毛勝山/アブキ谷・中谷)滑降

日程
2001年5月12日(土)〜13日(日)
メンバー
(春日井山岳会)加藤美樹、(峠の仲間)鈴木、(豊川山岳会)鷲見
記録
(春日井山岳会)加藤美樹
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


   5月12〜5月13日 快晴
 
          メンバー (峠の仲間 鈴木)(豊川山岳会 鷲見)(春日井山岳会 加藤美樹)
  
 魚津から望む毛勝三山は、いつになく白くたおやかだ。
これから目指すアブキダンの雪渓が、真っ青な空へ向かって突き上げている。
 
 片貝山荘のある登山口に到着してみてビックリ!車は一杯、おまけにマイクロバスまである。
以前来た時は誰にも会わなかったのに・・・短パンの足にロングスパッツ着けてる変わった兄ちゃんや、
中高年の団体様御一行、車のナンバーは全国多岐に渡るが、スキーの人は少数派らしい。
 
 今回は猫又谷が希望だったが、事前の魚津署のおまわりさんのご親切な下見により、入れないことが
判明。
「まあ、毛勝三山に登れるんなら何処でもイイや、黒部側に降りれば面白そうだし」
って訳でこうなった。皆其々自会にはスキーの相手が居ない。
 スミさんも鈴木さんも歳は近く、スミさんは「自称沢オヤジ」今回、沢の面白い話が沢山聞けた。
 
 片貝川を渡り林道をしばらく歩くも、コンクリートの上に雪は無い。
宗次郎谷出合の先には昨年出来たばかりらしい堰堤がいくつもあり、谷の様子が変っている。
 馬場島もそうだったが、これだけの堰堤を作ればそりゃ充分な公共事業費ってやつが動くだろう。
 「魚が消える」と沢オヤジのスミさんが嘆く。
 
 ひたすらスキーを担ぐこと1時間以上で最終堰堤。ここから先はスキーの世界だ!
明神谷出合には大きくデブリがあって、谷も開いていたが通過に問題はない。
 ただし谷全体がもろく、側壁からの落石に雪崩等、常に注意は要する。
この谷にこれだけ多くの人が詰め掛ける危険を考えた。本谷全ての見渡せる所まで来て、それは驚いた
のだ。
 まるでそこは白馬大雪渓??多くの人が谷に群れている。
 
 本谷右俣の出合には大規模な雪崩跡があり、親子と見られるカモシカが、無残な姿を曝していた。
上部の団体を眺めつつ板を引いて登るも、彼等は遠目にはまるで静止しているかのごとくのスピードだ。
 
本日はこちらものんびりぺーすで、「谷の中での休憩はどうかな?」と思いつつも止まらぬ汗に一本と
った。
 「さ〜って行きますか」と立ち上がって間もなく、
「落!」という後方スミさんの声に顔を上げるや、大きく平らな落石が縦となってすっ跳んでくるでは
ないか!?
 上部のガイドパーティー!何とか言ってくれっ!!
慌てて横っ飛びにその落石の群れをかわした私たちは、まず後方を振り返って叫ぶ。
 下には何組かの下山者がいる。ますます加速のついた大石に、「1人がやられた」?
と思ったがそれは幸いにも、その人が置いて逃げたザックだった。
 緊張の一瞬。こうなるともう休むどころではない。汗まみれでコルへと急いだ。
 
 中谷の斜面は快適そう。一服していると団体ツアーが降りてきた。
200名山をいくつ登ったのだの300名山はどうだの・・日本百名山も泥沼化しつつある様で・・・
 山頂から滑降できそうなので上へ行くと、地元の山岳会の人が休んでいた。
「今年はもう3階棚滝が出ていて下れない」と聞く。
 今回その東俣側にある「天国の階段」も登っておくべきダッタカナ。ふと思う。
そうすりゃ万一今年のヨーロッパやヒマラヤで落っこちても大往生???ホントかい!?
 
