シャモニ、グリンデルワルド周辺の登攀

日程
2001年2001年7月28日(土)〜8月11日(土)
メンバー
(ARIアルパインクラブ)原、石崎、前田、雨宮、豊山
記録
(ARIアルパインクラブ)前田一郎
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


前田です。
ヨーロッパから無事に帰って参りました。

ヨーロッパアルプスはやはりしょっぱかったですねー。
やはり登攀スピードが私にはまだ足りないということがわかりました。
そのスピードが上がらない原因は結局、体力/ルートファインディング力/フリ
ー/ロープワーク/支点作成/判断力 等の総合力の無さということになるので
しょうね。日本での残置ピンを追っかけるクライミングに慣れている私は、岩の
弱点を見つける能力が欠如しているのかもしれません。
ヨーロッパアルプスは私に多くの宿題と課題を与え、そして自分のクライミング
観の幅を拡げてくれたように思います。

7/28 日本発
7/29 チューリヒ着:
 トヨ・前田でジュネーブまで雨宮さんをピックに行く。初めて会った雨宮さん
は機内で呑んだらしくすでに顔が赤かった。

7/30 モンブランタキュル 北面トライアングル左稜ルート(AD):
 主に雨宮、前田で数ピッチずつリード、石崎フォローで登る。左稜の左のルン
ゼから取り付き、雪面を100m程をスクリューで支点を取りながら登る。アイ
スの上に解けた雪がのっている状態で部分的に悪い。ルンゼを詰めた後リッジに
戻り、リッジを100m程登る。岩とアイスと雪壁のミックスであるがU/V級
までで特に難しくはない。ベルグラには少し注意が必要。標高が4000m程になる
と、身体の動きがスローになり登攀スピードが上がらない。リッジの後50m程
雪面が続いた後、北面の一番左のリッジに移り、少し行くと岩稜を行き再度雪面
を登り登攀を終了する。
 ルート中、残置ピンはほとんどなく、支点はスクリュー、カム(エイリアン1
セット、キャメ#2位までを多用)、ピナクルへのスリングで取る。
 予定では登攀終了後ピークまで行く予定だったが、時間がかかりすぎたので、
トラバースしてノーマルルートに移り下山。ミディ駅からシャモニへのロープウ
ェイの最終はすぎていたので、コスミック小屋でその日は泊まる。小屋でイギリ
ス人コンビとスイス人夫婦とテーブルが一緒になり、楽しく会話(雨宮さん、石
崎さんは。前田は聞いてただけ)

7/31 ランデックス南東稜(AD-):
 トヨの記録通りなので省略。
 このルートにはおじさんおばさんパーティや家族連れ、イギリスあんちゃんパ
ーティとたくさんの人が取り付いていた。ヨーロッパ人にとってクライミングは
かなりお手軽なものなのかな。

8/1 クロシューズ針峰 プチ・クロシューズ東面(AD):
 1P(U/V) 雨宮リード バンドをトラバースしてチムニーの基部まで行く

 2P(W) 雨宮リード ダイナミックなムーブでチムニーをあがる
 3P(W) 雨宮リード 左上にまっすぐ伸びるクラックに従って登る。岩がつ
るつるである。
 4P(X) 前田リード 出だしの1手をA0で越え、甘いホールドをひろいながら
登る。

ランニング、ビレー点は残置ピンを使える。しかし、人気ルートなので、ビレー
点等では混み合い、自分でビレー点作成の必要があり、キャメ#0.5ー1位が
必要。

我らは登攀終了後、クロシューズ本峰を回って下山。しかし、かなり長いので、
クロシューズのコルから下山するのが一般的のようだった。

8/2 プチ・シャルモ 縦走(AD)
 トヨの記録通りで省略。
 ガイド等によると5時間ほどで行けるはずだが、我らは倍ほど時間がかかって
いる。ルートの難度を見極め、うまくコンテ等でスピードアップの必要があると
感じた。
 プチ・シャルモのピークか見えるレム針峰がかっこいい。いつか登りたい。

