幽ノ沢/右股中央壁/正面フェースルート

日程
2001年9月1日(土)
メンバー
(獨標登高会)寺田正之、西片裕、佐藤義弘
記録
(獨標登高会)寺田正之
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なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


こんにちは、ご無沙汰しています、獨標登高会の寺田です。
6月の山行で下山時右膝を痛めてしまい、7月の山行で左膝まで...。
8月中はリハビリでした。今回リハビリがてら谷川に行ったのですが、リハビリにし
てはかなりハードな山行となってしまいました。
とはいえ予報に反し秋晴れの空のもと、貸切の岩場での充実したクライミングを満喫
しました。

9月1日(日)晴れ

タイム・起床(5・30)−出発(6・30)−カールボーデン中央(8・15〜45)−取り付き
(9・5〜15)−5P目(11・05〜12・45)−中央壁の頭(17・05〜15)−堅炭尾根稜線
(17・45〜18・00)−一ノ倉出合い(22・35)

前夜、寺田車で一ノ倉の出合まで入り車中泊。ビールで乾杯後0:30就寝。翌朝4:30
起床予定が寝坊して5:30起床〜6:30出発となってしまった。皆日頃の疲れが溜まっ
ているのだろう。

予報に反して天気は秋晴れ。駐車してるクルマも少なくそのうちクライマーのクルマ
は数台だろう。こんな谷川は初めてだ。幽ノ沢の出合からは雪渓はまったく無く沢登
りだ。一箇所悪いところでロープを出す。二股したの大滝は10MほどあるがII級程度
なのでノーロープで快適に登る。カールボーデン中央の最終水場で大休止。水分補給
とガチャ装着。そのテールリッジ状の簡単な岩場を豆腐岩の右を目指し登る。

今回は3人パーティなので1〜4P寺田、5〜7P西片、8〜12P佐藤リードというオー
ダーで登ることにする。(ピッチ数は山渓のロクスノブック「アルパインクライミン
グ」91Pルート図の取り付き点(40M・II級)からを1P目とする)

1P目簡単な草付きを一旦右上し、左に下り気味にトラバース。2P目左上する快適な
III級のスラブ。3P目スラブを直上し、不安定なリッジでのビレ-。4P目が本ルートの
核心、V級のハング越えだ。寺田のリードで登るが、核心部のハング下が前日までの
雨の影響でドロドロに濡れている。フリーで抜けようとするも足が滑ってまったくダ
メ。A0で行こうとするも足が決まらない。そのうえ一番上のV字状の岩の凹角に打た
れたハーケンは3分の1しか埋まっていなく恐ろしい。浮石や泥をクリーニングして
ムーブを探るが一向に解決しない。仕方なくハングの下のハーケンにスリングを掛け
右足を乗せる。そしてくだんの不安定なハーケンにはスリングに左足を乗せA1で乗越
す。ハングの上は狭い泥のレッジになっている。さらに頭の上も草付きに抑えられ安
定しない。泥壁の穴に手を突っ込みゼイセイ言って呼吸を整える。ルートはここから
先、右か左か?次に待っていたの右側のほとんど垂直に近い草付き!足を入れる穴が
横向きにあいている。「ゼッ絶対に落ちれない!」小枝3本にプロテクション(後続
が言うには、まったく効いていなかった)を取って意を決し登りはじめる。草を掴ん
で、足は穴に捻じ込む。濡れていて怖い怖い...。しばらく登ると濡れた露岩となり
そこを左上、しかし今度は45〜60度の笹薮だ。笹を掴むが足元も笹だらけ。濡れ
た笹の茎は良く滑る。ほとんど腕力だけで登る。しばらく行って今度は直上し、潅木
を越えると畳3畳ほどの快適なテラスに飛び出した。精力を使い果たししばらく動け
なかった。セルフを取ってロープを手繰るが、ルートが振れている流れが悪く、非常
に重い。フォローも危険なのでこのピッチのみセカンドが登ってからサードを引き上
げた。フォローの2名も苦労したようだ。ちなみにリードは45分、フォローは両名
とも計ったように30分だった。

5〜7PはIII級〜II級の快適なスラブだ。この区間は西片がリード。快適とは言えと
ころどころ濡れている。8P目から佐藤のリード。一度右にトラバースしてから左上
するがなんと直上してしまった。途中で進退窮まりハーケンを1枚打って乗越す。
III級のピッチだが、無理にそこを登ったのでIV級は有ったのでは。おかげでこの
ピッチ55メートルだがショートカットしたおかげで途中ピッチを切らずに抜けられ
た。9P目は凹角からリッジに抜けるが、凹角が草付きと成っていてしかも濡れてい
て非常に悪い。その後は岩登りというより草登りとなって中央壁の頭に飛び出した。

さらに堅炭尾根の稜線に出て下降開始したのはすでに18:00。下降中19:00
位にはとっぷりと暗くなりへッ電をつける。寺田、西片は以前に通ったことがあるの
で不安は無い。処所悩みながらも20時芝倉沢まで下降した。しかし問題はこれから
だった。雪渓がある時期はここからグリセードを交えながら旧道と芝倉沢の出合いま
で30分程度だろう。ところが雪渓がないと急峻な滝が何個もある沢下りだった。踏み
後を何度も間違えながら、時に登り返したりして一時はビパークも考えた。21:55よ
うやく月明かりの中芝倉沢と旧道の出合着。23時までならビールが買える!急ぎ足で
一ノ倉へ。22:35一ノ倉出合着。クルマを走らせ湯檜曽の自販機についたのが22:
48。なんとすでに販売中止になっていた。さらに水上の23時まで営業しているスー
パーに向かってクルマを飛ばす。22:55滑り込みセーフ。ビールをゲットすることが
出来た。セブンイレブンで弁当とつまみを買い、道の駅水上で遅い宴会となる。3名
とも疲れのため早々に車中泊とする。

翌日は烏帽子奥壁・中央カンテを予定していたが、3名とも疲れと筋肉痛でさすがに
無理。湯テルメで温泉に入り早々に帰京した。

一ノ倉に比べ雰囲気も明るく、クライマーも少ない。幽ノ沢はもっと登られてもいい
んじゃないかな?ただアプローチ〜下降の長さや、ルート中の支点の少なさ、ビレイ
点の貧弱さがネックかな。アプローチや下降を考えれば、雪渓の残った梅雨前の時期
がお勧めです。日も長く、草もまだ繁っていない。ついでに一週間くらい雨が降って
なかったら最高のコンディションでしょう。

PS:現在フォローの確保にはジジを使用しています。セカンド・サード同時登攀に
は非常に便利です。ただATCとエイト環とあわせるト重量的に増えてしまいます。
こんどリバーソーを使ってみようと思います。

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