谷川岳/一ノ倉沢/衝立岩/ダイレクトカンテ

前橋労山/伊藤輝之(L)、中曽根豊


< 記 録 > 中 曽 根 豊


<山行日>     1997年9月6日(土)

【タイム】
  [出合]5:40-7:00[中央稜基部]8:00-8:30[アンザイレンテラス]8:45-13:30[北稜]14:00-15:45[出合]

 前橋を4時に出発。昨晩は少し雨が降ったようで路面も所々濡れ、星も出ていない。土合辺りからガスが掛
かり嫌な予感・・・。時々ポツポツと雨が当たるが降り始める感じでもない。

  天気が悪いせいかクライマーも観光客も少ない。「とりあえず行きましょう」と言う事でテールリッジへと
向かう。私は雪渓の無いアプローチは今日が初めてで、いかに雪渓の高さが有るか思い知ったと共に、有りが
たさ?も感じた。濡れたテールリッジを慎重に上がるが結構高度感が有った。

 「さてどうするか?」って事になりしばし検討・・・。ガスはかかったまま、時折一の倉沢や、衝立の岩壁
が見え隠れするだけで、晴れる気配も無いが悪くなる様でもない。6月下旬に来た時はここで雨に降られ敗退
したので、せめて今日は取り付きまでは・・・」と言う事でハーネス付けて出発。

  しかし、ガスで周りが見えないし、笹が多くて取り付きが解りずらかった(^_^;)。情けないながらもどうに
かアンザイレンテラスらしき所に出て、またしばし検討。

 これ以上悪くなりそうも無いし、人工だから濡れていても・・・と覚悟を決める。フリーのピッチが心配で
は有ったが、行ってみたい気持ちの方が強かった。

  1p目は草付きを右上した所から左へ回り込む辺りがちょっと恐かったが難しくはない(当たり前?)。2
p目いよいよ人工か・・・本当にいけるかな?と心配になる。伊藤が久し振りの人工ながらも着実に上がって
行く。コールが掛かり気合いを入れて後に続く・・・が、恐い!(^_^;)どうしても手に力が入ってしまうし、
足を巻き込んで突っぱねて」と思うが、練習の時の様にはうまくバランスが取れない。そして何より一番恐か
ったのは伸びたリングボルトや、さびて頭が欠けたハーケンに腐りかけたような細引きが付いてる・・・、し
かしそれに乗るしかない。78kgの私に耐えてくれるか・・・。

  普段身長が有るから岩には有利と言われてるが、この時ほど軽い方が良いと思った事はない。

 がむしゃらに登ってやっと伊藤の所へ、もうヘロヘロ。フォローで1時間掛かってしまった。様子を見て3
p目は中曽根が行くはずであったが、それどころではない。伊藤に行ってもらう・・・。(^_^;)多少慣れたのか、
2p目よりはスムーズ(のつもり)にぬけ、最後のトラバース。ここぐらいは先に行かないと申し訳ない、ホー
ルドは結構有るがスタンスが濡れていて滑りやすい。

  ルート図の「落ちれば宙擦り」が頭にこびりついて離れない。「ウォ〜」と奇声を上げて恐怖心を吹き飛ば
しつつもなんとか北稜の立ち木へと抜けた。喉はからから、水分を補給し旨いタバコを一服、と共に充実感が
沸てきた。

 しかしこれが衝立の入門ルートとは・・・。他のルートなんてまだまだ遠い話だと思い知った。あぶみも練
習が足りないし、ゲレンデが多いんで、ハーケンや錆びたリングボルトが信用できない・・、ぶら下がってい
るのだから同じ事なんだろうけど、足で立つより手でぶら下がっていた。反省反省。ACMLでよくルート開拓と
かエイドとかの報告を見かけますが、すごい事なんだなーと改めて思いました。

 北稜を下降し、衝立前沢を下る。下部の大滝?を下った辺りから左へ巻くはずらしかったが出合まで下って
しまう、しかしどうにか降りられて車へ。振り返ると衝立には薄くガスがかかっていた。

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