カナダ/ブリティッシュ・コロンビア/バガブー山群

日程
2004年7月16日(金)〜25日(日)
メンバー
(岐阜ケルン山岳会)石際、(春日井山岳会)坂口,小林,佐原
記録
(岐阜ケルン山岳会)石際
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


みなさんこんにちは
岐阜ケルン石際です。

10日間の日程で,カナダのバガブー山群へ行ってきました。
バガブーは,氷河と花崗岩の岩塔,快適な小屋と,アルパイン
クライマーには天国のようなフィールドでした。
地元クライマーも感じのいい人が多かったです。

近年,九州の皆さん,ルーデンスの皆さんなど日本からもバガ
ブーに行くパーティーが増えており,情報も増えてきています
。
我々も,ここに行動概要と気がついたポイントを紹介します。
これからこの山域へ行く皆さんの参考にしていただければ幸い
です。

山域:カナダ,ブリティッシュ・コロンビア,バガブー山群
期間:2004年7月16日〜25日
メンバー:石際(岐阜ケルン山岳会)
     坂口,小林,佐原(春日井山岳会)

(行動概要)
7月17日 
駐車場からケインハット(ゆっくりペースで3.5H)
小屋の管理人フェリックスによれば明日から3日間雨の予報(
衛星電話で情報を収集している)。
カナダ山岳会の女性登山教室と一緒になる。

7月18日
朝起きると晴。
クレセントスパイアー,マックテックエリアへ行ってみること
にする。
ケインハットから1.5Hのアプローチで取付き。
アイゼン,アックス不要。

石際・佐原→マックテック・アレート(10b,5P)
2ピッチ目のシンハンドと4ピッチ目の長い変化のあるハンド
クラックがハイライト。地元クライマーの人気も高い。

小林・坂口→ウエストサイドストーリー(10a,5P)
数年前に開拓された新しいルート。ルートファインディングが
少々難しい。
ガイドではロストアロー5本必要となっているが,不要である
。

両ルートとも60mロープなら4回のラッペルで取付きヘ戻れ
る。
すっきりしたクラックの楽しめるいいエリアであった。200
mほどのスケールがある壁だが他の壁と比べると小さく感じて
しまうのは否めない。

7月19日
朝から雨。7時ごろあがったので,ピジョンスパイアーの西稜
へ向かう。ガスがかかってきたので,スノーパッチ西壁,バガ
ブー南稜(下部のみ)の偵察を行う。
午後から激しい雷雨。
ピジョンの西稜は易しいが,素晴らしいルートらしい。

7月20日
朝から雨。沈殿。上部は雪が降った模様。
暇つぶしに持ってきた「白鯨」を読んでは,窓から空模様をう
かがって1日過ごす。
食糧の残が見込み違いで少なくなり,食糧統制「バルジ大作戦
」に入る。

注)bulge ━ n. (たるなどの)胴(のふくらみ)

7月21日
あと2日しか登攀活動期間がないので,押えるべきルートを押
えることにする。

石際・佐原→バガブースパイアー北東リッジ
地元3人パーティーにタッチの差で先行し,気分よく登れた。
下部3ピッチがハイライト,上部は傾斜のないチムニー状で易
しいが,昨日の氷雪が付着し,これを落としながらのクライミ
ングとなる。

北峰から南峰へのトラバースと南稜の下降がこのルートの核心
である。
伝統的に半分のクライマーが日没(今の時期は10時)までに
小屋へ帰れないらしいが,特に急がなくても6時半には帰還す
ることができた。

小林・坂口→スノーパッチスパイアー,サーフズ・アップ
このルートは,下部のルートファインディングが難しいが,上
部は快適なクラックが続く人気ルートである。
しかし,この日は下部のフリクション主体のパートに氷雪が残
り,最悪の条件で,神経をすり減らされるクライミングとなっ
た。
南峰(秘密の宝箱があるらしい)からはクラウス・マッカーシ
ーをラッペルする。こちらもヘッドランプのお世話にならず小
屋に帰還。 

本日の格言「山,高きが故に尊からず。山,とんがりをもって
尊しとなす。」

7月22日
石際・佐原→スノーパッチスパイアー,フラミンゴ・フリング
(中退),同バッキンガムルート(中退)
登攀最終日ということで,ワイド系のクラックルートに行くこ
とにする。
核心部へ入る前の下部3ピッチから黒い苔(lichen=ライクン
,よく滑る)が生え,風化した岩に少々登攀意欲をそがれてし
まった。4ピッチ目のレイバックで敗退。下降に移る。
このルートは,地元のガイド等に聞いても誰も知らなかった。Nobody
knows
!

