乗鞍岳(野麦峠より)+スキー滑降

日程
2001年4月15日(日)
メンバー
(春日井山岳会)加藤美樹、(峠の仲間)鈴木清
記録
(春日井山岳会)加藤美樹
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


  野麦から乗鞍  4月15日(日)
 
 リーダー加藤美樹 30(春日井AC)ケスレー130cm ジルブレッタ 
 メンバー鈴木清 43(峠の仲間)カービング80cm テレマーク
 
4月14日22;00名古屋発 土曜日であるこの日は休養に勤めたが疲労は抜けずひたすら眠い
 
朝日村着03;00 暗くて阿多野と野麦の部落を取り違えたりウロウロ迷って、結局登山口に着いたのは未明近く。

 野麦の裏から登る林道のカーブのPで林道は、左へ下ってログハウスの建設地へ、右は稜線の左伝いに上がっている。
 
 西の阿多野からの尾根とこの尾根の中央に、北面よりは露岩の出た乗鞍本峰が雪煙を上げている。さて、どこから藪
を漕ごう??

2万5千分の1図ではこの右の稜へと夏道が上がっているはずだ。雪は無い。少なくとも1700M付近までは・・・
 
 眠いし雪はないし、「あ〜ヤダよぅ!」とウダウダしていたら遅くなってしまった。
とりあえず夏道を探しに偵察に行くと、鉄塔巡視路の札から道がある。

 東西に横切る送電線、これの鉄塔があるピークまではこれで行ける。
って訳でスタート!06;30
 
 運動靴の鈴木さんは快調に登って行ってしまう。スキー靴の私は落ち葉にも滑って苦闘。
結局これは夏道で、しかもかなり良く手入れしてある登山道だったのだが・・・
しかし、藪の残雪の処で稜の西側に巻いていく登山道を見落とした私達は、板を担いでの藪漕ぎをするはめになる。

 鉄塔に着いてまた下って次のピークで藪は終った。ここからはどこまでも雪の稜線だ
 
測量の板がくくり付けてある唐松の1671MPから、尾根は一気に広大な雪原となる。後方には富士と見まごう御嶽山。

 そして正面には巨大な乗鞍。足元に見える別荘地(たぶんオートキャンプ場)より遥かに素晴らしいロケーションだ。
このだだっ広い雪原に気を良くした私達は、写真を撮りつつのんびり歩く。左前方には濁川のガレがあり、稜は東よりに
再び狭まり下る。
 このコルで西面を巻いていた夏道と合流、岩や樹にマーキングが見られるようになる。
 
再び広い白樺林となって尾根の東寄りに付けられた赤ペンキをたどる。
 この辺りまでは人の手が入っているようで、尾根の西には唐松林も見られる。東側はシラビソや栂の森となって右下
には岳谷が沿ってくる。
 岳谷滝は水音のみで見えない。夏道やガイドではこの滝の上で谷に下りるとなっているがこれはお勧めできない。
この日は前日の新雪で、狭く急峻なこの谷には下りようとは思わなかったが、上部で何箇所か口が開いており、知らず
に下れば危険だろう。尾根通しの方が安全で広く快適だ。
 
樹林帯は低くなり一部混みいって歩きにくい処もあるがそれも少しのこと、ダケカンバを抜けると、そこはもう遮る物
内無い大斜面だ!
 こうやって植生の変化で標高が測れ、周囲が変るのは高い山ならでは。奥美濃とは別の楽しみでもある。
 
この日気温は低く、ここまでツボ足できた。私は引いて、鈴木さんはしょって来た。
 樹林帯の中は日陰で締まっていたが、樹が低くなってきたのと、日が高く昇ってしまった為、日陰が少なくなってきた。
それでも木陰を繋いで歩けば違うのに、鈴木さんは腐れ雪に苦心している。
 シールは結局ザックの中、森林限界を越えれば充分な西風に雪は締まってくるだろう。
 
 予想どうり上は歩きやすい。でもバイルは出したが風に当たる準備は忘れていた。
一旦止まって完全装備。正面に見えてきたのが山頂かと思っていたら大日岳だった。
剣が峰はコルを鋏んで右にある岩峰だ。
 
 氷と新雪の交錯する谷を東に入っていくと、右の露岩の丘が高天原。滑るのには剣が峰と大日のコルからが快適そうだ
でも鈴木さんは山頂にコダワリがあるらしく、諦めてくれない。
 仕方ないので強風の中、板を外して露岩帯に入るがどう見たって山頂から滑った処面白いとは思えない。
岩影で「もう私は辞めて待つから、鈴木さん行って来て下さい」ということにして、着込む。
鈴木さんはアイゼンを付けて上へ向かうが、風に阻まれ歩くのもままならぬ様。足元はアイゼンの音が聞こえてくるほど
の硬さらしい。
 危険と思い止めようとしたが、強風に飛ばされた声はまったく届かない。
 いいかげん寒くて堪らず、トイレも行きたいがそれどころでない風だ。
 
仕方なくやや風のゆるむ谷のほうまで滑り降りたがやはり吹きさらしに変りはない。
 鈴木さんは待てど暮らせど降りてこないが、山頂からの滑降の危険を考えると見えなくなるところへは下れない。
登った東面は諦めてコルのほうへ周るのが見えたが、そこから降りてこない。結局1時間は待っただろうか
 
 漸く降りてきた鈴木さんに訊いてみると、なんとこのショートスキーは「使い初め」
まだ、ただの1回も使ったことが無い!???ゲレンデでさえ!
 
