赤蜘蛛

日程
2000年8月5日(土)〜6日(日)
メンバー
(霧峰山岳会)島田邦昭、(ARIアルパインクラブ)原岳広
記録
(霧峰山岳会)島田邦昭
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


アニマル島田@霧峰山岳会です。

ちょっと遅くなりましたが山行報告です。

このところくそ暑くて岩登りする気にもならなかったのですが、甲斐駒ならアプ
ローチを我慢すれば快適な登攀ができるだろうと単純に考えて出かけました。

しかし普通人の体力にも劣るわたしのスタミナでは、よほど姑息な手段を用いな
ければ取付きにさえ届かないので以下の作戦を立てました。 なにしろ2日間し
かないので。

1.徹底的な軽量化
   シュラフ、マットは言うに及ばずコンロ、コッフェルも省略。 ビバーク用具
といえるのはツエルトとシュラフカバーと冬用の下着だけ。(最初は岩小屋露営
を想定してツエルトも省く予定だったが、なかったら大変な目にあっていた。)
登攀具はキャメロットの#1#0.75 #0.5、エイリアン1セット、トリプル2、
ストッパー中間サイズ。 ハーケン、ボルトは省略。とうぜんハンマーもなし。
カラビナ30枚(ちょうどよかった。)

2.ショートカット
   使える近道は徹底利用。 750円払えば標高2000mまで運んでくれる。
こんな便利な道具は使うに限る。 もちろん北沢峠経由でした。

3. ハイカーペース
   アプローチでいつもの調子でハイペースは禁物。 ペース配分を考えて、頂上
まではハイカーと並んで楽しく登る余裕が必要。

それではクライミングの記録です。

ルート : 甲斐駒赤石沢Aフランケ 赤蜘蛛ルートV級A1
メンバー : 島田 邦昭 (霧峰山岳会) 原 岳広 (ARI)
日程 : 8月5日、6日

「8月5日 晴れのちくもりのち雨。一時雷雨。」
さすがに北沢峠はひんやりとして、半袖では肌寒いくらいだ。2日分の水3リッ
トルとギリギリに削った装備でおそらく18kgを背負い出発。仙水峠まではなだ
らかな道を行く約45分。 峠につくといきなりバーンと摩利支天が見えた。こ
れから登る駒津峰もやたら高くそびえている。 樹林帯とがれ場の急登をあえぎ
ながら登る。 強い日差しに照らされたり、ガスにまかれたりとめまぐるしく変
わる天気の中1時間40分で頂上に着く。とても広い頂上でいくつもベンチにな
りそうな岩があり、くつろげる場所だ。あやうく昼寝をしそうになる。

ビールで乾杯しながら、楽しく下山していくハイカーに背を向け、黒戸尾根を下
りていく。
八合目の岩小屋でさらに軽量化のため、水1リットルと食料をデポする。
明瞭な踏みあとをたどって一時間ほどでAフランケの取付きに達する。 途中、
頭の岩小屋の上で左に行く
道を見落した。 壁は水が流れているし、ポツポツ雨が降ってきた。通常なら登
攀は中止して岩小屋でビバークというところだが、明日の3時にバスに乗らなけ
ればならない私たちには躊躇している時間はない。
残置の環付きビナでビレイを取り、原リードでスタート。 エイドエキスパート
の原と違って、アニマルは久しぶりの人工でまだ調子が出ない。20mで凹角の
取付きへ。 アニマルリードだが、クラックはびしょぬれで悪い。
ジャミングしている手を伝って水が体に浸入してくる。2個所くらいカムでラン
ニングを取った以外は残置ピンが使えた。20mでレッジに出たが、中途半端な
ので40m伸ばす。ハーケンが2本しかなかったので、カム3個でアンカーを設
置。次の15mは原リード。単調なA1でV字ハング下へ。 アニマルリード。
ハングはフリー化されたはずだが、条件が悪いのでアブミを使用した。 あとは
傾斜の落ちたスラブを大テラスへ。
 かなり雨足が強くなってきた。 予定通りここでビバーク。 快適な広さで3人
くらいは余裕で寝られる。貧弱な食事は10分もかからず、すぐに寝た。すると
ものすごい雷雨。 夜半までピカピカゴロゴロ鳴っていた。

「8月6日 晴れのちくもり」
4時おきといっていたのに、起きたのは5時すぎだった。6時登攀開始。原のリ
ードでピッチを伸ばす。 途中25mくらいでビレイポイントがあったが、ルー
ト図には40mとあるので、そのまま伸ばす事にした。しかし50mいっぱいに
登ってもビレイオフの合図がない。「あと7mくれ」というので少し上のレッジ
まで登る。フォローしていくと原がはるか頭上、恐竜カンテのほんの手前のビレ
イポイントでぶら下がっていた。 「ありゃー2ピッチ分やらせてしまった。」
と行かせた自分の判断を反省する。 このピッチはすばらしい高度感とスケール
でもしフリーで登る事ができたら素晴らしいだろう。おそらく5.11プラス以
上。ところどころピンが遠く、ジャミングを駆使して登る。7ピッチ目は朝日が
眩しい恐竜カンテ。アニマルの背ではぎりぎりのピン間隔で楽しめた。
8ピッチ目は原リード。4級からA1。アニマルはフリーで行こうとするが、A
0になった。5.10Aくらいではないだろうか? あとは3級くらい2ピッチ
の樹林帯で岩小屋へ。八合目まで登り返したときにはかなり疲れていたが、気を
取り直して頂上まで登り返す。意外と早く30分ほどで着いて助かった。 北沢
峠まで2時間の道のりは登攀を終えた体にこたえた。予定より1時間以上早く峠
に着き、ほっとする。

<タイム>
わたしは時間をとっていなかったので、うろ覚えですが。
北沢峠〜甲斐駒 0730〜1000
甲斐駒〜八合目 1030〜1100
八合目〜取り付き 1120 〜1220
取り付き〜大テラス 1300〜1600
大テラス〜終了点  0610〜0950
終了点〜八合目 1000〜1020
八合目〜頂上 1050〜1120
頂上〜北沢峠 1140〜1310

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