前穂/W峰正面壁〜北尾根〜滝谷

日程
2002年9月24日(火)〜28日(土)
メンバー
(京都雪稜クラブ)中川一、岡村裕司
記録
(京都雪稜クラブ)中川一
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


こんばんは、有持さん、みなさん。
御世話になっております。
京都雪稜クラブ・中川です。

先月、前穂四峰正面壁・北尾根から滝谷へ
行ってきましたので、報告させて頂きます。
長文ですが、御暇な時間にでも読んで下さい。


題名・前穂四峰正面壁・北尾根から滝谷へ
期間・02年9月24日から9月28日
参加者・岡村裕司
     中川 一
資料・日本の岩場下巻、穂高の岩場、日本のクラシックルート、
   日本登山大系7巻、岩と雪・1、5、12、20号

9月24日 快晴、沢渡―上高地―明神―徳沢―奥又白池

連休明けの駐車場の朝は静かだった。ザックの荷を整えていると、タクシーの運転手
さが、微笑みながら近づいてきたので、タクシーに乗って上高地へ。到着後、村営食
堂で朝定食を食べ後、冷たく肌を刺激する空気を楽しみながら歩き、徳沢に到着。い
たいた、今年の3月に屏風に来た時に吠えられた黒い犬が。今回は、御機嫌なのか吠
えられなかった。水を汲み、新村橋を渡ってダラダラと登って松高ルンゼ出合に到
着。ここまで来ると、涸沢から下ってくる登山者が多くなった。松高ルンゼ出合に
は、ケルンが積んであったが、私達はもっと違う道から、ルンゼに入り中畠新道を登
るのだろうと思い込み、奥又白谷のガレ場の方まで偵察に行くという、トホホの大失
敗をやってしまった。1時間強のロスタイム。しかし、本日は奥又白池までなので時
間の余裕はある。正しい登山道を見つけて登って行く。中畠新道はよく整備されてお
り赤布目印も付いていたので、無事にクライマーの別天地、憧れの奥又白池に到着。
しかし、出合から池まで、岡村さんにかなり離されてしまった。池に映る紅葉した
木々、私達を拒絶するかの様な岩場はホンマに美しかった。

9月25日 快晴、新村・北条ルート―北尾根―前穂高岳

朝起きると、紅葉した木々は霜で真っ白になっていた。トラバース気味についた踏み
跡に
導かれて奥又白谷のガレ場を経由して、ズタズタになった雪渓に到着。雪渓を渡る為
に、バイルとアイゼンを持って来たが、雪渓の切れ目のガレ場を渡ったのでその必要
はなかった。ここで、またまた大失敗。忠実にC沢を詰めたらよいのに、踏み跡らし
きものに惑わされて沢を外れてしまった。沢にはT1まで、しっかりと立派な踏み跡
があったのだった。
互いに、「奥又白は、初めてやし、、、」と顔を見合わせて失敗を誤魔化した。
取付きにて、登攀準備をして中川からスタートする。1ピッチから3ピッチ目まで
は、凹状をつるべで登攀。今年の2月の錫杖以来、本チャンに行っていない私は全装
備を担いで登るのに、ヘロヘロ状態である。また、ルート上には、白いチョークの跡
があり、少しなんか寂しくなった。ハイマツテラスに到着。
4ピッチ目・岡村さん
ハングからは、幾本もの残置スリングが垂れ下がっている。岡村さんは、スルスルと
軽やか登っていったが、フィフィを忘れた私は正直、フリーで登られているピッチで
もあるのに、かなり苦労した。荷物を担いでいるのでと言うことで御許し下さい。
5ピッチ目・岡村さん
ホンマなら私の番であるが、自信喪失したので岡村さんに交代してもらう。高度感満
点のトラバース。一旦、トラバース終了したピナクルでピッチを切り、カンテを続け
て登って
ビレー解除。ここも、フリーの苦手な私には怖かった。
6ピッチ目・中川
斜面の傾斜は急に落ちてきたので、安心してリードできた。北尾根の稜線まで、あと
少しだ。
7ピッチ目・岡村さん
右上気味に稜線を目指す。
8ピッチ目・中川
ガレガレした岩場を通過して、北尾根稜線到着。
しかし、この後が、、、、トホホでした。

