氷がなくなっており、ジタバタしながら滝上に到着した。また暗くなった中を懸垂
して車に戻った。

ピルスナーピラー..WI6 215M
 1998/1/8
 永岡 朋和(山登魂)、船橋 正丈(外語大ワンダーフォーゲル)

 天候がよくないことから一旦バンフ方面まで戻り、スクリューを新規に調達してピルスナーに挑んだ。ルートは長
いが核心は1ピッチ目のピラー。道路からみるとトポの写真とはだいぶ異なり、3本のピラーが垂れ下がっていた。
このピラー目指してガリーを登っていく。雪が深く思ったよりアプローチに時間がかかり、1時間近く費やした。

 そばで見るピラーは右は下まで達しておらず、中央は激しく水が滴っている。ルートを左のピラーに決め取付く。
トポにはピラーの裏でピレイ出来ると書かれていたが、ピラーの裏の洞窟は激しく水が滴っておりそれをあきらめる。
ピラーは40M近く垂直もしくはハングした氷柱になっており厳しいクライミングを強いられる。

 氷質も悪く、フッキングでしかアックスを効かせられない。しかし、手持ちのクロモリスクリューが4本もあった
おかげでワンハンドでスクリューをセットしながら登りぬける事が出来た。

 ピラーの真ん中でピレイポイントを作りハンギングビレイでセカンドを迎える。そこから上は傾斜も垂直となり、
氷質も若干良くなり先ほどよりは楽に登りぬける。その上は50Mほどの雪面となり次のピラーへ。幅広の滝でスケ
ールはあるが最初のピラーほどの威圧感はない。トップを船橋に交代し登り出す。見た目よりは困難(WI5)でか
なり船橋もてこずり時間がかかった。ここから2ピッチ登った後に、雪面を挟んであと1ピッチほど氷瀑があったが、
時間切れで撤退した。

カールスバーグカラム..WI5 90M
 1998/1/9
 永岡 朋和(山登魂)、船橋 正丈(外語大ワンダーフォーゲル)

 自分が前日のピルスナーで燃え尽きていたので、船橋の練習も兼ねてカールスバーグにいった。アプローチを終わ
ったところで、大阪から来られた日本人パーティと出会う。彼らは最初の氷瀑は巻いて上に行く(トポでも簡単に巻
けるとある)とのことなので、我々は待ち時間も考慮して下から登りだした。

 15M程の氷瀑だが上部が立っており、氷質も悪そうである。船橋がかなり細かめにスクリューを埋めながら苦労
して登っていく。もう1ピッチ簡単な氷瀑を登り雪面をつめてカールスバーグ本体に着いた。先行パーティはまだ1
ピッチ目のビレイ点まで達しておらず、我々はピラーの左側にルートを探し登りはじめる。船橋が苦労しながら登っ
ていく。氷質はそれほど悪くなくアックスは良く効くようだ。

 だが傾斜は垂直でスクリューのセットに手間取っていた。まだ片手でのスクリューセットが苦手なようでアックス
テンションを掛けながらなので時間がかかる。フォローで登るが氷柱の隙間に打ち込まれたスナーグが回収できずに
苦労する。なんでこんな奥に打ち込むんだとびしょ濡れになりながら格闘した後、回収をあきらめ登った。

 結局、船橋が2ピッチ目をリード中に時間切れと先行パーティが落とす雪に恐れをなして撤退した。このルートの
クライミング中にピルスナーに雪崩が走っているのが見られた。1日の差で救われたことにつきがあったことを感じ
た。

ウェーピングウォール ライトハンド..WI5 160M
 1998/1/16
 永岡 朋和(山登魂)、デューク ローニィー(ランパートクリークマネージャー)

 相棒が帰ってしまい、レンタカーを借りる費用も捻出出来なくなったのでランパートクリークにこもることにした。
話を聞くとマネージャーのデューク(19才!)がアルパインクライマーで話もあい一緒に登ることとなった。

 お互い相手の実力もわからん状態なので、アプローチが近く雪崩にも安全なウェーピングウォールへと彼の車で向
かった。ライトハンドは垂直ではあるが氷質のいいルートであり、見た目よりはるかに大きい。(上にはさらにティ
アードロップをはじめ150M級の氷瀑が並んでいるので、取付きからは小さく見える。)正直アッパーウォールま
で登るにはかなりの技術とスピードが必要だろう。

 まあともかく、上まで行く気はないためのんびりと出発する。彼は「自分がリードできるのはWI3〜4までだ。」
と言うので、最初のピッチだけ彼がリードしあとの3ピッチは私がリードした。1ピッチ目、2ピッチ目は若干立った
ところもあるが快適な氷を登り垂直部の下へ。3ピッチ目は垂直部が20Mぐらい続くがピックの効きはかなり良い。

