鹿島槍ヶ岳/東尾根

日程
2001年4月21日(土)
メンバー
(松本市)佐野、他
記録
(松本市)佐野
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


殆ど拝見させて頂いているばかりの、
佐野@松本市です。

今回、日帰りで鹿島槍東尾根を登ってきましたので、連休前週のご参考になればと投
稿させていただきました。長文駄文で失礼します。

メンバー:佐野、他一名
日程:2001/4/21(日帰り)

松本の自宅を朝1時に出発し、途中食糧の買出しをして大谷原の駐車場所に2時過ぎ
に到着した。
今回は基本的に日帰りということで軽量化を図り、ビバーク装備もツェルトとシュラ
フカバーのみ、また登攀具も8.2mmロープ1本とガチャ少々と極力減らした。
但し、デッドマン兼用スコップとスノーバー1本、バイルは念のため持参し、総重量
1人あたり11Kg程度となった。
大谷原にはすでに4台ほど車が停まっており、準備を整えて3時半に大谷原を出発
し、左岸林道を東尾根取り付きまでゆっくり歩いて4時前くらいに到着。天気は薄曇
の晴れ。
道が大きくカーブし、左に堰堤があるところより赤布に従って尾根に取り付く。
ここから殆んど雪の消えた急斜面を登り、尾根の腹を直登して背に出る。雪は途中か
ら現れるが、早朝の締まった雪で踏み抜きもほとんどない。
尾根を忠実に登っていくと、所々踏み抜く箇所が出てくるが快調にピッチを上げ、6
時過ぎに一ノ沢の頭に着く。尾根の下部はガスがかかっていたがこの頃にはすっかり
視界も開けて目指す東尾根の全容が見える。
ここから見る限り先行パーティーやテントは確認できなかった。ガチャとアイゼンを
装着して6時40分に出発する。二ノ沢の頭までは特に問題もなく雪も締まっていて
大変快適。だが途中で足のふくらはぎが攣ってしまい、敗退しようかと思ったが、な
んとか復活!。
7:30二ノ沢の頭到着。テント跡が二張り程度あった。とどまらずすぐ出発する。
第一岩峰手前の急な雪壁でバイルを出してダブルアックスで超えるが、表面がやや
腐ってきてピックだけではちょっと不安定。しかしシャフトは下の層が固く簡単に
入ってくれない。
また、多少風が強い時があり、時折倒されそうになる。ここは状況次第ではロープを
出した方がよいかも知れない。
リッジのトラバースに関しては特に問題もなく、快適といって良いくらいである。
8:40第一岩峰取り付き到着。第一岩峰は雪もかなり少なくなり、ルンゼ状斜面の
残雪も途中で切れており、岩も出ている状況であった。
そのため、下部は岩と草付きを登り、中間部から雪渓をダブルアックスで直登してそ
のまま上部雪壁に抜けた。
ルンゼ状の雪は腐っていて、少々いやらしさを感じたがここまではノーザイルで通過
してしまった。後から考えるとザイルは出したほうが良かったかもしれない。支点は
良く探すとピトンやブッシュから取れる。
岩壁上部の雪壁を越えリッジをトラバースぎみに登り、下降していくと第二岩峰取り
付きに付く。この間も雪は締まってて問題ないが多少風が強い。
このリッジの途中から先行パーティーの後続が第二岩峰の核心部チムニーに相当な時
間張り付いているのを確認した。30分くらいは張り付いていただろうか?、トップ
が後続の場所まで降りたり、ザックを荷揚げしたりと相当難儀していた模様。
9:55第二岩峰前到着。取っ付きにはテント跡があった。また、隣の天狗尾根に5
人パーティがコンテで登っているのを確認した。
先行パーティーがまだ抜けないので、登攀準備をしながら待つ。東尾根最初で最後の
ザイルを出してアンザイレンする。
岩場のスケールは本当の基部からは50メートル程度だろうが、私たちは少し登った
大岩にピトンが2本打たれスリングのあるビレイポイントをブッシュで補強して使用
した。
雪は所々残っており、核心部にも氷化した雪が着いていた。ベルグラはさすがに無