ここから、前穂頂上を目指す。北尾根核心の4峰の基部にはペンキで大きく奥又白側
に矢印が記されていた。奥又白側を巻いていったが、何時来ても嫌なところである。
3・4のコル到着。ここから3ピッチは、つるべで登った。3峰頭くらいで辺りが暗
くなる前にヘルメットにヘッドランプを付けた。そのうち、2峰に行くまでに暗く
なってきたので、ヘッドランプを点けて前進する。通い慣れた北尾根なのに、暗く
なったら過去の記憶なんか役に立たない。落石の危険もあるので、岡村さんには少し
距離をあけてついて来てもらう。2峰に立つが、頂上とのコルに下りる地点がわから
ない。やっとのことで、コルへの懸垂支点を見つけて懸垂下降した。最初はクライム
ダウンも考えたが、安全を考えてザイルを使用した。そして、なんとか前穂の頂上に
到着した。私達を待っていてくれたのは、遠くに光る暖かそうな街の夜景だけだっ
た。ゴツゴツした頂上の少し平らな所を見つけてテントを張った。今日の反省、取付
きまでに迷ったのと北尾根に出てからに時間を費やしてしまったことだ。時折、強風
がテントを叩くが静かな夜だった。

9月26日 晴れ、前穂頂上―奥穂高岳―北穂高岳

少し遅い起床。テントの外に出したポリタンは、少し氷結していた。シュラフカバー
だけでは寒いはずである。昨夜は、ペットボトルに湯を詰めて湯タンポにして眠った
が寒かった。ここから、奥穂の小屋までは、渋滞に遭わないように駆け抜けた。小休
止の後、北穂小屋まで、快調に飛ばして到着。小屋で滝谷の登攀ノートに、京都の知
り合いのメンバーの名前を見つけて、「結構、みんな来てるやん」と嬉しくなった。
テントを設営後、ドームの北西カンテに取付くが、なんやかんやと理由を付けて途中
で帰ってきた。帰幕した後、日頃の仕事の疲れをとるためにも、夕方まで眠って時間
を過ごした。

9月27日 曇りのち雨、ドーム北壁・左ルート―北穂高岳―徳沢
今日も遅い起床で6時過ぎまで眠っていた。下山モードに私はなっていたが、「天気
もましなので、登りましょう」と言う岡村さんの一喝で、登攀モードに変身。

ドーム北壁・左ルート
御存知の通り、ルートの3分の2は、単調なA1.最終ピッチは、簡単なフリー。
壁に残置は数多くのハーケンがあるが、錆びてグラグラしているものも多かった。ビ
レーは、安定したテラスあり。私達は、セルフ用を含めて、スリングの持ち合わせが
少なかったので、トポでは1ピッチ目・45Mを3ピッチに分けて登った。トポの2
ピッチ目を登り切るきと、ドームの頭へ。1時間少しの登攀であったが、下山せんと
良かった。
テントを撤収後、紅葉の涸沢を楽しみながら下山。横尾を過ぎた辺りから、雨が降っ
てきたがカッパを着るほど強くはなかった。徳沢園で、テン場の泊料の手続きに行っ
た時、受付で缶ビールを売って下さいと御願いしたら、「外に自動販売機があります
から」と冷たく言われたのには、かなり悲しかった。

9月27日 雨、帰京

上高地まて、雨の中を歩く。数多くの人が、出発の準備に荷を詰めたり、慌しくカッ
パを
着ていた。タクシーにて沢渡へむかう中、雨の中の下山で寒かっただろうと、心優し
く運転手さんは暖房を入れて下さった。到着後、梓湖畔の湯へ。ここでも老女将さん
が、寒かったでしょうと、優しく迎えて下さった。御二人の優しさ、本当に嬉しかっ
た。

失礼します。

★ エリア別山行記録へ戻る ★ INDEXへ戻る