 呆れるしかない
まさかとは思ったが、乗鞍という本チャンに・・・・
確認しなっかた私も馬鹿だった。
 
とにかくまず森林限界まで下ってしまい、ストックの両ピックを外すと言う鈴木さんを待つ。

 登りでは緩んでいた雪が、帰りには陽射しが無くなってモナカ雪になっている。
西風に飛ばされた新雪とこのモナカの斑斜面を、新雪だけ選んで細かくターンを切って下る。
 
 森林限界の下は風も無く、お陰でここからは急に雪が緩み板が扱いやすくなった。

 休んでいると気温が下がってきたのか寒く、二人揃ったらすぐに滑り出す。
 
登りも長かったが流石にその分すべり応えもあり、樹林帯の滑降はどこまでも続く。

 快調に滑りすぎて尾根が西へ曲がる1800M付近をまっすぐ南下してしまい、これまでなだらかだった尾根が急
峻になった。

おかしいとは思ったが登山道は尾根の東寄り。そして多くの赤布とペンキがある。
 ここで鈴木さんと離れてしまう。赤布は林業の見出し標かなにかであったらしく私がそれを取り違えた。
 
まずいと思い板を外し、登り返そうとした所で鈴木さんのシュプールを見つけた。確かにコールはこの下からあっ
た様だ。
 正しい尾根は上だが、恐らく初めの私がコールした支尾根の方へ、鈴木さんを呼んでしまったらしい。
 
さて、上か下か、ちょっと迷うが尾根に戻るより合流するのが優先かな?と再び板をつけ下へ。100mほどで合
流できた。
 初めの私の声は届いて居なかったらしい。考えてみたら鈴木さんが西の風上、私が東の風下にいたからだろう。
 まずはホッとし、ツボ足で西へ上がり気味にトラバースし登山道に復帰した。
乗鞍では迷った話は多いし、もとよりガスったりしたら上へは行かないつもりだったので、気をつけていたにもか
かわらずこの失態!
 スキーはスピードがあるだけに細心の注意が必要だ。こと山全体が広く尾根が複雑なこの様な山では・・・
 
 無事、下の雪原に出たが、こことてガスれば方角さえままならなくなるだろう。
測量標の唐松を目指し狭い尾根に戻れば、もうここからは支尾根もない。雪が切れたらまた担いでやぶ漕ぎ。
熊の糞がそこいら中にあってチョッとビクビクしつつ(藪を分けたら熊さんとバッタリ!ナンテ?お互い目が点ダョ)
 ガサゴソ下って登山道に出たら見落とした登山道の続きもみつけた。(やはり西斜面を巻いていた)
 
鈴木さんは運動靴に、私は一刻も早くスキー靴は脱ぎたくてとっとと下った。
(スカルパのスキー靴のインナーが合わず、大きなプラ靴のインナーを入れて使っているので窮屈!)
仰ぎ見た乗鞍はやっぱり大きく、そして遠かった。「思ったよりは近かったケドネ」
 
 これまで乗鞍には北面からほとんど毎年の様に通っていたが、位ヶ原からはマンネリ化して人も増える一方。
 しかし、昨年開通の遅れたスカイラインをMTBで上がってみたら新緑と大きな滝の連続する道は爽快で、普段ス
キーでは見ることのない新しい景色に出会えた。(5月の穂高コブ尾根で初骨折!単に自転車シカ出来なかっただけ
ですが・・)
 今回もまたそんな乗鞍の新しい顔、に出会えた。
 人の姿もシュプールも無く(微かに残ってはいたが)そこに続く原生林。
あまり見ることの無い御嶽の北面からの秀麗な姿、それに広大な雪原をもってして対峙する乗鞍本峰。
 
 「乗鞍の山スキー」というとスタンダードだが、この南面には新鮮な楽しさをみつけた。
 どれだけでも登れるぞ!という体力のある人、自分だけのフィールドが欲しい人達等にはぜひ、
この野麦を初めとした、阿多野や子の原といった数々のルートに挑戦して欲しいと思う。
 勿論それにはスキーだけでなく、基本的な雪の知識、何よりルートファイティングの能力は必須で、
経験の不足したパーティーは目標物の乏しい南面には入るべきではないだろう。
 例え、2度3度通ったとしてもガスれば迷うと思われる。
 
 さて、次回は何処から登ってみよう??平湯のスキー場からも楽しそうだし。
近くてでっかく面白い、そんな山、乗鞍です。

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