明神岳/東稜

日程
2001年5月3日(木)〜5日(土)
メンバー
(ARIアルパインクラブ)原、石崎、前田
記録
(ARIアルパインクラブ)原岳広
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


原@ARIです。

4月29日に明神岳/東稜に行って来ました。

まず、廣川さんの情報がとても参考になりました。ありがとうございました。
御礼方々報告と、私からも情報提供です。

<メンバー>  石崎、前田、原(ARI)
<天候>29日 晴れ〜曇り〜雪/雨
<時間>29日 6:15上高地出発 9:30ひょうたん池 14:45明神主峰 19:00上高地


当初30日の悪天/停滞を予想し、3日コースの予定でしたが、コンディションが良く、その日の内に下山
できました。雪の状態はベストに近かったと思いますが、もう少し季節が進むと雪壁も雪稜も歩きにくくな
るかもしれません。

GWは沢渡からのバスも早く、始発は5:30分。上高地に6:00過ぎに到着。水を汲んで出発。現在、
バスターミナルの前は工事中で、水くみ場は二階の展望台にある。7:00過ぎに明神。7:30頃養魚場
裏からマーキングに導かれて下宮川谷に入る。廣川さんの記録に従い、途中からマーキングを無視してルン
ゼを忠実に詰める。二俣状になっているところで左岸にマーキングが現れ、上に向かって右側の「小さい方
」のルンゼを登る。雪は締まっていて快適。宮川のコルで小休止し、ついでにアイゼン装着。

 ひょうたん池に9:30。昨晩の幕営跡があった。第一階段上には先行パーティーが見える。ひょうたん
池で大休止し、ギアを装着。第1階段へ雪稜を進む。第1階段取り付きには左側に腐ったフィックスがかか
っているが、右よりをブッシュ混じりに木登りするとノーザイルで行ける。大岩に頭上を遮られ、それを右
から回り込むように急雪壁に進む。この雪壁は甘く、もう少し季節が進むと崩れるかもしれない。また、第
1階段全般的に見た目より「悪い」と感じると思うので、コンディションによっては積極的にロープを使っ
た方が良いと思う。ブッシュや立ち木でランニングは取れる。

 第1階段を抜けると傾斜も緩み、淡々と雪壁から雪稜へと高度を稼ぎ、2峰〜5峰までの主稜が視界に現
れ、バットレス基部へ。2峰には3〜4人パーティーが取り付いていた。先行はたくさんいるようだった。
バットレス手前に広いコルがあり幕営可能。

 バットレスの登攀。まずは本当にバットレス状の10mくらいの一枚岩を左から越す。基部に残置アンカ
ーはないが、左から巻くように行けばノーザイルでも行ける。が、若干際どいので不安に感じるようならア
ンザイレンした方が良いかもしれない。一段上がったバンド状にハーケンが一本。草付きに取り付いてから
はアックスが良く効くし、すぐに傾斜も緩む。そのまま核心ピッチ基部までのばせる。核心ピッチ(1ピッ
チ目)基部には残置フィックスもあるし、支点も豊富。

 バットレス1ピッチ目、前田リード。残置フィックスの渦のスラブ状を2歩ほどあがり、右よりの凹角へ。
凹角にもフィックスが垂れ下がっている。ハーケンも豊富。凹角を忠実に詰めてもいけるし、50cmくら
い右よりにフェースのラインも取れる。しっかりスタンスに前爪で立ちこめれば行ける。終了点はしっかり
したアンカー。ここから上は見た目に雪壁が安定していた、というか、天気予報どおり午後から曇って気温
も下がっていたので締まっており、主峰頂上まで一気にコンテで進む。でもlこの雪壁は気温が高く緩むと
嫌らしいかもしれない。今のところつながっている。主峰頂上に14:45。天気はさらに下り坂なので下
山を決心。小休止してガレガレの道を2峰へ。主峰と2峰のコルにはテントが1張くらい張れる。

 2峰にもフィックスが嫌と言うほど垂れ下がっている。一番右に垂れ下がっている白いロープと中央の青
いロープはおそらく下降用のもの。登高ラインは左側壁にある。雪に埋まっているのかコルには残置アンカ
ーはない。石崎リードで取り付く(今回、原は若手に任せてサボったなあ(^^;;;)。一段上がって左
側壁にトラバース気味に回り込み、バンドを若干進んでそのまま階段状を登る。階段状になってからは残置
ハーケンはないが、ホールド、スタンスも豊富(というか階段?)だし、フィックスもかかっている(必要
性はまったく感じないのだけど・・・)。コルから45mくらいで終了点。この時点で小雪が舞い出す。

 ザイルを解き、ガレた稜線を3峰へ。2・3のコルから3峰へは右から巻くようにして登る。3峰頂上で
アイゼンをはずし、3・4コルへ下降。5峰近辺では先行パーティーが幕営準備をしている。4・5のコル
にも張れるようだし、5峰の先にも何カ所か幕営可能地があるようだ。我々は3・4のコルの手前から岳沢
に向かって派生する顕著な支尾根を下降する。ハイマツのなか、雪から雨に変わり、すべりやすい。20〜
30分くらい下ると急にリッジが細くなり、その一歩手前から右側(前穂寄りの斜面)に急雪壁のルンゼが
現れる。ここを下降。ただし、このルンゼは急峻なので、新雪が乗ったときや気温が高いときには絶対に入
り込んではならない(と、思う)。ひたすら下ると幅が細くなり、本流に出合う。ここから本格的に尻セー
ド。一気に岳沢ヒュッテの下のテント場の、さらに下に出る。岳沢は雪渓が切れるまで雪渓を進み、途中か
ら夏道に合流して上高地へ。19:00到着。雨も本降りになっており、小梨平でテントを張り、こんなこ
とならテントも食料も持たず軽量化すれば良かったとブーブー文句を言いつつ、単なる重たい荷物だった酒
と食料を消化せんと脅迫的に宴。酩酊し始めるころには、鬱陶しかった雨音も、眠りを誘う心地よい子守歌
となった。

 最後に気づきの点。

 全体的にザイルピッチになり得そうなところにはフィックスが嫌というほどかかっています。ワンポイン
ト手がかりにする程度に使うなら良いと思いますが、全体重をかけるのは危険だと思います。昨年の事故を
無駄にしないためにも・・・。

 初めての明神岳でしたが、期待に違わず良いルートでした。GW前半に良い山行ができました。これから
入られる方、どうぞお気をつけて。

後半は赤谷に入る予定です。

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