途中,ロープが引っかかったりし,かなり消耗する。時間があ
ったので,隣のバッキンガムルートを登れるだけ登ることにす
る。
結局,4ピッチ半登ったところで小林・坂口組が下降して来て
,一緒にラッペルに入る。

小林・坂口→スノーパッチスパイアー,バッキンガムルート
別名「ジョイアブル・ウエイ」と言われるこのルートも,やは
りライクンが繁茂し岩場全体が黒くなっている。
下部は易しいクラックが続き,上部は立ってきていい感じの壁
となるが,最終ピッチはライクンに覆われ,ルートが消滅して
いた。
ここからラッペル。懸垂の支点はすべて岩角にスリングのステ
ーションで,神経を使う。

本日の教訓「知らない岩場に行ったら,人気ルートを登るべし
!」 

7月23日
管理人のフェリックスに見送られ小屋を後にする。
のんびりとした気分で歩くトレールには,入山時に気がつかな
かった,すばらしい自然の美しさがあった。
ハット〜駐車場(2H)

キャンモアのAKAI MOTELに転がり込み,近くのレストランで夕
食を食い,その後もスーパーで買出しをして食いまくる。
こうして「バルジ大作戦」は失敗に終わった。

(役立つかどうか分からない情報)
★キャンモアのAKAI MOTELはお勧め。1泊税込み28ドルで非
常に清潔,自炊設備,食器などもある。
日本から電話で予約できる(要クレジットカード)。
★買出しはキャンモア,レイルウェイ・アベニュー沿いのSAFEWAY
が夜11時までやっており,隣にリカーショップもあり便利。
隣のSOBEYSは10時まで。
★95号線から公園駐車場までの42キロの林道は未舗装だが
,いい道で特に4DWでなくても問題ない。ただしヘリスキーロ
ッジへ行く道との分岐から先の2キロくらいが少々荒れ気味。
★時期によると思われるが,7月中旬では,蚊,ブヨ,ヌカカ
などの刺す虫が多いので,気になる人は忌避剤,薬などを持っ
ていくとよい。
★カナダ山岳会に入会し,ハット・オプションを申し込むと1
年前から小屋の予約ができる。
グループの中で1名がこの申し込みをしていれば,会員外のメ
ンバーも含めて予約できる。
キャンセルについては10%のデポジットが取られるが,変更
後の確定金額がこの金額を超えていれば取られないようだ。
★ガイドでは小屋の滞在は7日が限度と書いてあるが,実際は
ルーズな運用がなされているらしい。
7日を越える滞在を計画している場合は,予約の段階で確認し
てみるとよい。
★小屋の水は一応フィルターを通してあるが,完全に滅菌はさ
れていない。しかし,管理人は1ヶ月そのまま飲んで問題ない
と言っていた。我々も1週間加熱もせずに飲んだが,今のとこ
ろ異常はない。
★外の蛇口,小川などで洗濯はできる。石鹸は不可。
★小屋の中はスリッパがあると快適。トイレは外にあるが,ス
リッパで行っていた。
★調理器具,食器類はすべて揃っており,自由に使用可能。ガ
スコンロ,電熱コンロ,パン焼きトースターまである。
★食料は棚に保管。冷蔵庫はない。
★就寝用マットあり。寝袋は夏用で十分。
★特に入山届を提出するなどのシステムはない。逆にいえば自
力救助が原則らしい。
★ロープは60mのものが便利。
★特に思い入れのあるルートがある場合は別として,現地でル
ートの情報を積極的に収集し,人気のあるルートを選択した方
がいいと思う。地元クライマーは「今日どこ登った?」が挨拶
代わり
である。

★  http://www.geocities.jp/ishigiwa03/buga2.html

石際 淳

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