マッターホルン/ヘルンリ稜

日程
2002年7月9日(火)〜12日(金)
メンバー
(大阪労山ぽっぽ会)宮本
記録
(大阪労山ぽっぽ会)宮本
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


大阪労山ぽっぽ会の宮本です。

7/8から一人でマッターホルンへ行ってきました。
長い報告をお送りします。


自分にとってマッターホルンの登攀はヒマラヤデビューのため避けては通れぬ関門で
ある。ドラマチックな北壁かと訓練に熱が入ったもののソロで行くには荷が重過ぎ
る。勝算を考えツムット稜に目をやれば北壁下部の氷雪壁の大トラバースを経てマッ
ターホルンを縦走するという岩雪氷の全がそろう。それはそれは美しいバリエーショ
ンである。

7月9日ツエルマット市民の2時間の昼寝を待って準備を整えケーブルカーに乗り込
む。久々の重荷にあえぎ、ヘルンリ小屋下のキャンプ地へ3時間もかかり、テントを
張るころには雨があがって迫力の1000mの三角壁が姿を現した。北鎌平のようなキャ
ンプである。日本の3月を想像したが5月連休の北アルプスの暖かさだ。

10日サンダーストーム(雷嵐)の予報が出ていたこの朝、空はまだ小康状態なのをい
いことにツムット稜のアプローチを偵察してみる。雪壁の切れ目の岩壁5mも3級で
問題なく上部氷壁もダブルアックスを肩上で振る程のものではなく、あとは鹿島槍北
壁のようなヒョイヒョイといくトラバースである。北壁ルート取り付きへさしかかっ
たころでアラレが降り出し引き返す。軽く降り注ぐチリ雪崩はまるで白糸の滝のよう
に美しい。やがて本降りとなり、やはり雷嵐となった。ガスに包まれた北壁はまるで
アラレのナイアガラと化しアラレの流れは手足が埋まる勢いで肝を冷やしてテントに
戻る。夜には15cmの積雪となりアタックなど当分無理かと思われたが未明には快晴と
なったので順応もかねてヘルンリ稜をアタックすることにした。

11日 残念ながら下見していないので明るくなってから(5:00)の出発となる。
積雪でトレースは埋まり雪を払ってホールドを捜すとグレードは1つ上に感じられ
る。富士山へも行かなかったトレ不足がたたり、たかが3200mキャンプで頭痛は出る
は、息は切れるはでそれは厳しい登攀となった。2つめのリッジを越えたあたりで
ルートを右上にとったことでわなにはまり3級を10m登ったあとに4級トラバースが
生じミスコースと判明、少し下ってルンゼの雪壁を経てリッジにでるとソルベイ小屋
が見えた。岩が厳しい場合は是非のがれたいルンゼであるがそれが雪深く質悪く雪団
子となってステップがくずれ、効率が良い岩の急斜面を選ぶ。右手にもったアックス
がホールドを捜す手間を大いに省いてくれた。ソルベイ小屋へ向かって東壁を一直線
に登っていく。遅れてきたガイド率いるスイスパーティ。ドイツパーティが追い上げ
てくるが決して先へは出てこない。「前のソロ ジャパニーズのところはまちがいだ
!手前のリッジを登りつめ左へトラバースするのが正しいルートだ。」などと聞こえ
てきそうなガイドの大げさ身振りが憎らしい。ソルベイ小屋下のスラブほんの4〜5
mは百丈岩の3級逆層スラブであり、直下の2〜3mは不動岩菱形下部の急傾斜で思わ
ず右手のアックスを唯一の中間支点のペツルに引っ掛けた。この新雪に順応不足はえ
らく予想外で5時間かかったソルベイ小屋では1時間も休んでしまった。ソルベイよ
り先1ピッチはルートが2本あり左側よりガイドを追い越し、垂直壁にはられた綱引
きロープを持ってガシガシのぼりやがて頂稜へ達するとラッセル厳しく呼吸激しく順
応不足による過呼吸でひどく喉を乾燥させた。一人でルートをみつけ9時間かけた登
頂(14:00)に感動してしまい銅像に頬擦りしながら無事下山を祈る。スタスタと十
字架を越えツムット側を偵察し彼らを待ちながら快晴の頂きを楽しみ写真を撮り合っ
て下山。3時間だぜ!と豪語したわりにはルートファインディングに手間取り6時間
かかる余裕のない帰幕(21:00)だった。ソルベイ下部までの下降は6mmロープで
の懸垂を行う。支点が豊富なので40mで充分だった。

12日 晴れて積雪も消え多くのパーティが待ってましたと頂きを目指すなか自分は
シャワーを浴びに下山。暖かいので頭がかゆい。卵とチーズと焼き豚、果物野菜に
ビール(500cc80円)を買ってキャンプにもどる。豪華ディナー?に舌鼓をうちなが
ら眺めていると、降りて来たチェコ隊(隣テント)の一人が自分の後ろのヤツが落ち
ていったよと声を震わせた。すぐにヘリが飛んで来たが霧に包まれ発見されず。その
後降雪続きテントの中で3日が過ぎた。
順応上々腰痛回復全ての準備は整い小屋に予報を聞きに行くが、さらに向こう4日間
は悪天だと言われ目の前真っ暗に!ブライトホルン北壁もリスカムもあきらめて下
山。
ツェルマットのキャンプ場に下り、夕方から再び雨。強く夜通し降り続き、ずぶぬれ
テントをたたんで肩を落して空港に向かう。
なぜか早朝、純白に輝くマッターホルンを後ろ髪を引かれる思いで後にした。

航空券 約10万円  交通費 2万円  生活費 1万円  土産なしすみません。

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