剣岳/チンネ・八ツ峰・源次郎尾根

日程
2001年8月10日(金)〜15日(水)
メンバー
(ARIアルパインクラブ)吉田肇、恩田
記録
(ARIアルパインクラブ)吉田肇
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


こんばんわ、よっしーです。

夏休みは、恩田さんと剣に行きましたが、いろいろと面白い?経験を積む事がで
きました。恩田さんの報告はシンプルでしたが、その行間には実にいろいろな事
が。同時期に剣に入りながら、すっきりと登攀を行ったスズテル-ヤマパーティと
は対照的かも・・(^^;少し補足しておきます。

(といいつつ、長文になってしまいました)

10日 室堂−熊の岩(曇りのち雨)

熊の岩に定着を快適に過ごすべく約30キロのザックを背負って、室堂より入山。
室堂はやはり近く、剣沢辺りまでは順調。しかし、長次郎雪渓では、途中から雨
が降り出してザックがさらに重くなり、熊の岩までがなかなか遠かった。

11日 源次郎平蔵谷成城大取り付き判らず敗退(晴のち雨)

この日は、一番の目標ではあった成城大ルートの登攀。3:45に起床して、5:00に
熊の岩を出発。当初、源次郎の最初のルンゼをそのまま越えようとするが、水量
が多くてチムニーは全身ずぶるれ覚悟が必要、手前のクラック?で登ろうとした
が支点が遠くて結構怖い・・・。左に巻くことにする。道がガレている事も有り、
源次郎尾根からトラバースして成城大ルートの取付き付近に着いたのは10:00頃。
クライマーは自分達2人だけ、しかし取付きが見つからない。草付きの凹角状のは
ずだが、凹角が沢山ある・・・。木などに支点を取って、凹角を3本ほど登るがそ
れらしいルートを見つけられず・・。(一部ピンもあった)そのうちにロープを
岩に引っ掛けて、ほとんど切れそうな状態になるトラブルもあり・・・。天候が
怪しくなってきたこともあり、13:20に敗退を決定。源次郎尾根に戻り、2峰の懸
垂後、右側のルンゼを下って熊の岩に戻る。しかし、下降はひどいガレ場で、急
な雪渓はあるといった状態で悪い。おまけにガスが出てきて、それほど遠くない
はずの熊の岩の方向が分からず・・。無線と大声でテン場に戻っていたスズテル
-ヤマパーティにナビしてもらって、17:00過ぎにようやくテン場に戻れた。

12日 VI峰Aフェース中大(雨と曇り)

朝から天気が悪くテントの中でごろごろ。雨がおさまった10:30ごろ、スズテル-
ヤマパーティが目の前のVI峰に取付くというので我々もようやく起き出す。壁が
湿っていたので、比較的登り易いCフェースの剣稜会ルートとAフェースの魚津高
ルートに取付くパーティが多い。見ているとAフェースの中大ルートを登っている
パーティが1つあったので、我々も取り付いてみた。1ピッチ目はクラック沿いに
直上、自分がリードした。ピンは多いがホールドの向きが結構悪くて途中で少し
苦労する。 2ピッチ目から雨が再び降り出す。ルートファインディングもそこそ
こに直上して行くと、いつの間にやら魚津高ルートに合流。ロープの流れなども
あり、2ピッチ以降は短く切って、4ピッチで終了。

13日 チンネ左稜線(晴)

この日、チンネは渋滞するだろう、という予測のもとに我々は2:00に起床して、
3:00頃出発。気合が入っている。チンネ取付きには1時間ちょっと、相当早い順番
になるはずだった。しかし、ガスで視界が効かず、熊の岩から右俣を詰めて池ノ
谷乗越に行くはずが直上してしまう。雪渓の傾斜が急になり、ガスが切れるまで
30分以上停滞・・。その後、少し下ってから右俣を詰めて、三の窓へ。約十張り
ものテントがある。完全に出遅れたと思ったが5:20頃、チンネ左稜線の取付きに
ついてみると先行パーティは4人2パーティのみ。我々が取付きについた後くらい
から、続々とパーティが後ろから姿を現してきた。ピンが多いので、周りパーティ
と同時に登攀することが多かった。とにかく、後ろが押しているので、休めない。
ひたすら登りつづける。のんびりとまわりを眺める余裕は無かったが、ようやく
この日は晴れて、青空にすっきりとしたチンネの岩峰をのぞむことができた。核
心の鼻は恩田さんにお願いした。11時過ぎに登攀終了。後はのんびりと、熊の岩
に戻った。