そこに新たな団体ツアーも来て、山頂は大盛況。しかしガイド(?)は知った顔のお兄ちゃん「イイノ
カナ」  「ま、いいんだろ」兎も角ここからは人影なしの黒部側!
 
3人3様思い思いのシュプールを描く。人もいなけりゃトレースだって無い、最高の斜面!
 やや下って、インゼルの様な狭い喉となる。下部は急に落ち込み、見通しは利かない。
「繋がってはいそうだがシュルンドが開いているかも、気をつけろ」とお互い声を掛合い飛び込んだ。
 ここでの転倒はまずいことになるので慎重に板を進めるが、幸い大きな割れ目もなく無事通過。
 
 もう少し下ってみようかと思ったのだが、おじさん達は美味しい斜面は滑ったし、下れば登り返しが
嫌だということで、800m下って終了也。中央寄りの斜面を整地していたら、側壁からブロック雪崩
が落ちてきてドキドキもの。
 谷では沢の出合、そして側壁近くでは休むのも幕営も厳禁だ。
 
 夕食はワンタンスープにギョーザにBeer、マーボ豆腐にご飯。
 なんと豆腐もネギもギョーザは1人1パック全て生!私はビールとネギ一束?くらいだが、
ラストの詰めはバテ気味スミさん。食料担当、テントも背負って1900mも登りゃアそりゃ疲れます
よ・・・ 
 沢ャに「軽量化」という文字は存在しないらしい。
ボッカに弱いと日頃自認している私には考えられない。荷は軽く、山は泊らず、かつ止まらない!?
 
 翌朝、快晴。同じ山頂寄りの谷筋を詰めると、予想通り他の谷は藪で遮られていた。
 中谷は落石の危険は少なそうながら、上が気になってならず、万一に備え急斜面でも飛びのけるよう
バイルを出し登った。
 上部からは前日剱のみが見えなかったが、今日は雲一つ無い空で、それより更に濃い青さで日本海が
拡がっている。自会のリーダーが単独でくるというので待つも姿なく、諦めて降りることにした。
 
 日本海へ向ってダイブ?それっと飛び込んでしまえば良かったのだが、登山者も多くトレースに引っ
かかりやすい。上部は思ったより斜度があり、思わず躊躇してしまった。二人はとっとと下ってしまっ
たので諦めて下る。
 
 こちらは中谷とは大違い。雪崩溝にトレースにデブリ。
快適とは言いがたいが、登山中の人達の間を滑りぬけるのはそれなりに愉快でもある。
 「やれやれ面白かったじゃん!」てとこでアレッ?
ナンダ独りでスケッチなんかしてる人が・・・
 我春日井の高津さんの寂しき姿だった。単に寝坊したらしい・・・登山口で。
 
7時間ドライブして、谷の隅っこでスケッチしに来る人など居るもんではない?
 京で絵の学校を出た割に、最近すっかり絵筆をバイルに持ち替えてしまった私も、ここで並んでの写
生大会?となる。久々だとつい身が入り、皆が降りてしまってから独り腰を上げる。
 
 しかしすぐに後悔する。皆のシュプールは、既に大きく雪崩をかぶり、デブリが谷を埋めていた。
周囲に人気は無く、その下には丁度、翠色の水が渦巻く雪渓の口が開いている。
 ヤナ感じ・・まだパラパラ小石の落ちる壁の下をそそくさと駆け抜けた。
イカにビーコン付けてたって埋まるとこ見た人が居なければ問題外だ。死体捜索にしか役立たない。
 帰路は案外下まで雪を繋いで降りられた。
 
 国内の雪、ラストの〆には申し分ない山でした。
念願かなったのも全ては遠方まで付き合ってくださった、鈴木さん、鷲見さんのお陰でございます。
 これで思い残すことは無い?とか言いつつ次週には沢で泳いでたんですが・・・
 
明後日よりヨーロッパに発ちます。次回はヨーロッパアルプス編の報告ですね。では!

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