屏風岩/東綾〜北尾根〜滝谷/ドーム北壁/右ルート〜槍ケ岳(継続登攀)

日程
2000年8月26日(土)〜9月1日(金)
メンバー
(京都雪稜クラブ)中川一、岡村裕司
記録
(京都雪稜クラブ)中川一
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


京都雪稜クラブ・中川と申します。
読みにくい、長い文章で申し訳ありませんが、
屏風・北尾根・滝谷・槍ケ岳継続登攀の報告をさせて頂きます。

期間・8月26日から9月1日
メンバー・中川 一、岡村裕司

8月26日・晴れ
上高地〜横尾〜一ルンゼ押出し〜T4取付き〜T4(泊)
横尾にて、各自6リッターの水をザックに詰めて出発するが、夜行の疲れも
あり、一ルンゼ押出しを登るのが辛い。しかし、T4取付きには大きな雪渓が
残っており、水が流れ落ちているではないか、、、、。
T4取付きから、1ピッチは一ルンゼ側に残置のザイルがあった。冬の忘れ
ものだろうか。重荷に耐えながら、T4に到着。今夜は、私達二人を含めて
5人の宿泊となった。神奈川からこられた方から、ビール・焼酎を御馳走に
なる。夜間、雨が降る。明日の朝、壁が乾いているか心配である。

8月27日・晴れ
T4〜屏風・東稜〜屏風の頭(泊)
重荷を背負っての登攀、なかなか進まず後続組に迷惑を掛けてしまう。
人工主体であるが、時々出てくるフリーの箇所は重荷を背負っているので、
ヘボの私には難しく感じる。
しかし、夏の陽射しを浴びて下部岩壁が白く輝いているのを、見下ろすの
は最高であった。
1ピッチ目・A1の人工。
2ピッチ目・ほんの少しかぶり気味の人工・アブミビレー。
3ピッチ目・人工とフリー。
4ピッチ目・「白山書房・日本の岩場・下」では、1ピッチとなっているが、
       このピッチはトラバースがはいるので、2ピッチとした。
       トポより、ピッチ数が1ピッチ増えます。
       アブミトラバース・小ハングを越える。
5ピッチ目・「赤いフェース」と呼ばれる箇所。
       A1からフリーにてバンドへ。
6ピッチ目・ピナクルを目指して、容易な岩場を登る。
       ここのバンドは広いので、一度ビバークしてみたいと思った。
7ピッチ目・ピナクルを登って、A1とフリーにて終了点へ。
最終の1ピッチを残した、ピナクルのあるテラスで雨が降ってきたので、ツ
ェルトを被って天気待ちとするが、すぐに止んだ。岩も濡れていないので、
スタートする。ここで、私は大きな失敗をしてしまった。水の入ったペットボ
トルをテラスに、忘れてしまったのである。この行為が、明日の脱水症状と
つながることは、予想もしなかった。
終了点より屏風の頭まで、バテバテになりながら進んだ。

8月28日・曇り、午後よりガス多し
屏風の頭〜最低コル〜北尾根〜前穂高岳〜奥穂高岳(泊)
夏と三月に2回も、八峰から登っているので安心していたら八峰直下でルー
トをはずしてしまい、ハイマツの中を進んで稜線に出る。
稜線に出てからは、遅いながらも順調に進む。しかし、水の量が心配である。
崩壊の進む四峰では、岡村氏の落石により左側頭に落石を受けてしまう。
「当たったー」と叫んだが、ヘルメットを被ってなかった私が悪かったのと、こ
れから、水を分けてもらわなくてはならないので、控えめの抗議。
三峰、二峰と進み前穂高岳へ。行動食を食べて休んでいると、日本の岩場
をバンバン登攀しているという、マーチン氏とお会いする。昨日は屏風の雲
稜を登攀されたとのこと。カッコよかったなー。
このあとの吊尾根では、脱水状態になってしまった。注意力散漫・足はヨタ
ヨタで、奥穂高岳の頂上から小屋まではヘッドランプをつけて下降した。
やっとのことで、小屋に到着した。その晩、私は3リッターも水を飲んだ。

8月29日・曇り
奥穂高岳〜北穂高岳・滝谷偵察・休養(泊)
北穂高岳まで、順調に進む。本日は計画では滝谷登攀の予定であったが、
アプローチ、縦走路からの落石を見ていると、私は気が進まない。正直に
岡村氏に、「今日は、自信があらへんわ」と言う。夕方、水を買い出しに行く
時、もう一度偵察しに行こうということになった。岡村氏、「滝谷。登らへん
かったら、悔いが残りますよ、、、」。
目標である、ドームを偵察に行く。北壁を見ていると、何とか基部まで簡単
に行けそうである。単純な私は、「明日、ドーム北壁にしましょう」と言ってし
まった。

8月30日・晴れ・午後より曇り、ガス多し
北穂高岳〜ドーム北壁・右ルート〜槍ケ岳(泊)
北穂南峰とドームの間からC沢を少し下る。そして、北壁に沿ってトラバー
スする。トラバース箇所には、ビレー点・途中には残置ハーケン2本があり、
安心して、取付きに到着できた。
ドーム北壁・右ルートは、「白山書房・日本の岩場・下」では計2ピッチとなっ
ている。古い本ではあるが「山と渓谷社・穂高岳の岩場」では、計3ピッチと
なっている。安定したテラスもあるので、3ピッチで切ったほうが正解であろ
う。
1ピッチ目・上部にいくほど苦しいチムニー。外側を探せばホールドあり。
2ピッチ目・快適なA1の人工。
3ピッチ目・階段状の岩場。上部は小石が多いので、ザイルの流れにより
       落石を誘引する恐れあり。
終了点のビレーポイントは、登攀中に亡くなった息子さんのために、母上
様から贈られた、ステンレス板をボルト2本で打ち付けた立派なものであっ
た。
あとは槍ケ岳まで行くだけである。焼岳の嫌な匂いが風に乗ってきた。
天候が下り気味を示す信号である。今日中に、大キレットを越えて槍ケ岳
まで行くことにする。

8月31日・曇り
槍ケ岳〜上高地(泊)

9月1日・曇り・小雨
帰京

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