明星山/P6南壁/クイーンズウェイ

日程
2002年11月1日(土)〜2日(日)
メンバー
(浜松労山)石津順策、(スズキ山岳会)古橋利志之
記録
(浜松労山)石津順策
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


11月1,2日で、明星山P6南壁へいってきました。パートナーは、30数年来の友人古橋
利志之君。
 
初日のターゲットはフリースピリットもしくは、クイーンズウエイのどちらかということで壁に向か
いました。取り付きにいってみると、どちらも、先行は1パーティでしたが、古橋君にとっては、
久しぶりの本チャンであるし、ビバーク覚悟で装備食料を用意してきたが、できることなら
したくない。
 
そんなこんなで、ピッチ数が少なく、ルートグレイドが一段低い、後者のクイーンズウエイに
取り付きました。
 
そのあらましを、記してみます。
 
明星山P6南壁クイーンズウエイ
 
メンバー 石津 順策(浜松労山)、古橋 利志之(スズキ山岳会)
 
10月31日
20:40、古橋宅を出発。26:30ごろ、キャンプ場到着、車内で仮眠。そんなに寒くはない。
 
11月1日
少し寝過ごし、6:30キャンプ場を出る。小滝川の水量は意外と少なく、飛び石で対岸に
渡る。7:00クイーンズウエイ取り付き点到着。
 
先に述べたように、フリースピリッツには1パーテー、クイーンズウエイにも1パーテーが2ピッチ
目を登っている。1ピッチ目を登っているのは、2ピッチ目の途中から分かれるマニフェストに
向かう人たちだ。さらに、取り付きで順番を待っているのもマニフェスト組だ。
 
したがって、クイーンズウエイは、われわれが2組目となる。7:45登攀開始。
 
1ピッチ目、草つきフェースを左上(35m、W)。
 
2ピッチ目、いきなりの下部核心部。かぶり気味の凹角(Y-)を超えて、かぶったクラック。
これが難物。ルート図ではY−となっているが、もっと難しい。右手が決まるところに、キャ
メ#1をセットしなければならない。右足を置くところがなくてムーブが決まらないのだ。キャ
メにシュリンゲをかけて、アブミ代わりにしようともがくが、足が届かない。
 
フjリーのピッチをエイドにして登ったのでは、コケンにかかわると、突破をあきらめ、クライムダウ
ン。きわどいスラブのトラバース(Y−)のマニフェスト2ピッチ目を途中から直上して、クイーン
ズウエイ2ピッチ目終了のレッジに出る(25m)。
 
3ピッチ目、レッジ左手の凹角をを登り、草つきフェースに入る(W+)。4ピッチ目、同じく草つ
きフェースを枯れ木テラスに向かう(W+)。このあたりまでくると、クライミングの勘も戻り、体も
なじんでくる(30m、W+)。
 
5ピッチ目、左がかぶり気味の凹角をステミングで登る(X,20m)。これまでも、ボルトやハー
ケンが少なかったが、出だしのボルトを過ぎれば、次のハーケンまで、20mノーピン。さらにも
ろいフェースを20m(W)。
 
6ピッチ目、凹凸の少ないスラブを右上し、ハングの右側のスラブを直上。このスラブは、中
央バンドからの落石によって、ツルツルに磨かれて、極端に滑りやすい。ハングに背中を押し
付けて、何とか中央バンドに出る(X,20m)。
 
7ピッチ目、浮石だらけの中央バンドを落石を起こさないよう神経を使って、30mほど登り、
上部岩壁の階段状フェースを10m登ると、安定しテラスに出る。
 
そこには、先行の豊橋パーテーが8ピッチ目を登っており、ジグサグのライン取りにビックリする。
ちょっと目には、直上のラインのほうが合理的に見えるからだ。
 
待ち時間の間、久々にのどをうるおし、行動食を口に入れる。
 
8ピッチ目、豊橋パーテーのとおり、ラインをたどる。40m、X+のこのピッチにハーケンのたぐ
いは、なんと3本だけ。ロクスノ17号トポの記述「残置多し」はまったくのジョーダン。絶対に
落ちないと気合を入れてこれを登る。
 
9ピッチ目、出だしがかぶり気味のフェース(X+)を左上し、草つきフェースにはいる。(40m)。
 
10ピッチ目、上部岩壁の核心部。かぶったフェース(Y−)を直上し、いったん緩やかな斜
面に出て、垂直の凹角(X)を登ると、斜面はがくんと緩やかになり、終了点の近いことがわ
かる(45m)。
 
11ピッチ目、ノーザイルでも行けそうな、ガレた斜面を落石を起こさないよう、30mほどザイ
ルを伸ばし、14:40登攀終了。
 
15:00下降開始。10mほどトラバースして、ルンゼ状のブッシュ帯をくだり、左岩稜からの
下降路に入る。去年までに比べれば、赤布がグンと増え、暗くなってもヘッドランプさえあれ
ば、下れるかもしれない。でも、間違えると、壁の上に出てしまうので、夜道は敬遠したい。
 
送水管の少し上流を、飛び石でわたりキャンプ場に16:00少し前に到着。
 
ビバークの可能性大ということで、夕食の準備をしなかったので、糸魚川市内まで車を走ら
せ、「たら汁定食」(1400円)を食す。あっさりして、なかなか美味なり。
 
18:00ごろ、キャンプ場に帰って、壁を見上げると、P6の頭付近にいくつかのヘッドランプ
があり、翌日、同時刻ごろマニフェストに取り付いた人たちがビバークしたことを知る。
 
11月2日
今日も出遅れる。お目当ての左岩稜の取り付きには、10数人、3ピッチ目までのテラスに
も鈴成りの大渋滞。どうせ途中から引き返すのだからと、渋滞に加わるのだが、2時間たっ
ても、順番が来ない。とうとう痺れを切らし、途中から引き返すのなら、少しでも面白いルー
トを、ということで直上ルートに移動。
 
はたして、直上も2パーテーが取り付いており、1パーテーが待機中。新潟労山だという彼
らと、しばらく歓談。冬はクライミングはお休みだという彼らに、常春の石巻山を紹介。
 
帰宅のタイムリミット午後1時までに3ピッチぐらいは登れそうだけれど、渋滞にもイヤケがさ
したし、古橋君も昨日の疲れが取れてない、ということで撤退を決める。
 
小谷温泉の野天風呂に寄り道したり、カモシカ穂高店をのぞいたりして、ゆっくり帰る。
 
このクライミングに際しては、テラスが狭いため、先行パーテーが移動しなければ前へ進めな
いという場面が何回かあった。この渋滞がなければ、あと1時間半は短縮できたが、もっと
多くのパーテーが先に取り付いていれば、さらに時間がかかるから、暗くなると下降路がわか
りにくいということもあって、ビバークの準備は不可欠である。
 
さらに、X級プラスのピッチ40mに支点3本という超ランナウトの連続であり、しかも、キャメ
#2、#1、#.75の3個を持っていったが、使えるところは意外と少なく、もっと小さいサイ
ズが必要であった。いずれにせよ、ランナウトの連続を覚悟しなければならない。

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