し。
核心部のチムニーまでは階段状で問題なし。支点はピトンが各所にあり困らない。核
心部のチムニーには残置のスリングがいっぱいある。ロープが1本だと流れが屈曲す
るので中間支点は長めのスリングで対処する方がよい。
リード佐野でチムニーを超える。スタンスはあるが左が細かい。ホールドもガバとは
言えないもので、結構苦労する。荷物が重いと大変かもしれない。膝を使ってずり上
がるように超える。一手だけの核心だがグレードは4級以上あるので侮れないと思
う。また、落石には十分注意が要る。先行がいる場合は特に注意が必要かと。
その後は階段状で簡単である。ビレイポイントは岩場を抜けた右側にボルトが4本打
たれたものがある。オーダーは多少難儀したようだが、まあすんなり上がってきた。
登攀には20分程度かかり、荷物を片付けたり休憩したりして30分程度して出発し
た。
天狗尾根パーティーは荒沢の頭を過ぎて先行している。その後を追うように結構疲れ
て北峰直下の雪稜を登る。
12:00鹿島槍北峰到着。天狗尾根パーティーが休憩していた。南峰は結構遠く感
じる。少し休憩してから出発するが、踏み抜きや疲れも出てきて50分もかかって南
峰に着いた。
南峰直下の急斜面も少し危険のある斜面で、落石の危険もあるところ。天狗尾根パー
ティーの直後を登っていく。
南峰直下で先行を譲っていただいたが、疲れもありピッチが上がらない。南峰では休
憩無しでそのまま冷池山荘を目指す。この間雪がつながっておらず、踏み抜きもある
ためピッチも上がらず、チンタラと尾根歩き。途中アイゼンをはずしたり休憩して冷
池の小屋に着くと、小屋明け準備をしていた。除雪機フル稼働。小屋のお兄さんと挨
拶を交わす。
「ああ、ここで泊まれたら楽だろうに」と思いながら、何とか歩を進めて、14時5
0分に赤岩尾根ジャンクション到着。もうこの頃にはクタクタ。やっぱり日帰りはキ
ツイかな?スキーで北俣本谷をかっ飛ばせれば楽に帰れるかと思うが、今回はつぼ足
で赤岩尾根を忠実に下降する。
ジャンクションピーク手前から夏道に沿ってトラバースを行う。やや雪質に不安はあ
るがまず安全そうなので急ぎ足で通過する。
その後が長かった!!、困難!?だった。西沢にはやや新しいデブリが見られ、また
雪質もあまり気持ちのいいものでなかったので、忠実に赤岩尾根を下降したのが間違
いだった。西沢に下りたほうがよほど安全だったのに!!。
高千穂平までは、やや踏み抜きもあるものの結構快適だったが、その後の急斜面の落
ち込みが現れる頃より、雪質が最低に...。
下の層がやや固く、その上にグサグサのものすごく湿った雪がのっていて、アイゼン
を着けてアンチスノープレートが着いていても物凄い団子になる。
アイゼンを外すと、今度はキックステップが決まらず、スタンスがそのまま崩れる。
おまけに尾根は両側が結構落ち込んでいて、パートナーが2度ほど滑落未遂をしてし
まう。
その内一回は木を掴んで止まったから良かったが、もしそのまま吹っ飛んでいたら大
変なことになっていた。また、滑落すると物凄いスピードで滑っていく!!。
自分も何度もバランスを崩され危ういこと限りなく...。バックステップを使用し、
ザイルを出すことも考えてしまう落ち込みも何箇所かあった。
今回の山行の核心部は間違いなく、ここである。赤岩尾根取り付きから3時間もか
かって西股出合に18時ちょうどに到着した。
東尾根がなんて易しいのだろうと心底思った赤岩尾根下降だった。
その後は休憩を交えながらヘトヘトになって林道をたどって大谷原に19時到着。
腐った赤岩尾根はもう二度と降りたくないと思った山行でした。
松本に着いたのが20時過ぎで、実働15時間30分とながーい一日でした。

佐野。

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