8/3 雨休養日
8/4 原さん・トヨをジュネーブに送った後、雨宮さん石崎さん、前田でシャ
モニのとなり町のレス・ハッチェスに宿を取る。

8/5 モンタンベール駅から3時間の氷河歩きでルカン小屋まで行く。

8/6 ダン・デュ・ルカン 南東稜(AD):
 南東稜の末端の下を回り込んで、稜線の左側の氷河を登り、ポイント2977
のコルの左につながる雪面から取り付く。本来の取り付きはもう一つ右かもしれ
ないが、ここはシュルンドが開いているので取り付きづらかった。ポイント29
77の飛び出した2つの大きな岩の間を目がけて登り、南東稜にでる。
 稜線から数ピッチの簡単な部分を前田がリード。岩がつるつるしているので、
気はゆるめられない。
 雨宮さん数ピッチリード。途中、W級のチムニーがあり、かなり腕力がいるダ
イナミックムーブとなる。ポイント3041付近で雨が降り出す。ここから懸垂
ができるので、降りるかどうか判断し、登攀継続を判断する。
 途中コンテでつないだ後、前田がリード交代。雨でスラブは滑り易く緊張す
る。
 シャポーアコルをすぎて、大きなバンドにでる(ピークまで100m)。ここ
で更に雨が強くなったので、ここから懸垂を開始する。懸垂支点はつい最近作ら
れたしっかりしたものがある。(この懸垂支点はシャモニの登山事務所で確認し
ていた。小屋のおやじさんにも確認をとっておいた。どのガイドブックにも出て
いないので、ルカンに行く人がいれば我らに場所を聞いてね)懸垂は8ピッチだ
ったと思う。白の矢印でマーキングがある。1ピッチは50mギリギリに作って
あり、確実に次ぎの懸垂支点につなげて行く必要がある。レナウデダイレクトル
ートの取り付きで懸垂は終了する。

 この日はルカン小屋にもう一泊する。
 ルカン小屋:
  すばらしい小屋である。小屋のおじさん、おばさん英語がほとんど話せない
が、我らの英語を理解しようと一生懸命になってくれてとても親切。ロケーショ
ンもすばらしく、ドリュ、ベルト、ダン・デュ・ジュアンがよく見える。ルカン
小屋ベースですばらしいルートがたくさんある。おすすめの小屋である。

8/7 シャモニに戻り、グリンデルバルトに移動
8/8 メンヒヨッホ小屋にベースアップ

8/9 メンヒ ノーマルルート(PD)
 この日は南西稜の予定だったが、強風のためノーマルルート(南東稜)に変
更。
 小屋からすこし行って、メンヒ南東稜に取り付き岩稜帯を行く。その後急な雪
壁を登った後、雪尻が大きく成長した水平な道がピークまで続く。ピークからは
ユングフラウ、アイガーがよく見える。ここからみるアイガーは迫力に欠ける。

 小屋からメンヒの往復は3時間で終了した。この日は、6パーティほど取り付
いたが、大変風が強くほとんどのパーティは引き返した様子。我らはトップで登
り、速攻で降りてきた。次第に天候が悪化したため、その他のパーティは引き返
すことを余儀なくされた。ここでも、スピードの重要性を痛感した次第である。