 ただしルートの右側は氷の表面をかなり派手に水が流れており仕方なく左手によりながら登る。おかげでデュークに
向かってかなり氷を落としてしまい、悪いことをした。デュークがクロモリスクリューを3本持っていたのでリードす
るのはきわめて楽になった。

 垂直部をぬけ、緩い氷を登って最後の短いピラーを越える。ここはボンビングアイスといった感じで、打つたびにう
つろな音が響くいやな氷で神経を使う。下部壁をぬけ、氷瀑右隅のボルトとアバラコフを利用して取付きに戻った。

パンサーフォール..WI3〜4 60M
 1998/1/20
 永岡 朋和(山登魂)、デューク ローニィー(ランパートクリークマネージャー)

 最初はデビットトンプソンハイウェイにあるノッシングバットブリーストに行こうとしたが、行ってみると道から遠
いは下部はあんまり凍っていないのでしょうがなくパンサーフォールへ。取付きはアイスフィールドパークウェイのブ
ライダルベール展望台から沢筋に降りて沢を少し登りかえして到着。しかしここ数日春のような日和で氷瀑はやせて穴
もあき、崩れた後もあった。

 あんまり長居したくないのでザックをしょったまま登り出す。最初にデュークが行くが、あまりにびしょびしょで引
き返してくる。交代してのぼるが氷のコンディションは良くない。良くないと言うより最悪である。最初のピラーの真
下は巨大な氷塊で、しかもピラーとの間に巨大な穴があり、中を覗くと水がザーザー流れている。おまけに氷質は最低。
濡れているのにシャンデリア状でジャリジャリの氷だ。傾斜は85度ぐらいなので悩んだ末、一気に登ろうとした。

 こういう時に限ってへまをするもので、次のアックスを打った瞬間体を保持していたアックスがすっぽ抜け見事にフ
ォール。前述した穴へすっぽり落ちてしまった。運良く釜まではいかなかったので穴の中をチムニー登りの要領で背中
を使ってよじ登った。撤退しようかと思ったがここで引き下がるのに納得いかなかったので再度アタック。水浸しにな
りながら何とか登りぬけた。次のピッチは簡単な左側の水流にいったが、ルートの真ん中に大穴があり水が轟々と流れ
ていた。セカンドでもこんなのに落ちたらたまらない。ゴルジュ横にのこる薄い浮いた氷を駆け足で登り滝上に出た。

キティホーク..WI5 200M
 1998/2/1
 永岡 朋和(山登魂)、デューク ローニィー(ランパートクリークマネージャー)

 帰国用にレンタカーを借りてきたついでにコロンビアアイスフィールドを見に行ってきた。天気は快晴で初めてスリ
ップストリームを確認できた。ボーダーラインも未登のラインも見事に凍っており、思わず興奮してしまう。ランパー
トにもどりデュークを誘うが、今の時期は危険だと取り合ってくれない。なんとも収まりが付かないので彼とキティホ
ークへ向かった。

 デビットトンプソンハイウェイ一番のルートと言うだけあって車道から見てもなかなかのルートである。ボージョー
のように岸壁のど真ん中に割って落ちる見事な氷瀑である。アプローチは見た目より長く1時間ほどかかった。最初に
WI3程の氷を登り、雪面を挟んで氷柱へ。途切れることなく200M続く氷柱は見事である。ただし狭いガリーのな
かにあるのであまり威圧感はない。

 1ピッチ目はデュークがリードする。あまり氷質も良くなく全体的に表面は滑らかであるが中はスカスカ。傾斜はな
いがいやらしい感じだ。2ピッチ目から今度は自分がリードする。氷質はやはり悪い。3ピッチ目はとんでもない氷だ
った。ここから傾斜は垂直になるが、最初は巨大なマッシュルームの乱立。マッシュルーム状の巨大な氷は頭の部分が
はじけたようになっておりアックスを打ち込みようがない。

 縁にアックスを引っかけ、ささくれ立った縁にスタンスを求め登っていく。さらにその上は垂直のピラーであるがこ
れがさらにスカスカ。完全なフッキングのみのムーブが3手、4手と続く。きわどい体制でスクリューを埋めながら何
とか10Mの垂直部をぬけた時は正直ほっとした。セカンドで登ってくるのを見ていても派手に氷の固まりが落ちてい
く。デュークも上までぬけた時ほっとした表情をしていた。

 ここから先はWI4のかいてきな氷瀑で、ザイルいっぱいで終了した。滝上は眺めの良い岸壁の上でここで一休みし
た後撤収を開始した。二人で撤収しながら「唯一濡れないルートだったな」と振り返った。

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