14日 源次郎平蔵谷成城大(晴)

成城大ルートにリベンジ、この日、自分は体調が今一つで晩飯と朝飯をほとんど
食べることができなかった。しかし、身体は動いたので、おとといと同じように
取付きに向かう。熊の岩を5:10に出て、取付き付近の中央バンドに8:30頃到着。
ここからが問題で、取付きを再び探す。おととい、おおよその目星を付けたつも
りだったが、その周辺にもピンは見当たらない・・。20代前半のパーティと一緒
に取付きを探すが、トポの記述にぴったりと合う場所が見つからない。そのうち、
中央ルンゼより、ベテランらしいパーティが登ってきたので、聞いてみると取付
きはもっと奥との事。源次郎尾根から見える見栄えの良いカンテにすっかりだま
されていたわけである。しかし、ここは非常に分かりにくいらしく、ベテランパー
ティの1人もおととしは間違えて敗退したという。中央ルンゼのチムニー状の先に、
目的の浅い洞穴状のしたのテラスが見つかった。10:40に登攀開始、20代前半パー
ティの後に着いて登ったので、少々時間がかかる。問題は4ピッチ目のトラバース
で、ここのルートファインディングが難しいらしい。リードは恩田さん、ビレイ
点のリングボルトがあまり効いていないようで怖い。左のクラックにキャメロッ
トの2番を噛ませて、支点を補強する。45分くらいで次のビレイ点に辿りつき、あ
とはフリーでギアを回収して登る。手頃なフレークがところどころにあり、フリ
クションも抜群なので、登っていて非常に快適で面白い。もう1ピッチ、V級があ
るはずだったが、少しルートを外れてしまったようで良く分からず・・。左の草
付きのルンゼを登って、ハイマツ隊を超えると4ピッチ目の終了点らしいものがみ
つかった。その後は、簡単な草付きのルートを登って16:45に登攀終了。前にパー
ティがいたこともあるが予想以上に時間がかかった。時間が遅かったこともあり、
剣の本峰を経由して、熊の岩に帰ることにする。本峰まではスピーディに行動で
きたが、ここで安心して少し休みすぎた。前のパーティがここにテントを張って
いたので少し話しこんで、水や食料を分けてあげたのだ。完全に暗くなる前に、
池ノ谷乗越に向かったが結構ルートは悪く、暗くなってくると踏み跡も判然とし
ない。そのうちにヘッデンとロープを出しての行動となった。なかなか思うよう
に進むことができずに、21:00にビバークを決定。尾根の上で夜を迎えることになっ
た。前のパーティに水を全部あげてしまったことが悔やまれる・・。比較的平ら
な凹状部に寝たが、さすがに身体が痛い。

※成城大ルートの3ピッチ目は、名古屋大ルートの上部にパーティがいると落石の
危険有り。

15日 黒部ダムに下山(晴、雷雨)

寒さに震えながら、夜明けとともに起きる。雲海から昇る見事な御来光を見るこ
とができた、これを見るために一晩我慢したと思えば辛くはない?明るくなっっ
てもやはり道は悪く、結局池ノ谷乗越まではいかずに途中のガレ場を下ることに
した。6:30に熊の岩のテン場に着。ゆっくりと朝飯を食べて、荷物をたたんでか
らちょうど9:00に下山を開始。最終日に酒を飲みきれなかったこともあり、荷物
は結構重い。予定通り、ハシゴ谷乗越経由で下山したが、ここのコースタイムは
なかなかきつめ。それなりのスピードで歩いているつもりでも、コースタイムを
詰めることがなかなかできない。最後は黒部川の本流出合付近で再び雨に降られ
るというおまけがついて、16:30頃に黒四ダムに到着した。

感想:ふだん、ゲレンデ的なところがおおいので、アルパインクライミングらし
いクライミングを楽しむことができたのはとても良かった(^^;アルパインクライ
ミングでは総合力が必要なので、クライミングの組み立てが肝心であることを実
感。

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