屏風岩/右岩壁/大ジェードルルート

日程
2003年3月4日(火)〜7日(金)
メンバー
(G登攀)鈴木、(YCC)一村
記録
(G登攀)鈴木
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


 G登攀の鈴木です。この前屏風に行って来ました。
長文で恐縮ですが御報告いたします。

 3月4〜7日 屏風岩右岩壁 大ジェードルルート    
                      一村(YCC)&鈴木(G登攀)
4日
  中ノ湯〜横尾。この日は雪。日没後より晴れてくる。いい感じで移動高が入っ
てきてくれたようだ。
5日
 2ルンゼの下の樹林帯までスキーで。そこから雪壁しばしで取り付きの氷壁
基部。登り出しは7時。夜は明けきってしまった。
 1p目、スラブに張り付いた氷壁を私が。ルートを通して、スクリューが効いた
唯一のピッチ。快適かつ易しい。ビレー点があったので20m強でピッチをきる。
 2p目、少し傾斜を増した氷壁から雪壁を一村さんが。40m強。
 そこから雪壁2pで展望台を越え、大ジェードルの取り付きとおぼしき辺りに
ついた、・・・が。埋まっているらしく、ビレー点はない。ベルグラ交じりのフェー
スには見渡す限りピンのピの字もない。緻密な岩にはピトンも打てず、草付も
浅い。おまけに僕らにはボルトもない。どうしよう? 
 すぐ横にはテラテラ光る2ルンゼ大氷柱。「もう2ルンゼでもいいなあ、登れれ
ば・・・」と真剣に思ってしまったが、そんなこと自分から口に出したくはない。な
んのことはない、後で聞いたら一村さんもこの時、僕とまったく同じことを考えて
いたらしい。
 ここでタイミングよく、一村さんがだいぶ右のカンテ状ルートの辺りで、残置を
発見した、してしまった。
 5p目、残置でビレーしてもらい、正規のルートよりもだいぶ右から登り出す。
10時。薄い氷壁から雪壁。ランナーは取れない。貧弱なブッシュとツララに回
したシュリンゲでビレー。35m。
 6p目、正規のルート目指して草付を左上。ビレー点が不安なので、ビレーヤ
ーも緊張してしまった。カンテを回り、草付から雪〜ベルグラ。フォローしていく
と、一村さんは正規のビレー点でビレーしていた。よかった。45m。
 7p目、トポの「白い凹角」に張ったベルグラを越えると、右の方にビレー点。
う〜ん、でもこのスラブのトラバースは超悪そうだ。真上を見ると、ジェードル沿
いの凹状部にべルグラが続いている。おまけに太目のブッシュも散見される。
いいや、このまま行っちまえ。
 80度ぐらいの草付交じりフェースに垂れる細いベルグラを、心地よい集中力
で越えると傾斜は落ちた。なおも凹状部の氷のような雪のような、を登り、太い
ブッシュでビレー。45m。「洞穴ハング」のすぐ左上に当るようだ。
 8p目、ブッシュからちょっとしたカンテを回りこみ、一村さんは僕の視界から
消えた。時折雪の塊やら氷片やら石ころやらが降ってくるが、ロープは確実に
伸びてゆく。
 このピッチ、フォーローでも厳しく感じた。浅いコーナーに張り付いたベルグラ。
一村さんはここをレイバックで突破。「俺の順番じゃなくて良かった」、と本気で
思ってしまった。45m強。
 9p目、目の前には、またしても薄いベルグラが張ったコーナー。コーナーに
入る手前で、ちょっとした岩の突起で気休めのランナーが取れた。コーナーは
短いが、ベルグラは薄く、そして細い。最侠部で30pないぐらいか?
 「クソー、薄いぜ!」と叫んでみてから、べルグラに取り付く。岩を叩かないよ
う丁寧に氷をつつき、アックスを引っ掛けて。こんなクライミングがしたかった。
 最後、ザラザラの雪壁を少し右へトラバースし、太いブッシュでビレー。40m。
「白樺テラス」とおぼしきダケカンバの木が、もう指呼の間に望める。
 10p目、一村さんが雪と草付を巧みにつないで白樺テラスへと右上していく。
50mいっぱいで白樺テラス。
 11P目、ヘッデンをセットし、登り出す。雪と草付を右上していくと、カモシカ
尾根に抜けることができた。40m。
 登攀終了19時ちょうど。雪を削ってビバーク。僕らは二人とも、カモシカ尾
根は初めてだったのだ。 
6日
 カモシカ尾根を下降。スキーを回収して上高地へ下山。夕方から天気が崩
れてきた。
 
 大ジェードルは壁の弱点を突いた、オールフリー(ベルグラがあれば)の好ル
ートだと思います。ビレー点以外の残置は8P目に数本、10P目に1本のみ、と
いう状況で、プロテクションは基本的にブッシュ、それ以外にエイリアンの黄色、
赤、そしてイボイボ、という感じでした。また、トポのピッチ長と実際の長さには
だいぶ差があります。
 
 また、2ルンゼの大氷柱の氷結は3月6日時点では◎、ルンゼ状スラブは、
3月3日に取り付いた一村さんによると、「外傾テラスの上でベルグラが切れて
て登れんかった」。
 参考まで。

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