 この日小屋に戻って、グリンデルバルトまで下山。

8/10 ルツェルンで雨宮さんを見送った後、石崎さんと前田はチューリヒま
で行く。
この日は、美術館等で観光をする。(前田には豚に真珠でした)
8/11 帰国


石崎です。 そろそろ時差ボケも直ってきました。 遅くなりましたが報告&感想を述べます。 とりとめもなく長くなってしまいました。 今回は実力以上のルートに行ってしまったようで、 反省点多々有りです。 1 Mont Blanc du Tacul North Face Triangle Left Edge (AD/350m/mixed climbing) 初日のモンブランタキュルは高度順応がぎりぎり 状態で、頭で考えて主体的に行動するなんてこと は論外の状態でひたすら雨宮さん、前田さんのリ ードについていくだけ、という具合でした。 アイスと岩のミックス状態だったので、大げさだけ どバイルはクオークを持っていって安心でした。 結局初日は予想以上に時間を取られてミディの ロープウェー最終便(たしか5時40分)に間に合わず、 コズミック小屋泊まりになりました。(ヨーロッパでは 小屋に泊まる際普通は予約をしなくてはならないそう です。)初日からぎりぎりいっぱいの行動で、タキュル からも眺めもすばらしく、充実した一日でした。 2 Aiguille de L'Index(2595m) Arete sud-est (AD/100m/cracks) ランデックス針峰はロクスノのバックナンバーにも 写真付きで記録がある人気ルートなので、リード させてもらう。楽勝ルート?という話で登靴で登り 始めるが、しょっぱなにつるつるの壁で滑ってずっこ ける。ハンギング状態で靴をフラットソールに履き替 えて登る。途中、けっこう体格の良い中高年の初心 者おばちゃんパーティーを抜かそうをするもうまくコミ ニュケーションできずもたつく。(けっこうフランス人は 英語分からないのフランス語も知っておくと良いかも) 手軽なルートとは言え、大勢の中でスマートに登る 術を知らないと以外に時間を食うルートかもしれません。 (特に自分のザイルさばきに反省。) 3 Aiguilles Crochues(2840m) Face est de la Petite Crochue (AD/130m/cracks) 昨日のランデックスと同じロープウェー駅から降りて ずっと右にハイキングルートを行き30分ほどで取りつ きに出る。ここも人気ルートのようでハイキング客かと 思っていた団体も皆同じルートを取りつきはじめ、結局 3パーティーほど前に居る状態でのんびり待ちながらの 登攀となった。核心の最後の1ピッチは少々かぶりぎみ で前田さんの華麗なリードで抜け終了点。そこからは 稜線ずたいにPointe Sud des Crochues(2834m)など を越え、コンテで歩く。けっこう眺めが良く気持ち良い 稜線歩きだった。(一箇所懸垂下降有り)最後は雪の 緩やかな斜面を登山靴で歩いて降り、ハイキングルート に合流。実は私は最初のロープウェー駅にアイゼンを 忘れてきたので、もうないかと心配でしょうがなかった が、駅のおにいちゃんに(この人も英語が通じず)身振り で足の裏を指差し「クランボン」と説明したら保管して あったのを持ってきてくれた。(ラッキー!!) 4 Aiguille des Petits Charmoz(2867m) Traversee des Petits Charmoz (AD/200m/cracks) 連日行動で疲れてきたか、睡眠不足もありかなり調子 わるく、取り付きまでですでに遅れ気味になる。 前田さん、原さんのリードにここでも着いていくだけの 状態になり情けない。けっこう、しょっぱい部分もあり また、稜線に出てからは高度感のある気持ちの良い ピッチもあり良いルートだったと思うが自分の体調管理 が今ひとつで何かすっきりしない一日だった。(帰りに パラパラと雨に降られた) ☆ここで、原さん豊山さんは帰国。翌日は登山電車にのって モンタンベール駅経由で氷河をたどりルカン小屋へ。 着いた日はすばらしい天気と眺めそしておいしい食事で 最高の一日を過ごしました。☆ 5 Dent du Requin(3422m) Arete du Chapeau a Comes (AD/500m/cracks) 朝から天気は曇り。これまで概ね好天に恵まれたのに この日は一番悪い。また、他に同じルートを行くパーティー もいないのでルートファインディングもてこずる。先がどうな っているか分からないこともありロープを出して前田さんが 偵察しながらの登りだった。雨宮さん、前田さんでリードを 交代しながら登り進むが、途中から雪・雨が降り始め、撤収 のための懸垂下降地点を探しつつ登る。雨がけっっこう降り 出してきたところで他の二人組パーティーが懸垂下降をして いるのを発見。懸垂地点は検討がついた。 時間も押し迫っているなかでなかなか思うように進まない 焦りを覚える。途中雨宮さんリードの場所でつまり、時間 もないのでごぼうでクリアして先に進む。何とか懸垂地点 に着き、タイムアウトということで登頂は諦め懸垂下降に入る。 結局朝5時半に出発し小屋に戻ったのが6時過ぎという 予想外に苦戦する結果となったが、ルカン小屋のご夫婦が 暖かく迎え入れてくれてほっとした。ここはもっと実力をつけ てまた、チャレンジしたいところです。 最後にスイスに移動し悪天(強風)のためノーマルルートで メンヒに登っりました。驚いたのはを岩を砕いて山にトンネル を掘って3500mもの場所(ユングフラウヨッホ駅)まで電車を 通してしまった人たち!!途中でアイガー北壁の中腹の駅 の窓から外を見たら岩肌に残置ロープが垂れ下がっていて けっこうハングした岩が見えました。 メンヒヨッホ小屋からは2時間弱で頂上につきましたが、やはり 高度があるので足取りは重く雨宮さん曰く、私は「余裕なし」状態 だったです。でもちょうど良い晴天の瞬間に頂上を踏めて最後の 締めくくりは気持ち良かったです。 一緒に行ってくれたメンバーの皆さん、今回は本当にお世話になり ました。特に雨宮さん前田さんは最後までお付き合いいただき 感謝しております。もっと実力をつけますので、これに懲りずにまた よろしくお願いします。 長くなりましたが、ここまで読んでくれた方ありがとうございました。

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