剣岳/小窓尾根

川崎重工岐阜山岳部/酒井俊之、他2名


<山行日> 2000年4月28日(土)〜5月2日(火)<記録> 酒井俊之



皆さんこんにちは。
ゴールデンウィークに小窓尾根を登ってきたので報告します。

1. 行 先:小窓尾根−剱岳−早月尾根
2. 日 程:平成12年4月28日〜5月2日 5日間
3. メンバー
CL :S
食料:O
装備:酒井
4. コースタイム
4/28 各務原19:08==(車、東海北陸道、せせらぎ街道、41号)==23:50馬場島(仮眠)
4/29 起床5:10/出発6:20――7:13取水口300m手前7:23――8:04池ノ谷出合8:16――
    8:35雷岩8:40――9:49標高1390m地点10:02――10:40標高1555m地点10:53――
    11:23標高1600m台地11:45――12:20標高1805m地点12:36――
    13:26標高1990mピーク/就寝18:55
4/30 起床4:00/出発6:00――6:27標高2121mピーク7:00――
    7:52標高2260m地点8:05――8:24ニードル取付8:46――9:21ドーム取付――
    10:17ドーム10:32――10:41マッチ箱取付11:19――
    11:44標高2460m地点13:40――14:12標高2535m地点14:41――
    15:32標高2650mピーク手前15:37――16:19小窓ノ王取付16:30――
    16:52小窓ノ王基部(17:49日没時間切れ幕営)/就寝21:38
5/1 起床5:00/出発7:40――9:25三ノ窓9:34――10:17池ノ谷乗越11:11――
   12:22長次郎ノ頭――13:08長次郎ノコル――13:38剱岳頂上――
   13:43別山尾根と早月尾根の分岐13:53――
   14:58標高2965m地点(ルート探索)――
   17:03標高2614mピーク手前コル/就寝21:08
5/2 起床4:00/出発6:05――6:59早月小屋7:12――8:01標高1720m地点8:24――
   9:10松尾平9:27――
   10:05馬場島10:40==(車、ダイエー銭湯、41号、せせらぎ街道、東海北陸道)==
   17:47各務原

5. 行動記録
4月28日(金)晴れ
S君の車で馬場島を目指す。まだ連休はスタートしたばかりで道路はガラガラ。
飛騨に入ると道路脇の桜が見ごろで車窓から夜桜見物を楽しむ。流葉スキー場付近で
雨が落ち始め嫌な感じ。上市の役場前を右折するところでやや迷ったものの概ね
順調に馬場島に到着。
車道は除雪されていたが、キャンプ場は深いところで積雪1m位はありそうで、
全く雪の無かった一昨年とはえらい違いだ。そして驚いたことに駐車場には
車が一台も無し。「まさか明日ここから入るのは我々3人だけ?」とやや不安に
なりながら駐車場脇にあるロッジ?の下の乾いたコンクリート面にテントを張り、
おやすみ。
夜中に他のパーティーが我々の横にテントを張る音で一度目が覚めた。

4月29日(土)曇り後晴れ
コンビニのお握りで朝飯を済ませ、富山県警から借用したヤマタンを首にかけて出発。
あれから2〜3パーティーがやって来たらしく駐車場には5〜6台の車が
止まっていたが、我々が出発するまで動き出す気配なし。隣のテントは大所帯のよう
だから早月にでも行くのかな?
道標に従って白萩川の左岸に付けられた林道の雪を踏みしめる。緩やかな雪道を
登っていくと右側の尾根が台地状になってきた。松尾平か。
橋を右岸に渡り赤谷尾根との分岐を過ぎたあたりで一休み。正面に堰堤のある枝沢が
見えるから取水口まであと少しってとこか。
堰堤の手前で渡渉して左岸に移りちょっと嫌らしいトラバースで堰堤を越えると、
両岸が切り立ってきた。この辺がタカノスワリと呼ばれるゴルジュ帯であろう。
ガイドブックには雪崩れる場合があり積雪の状態によっては赤谷尾根側を高巻く場合も
あると書いてあるが、今日はまだ雪も安定しているのでそのまま川沿いに進む。
(白萩川に張り出した赤谷尾根の支尾根はけっこう大きくてあれを高巻くのは
大変そう。)
雪の状態により右に左に徒渉しながら登っていくと左岸から1本の大きな沢が
合流してきた。両岸は垂直の巨大な壁。これこそ池ノ谷ゴルジュだ。出合にザックを
下ろしてしばし「行けぬ谷」池ノ谷のゴルジュを観察。
いつしか川の流れは細くなりついには完全に雪に埋もれてしまったので川の上を歩く。
正面はるか上方にコルが見える。地図によるとあれが大窓のようだ。そして雪から頭を
出している岩を発見。小窓尾根取付の雷岩のように思われるが、大半が雪に埋まって
おりいまいち自信なし。そこで岩の上まで登って更に上流側の左岸を観察してみると、
そこから上は傾斜がきつくなり登れそうにない感じだ。ここに間違いなさそうだ。
アイゼンを装着して急斜面に突っ込む。沢状を少し登って雪崩れを避けるために
右か左の支尾根に出る。さてどっちに行こうかと思ったら、左の尾根の木の
赤いペイントマークが目に入り、吸い寄せられてしまう。ここから稜線までぱっくりと
口を開けたクレバスを避けながら急な雪面にピッケルを突き刺し足を蹴り込む。
気温の上昇とともに雪が軟らかくなり、時折ヒドンクレバスにズボッと足を取られ
体力が消耗していく。しまいには太腿が痙攣してきて
「これで1600mまで行けるのか?」と不安になってきたが、
体が温まると回復したので一安心。(一時はどうなるかと・・・)
木々の枝に付着した雪が融けて滴り落ち、まるで雨の中を歩いているようだ。
たまに塊になった雪まで落ちてくる。たまらず、OさんとS君はヘルメットを
被った。
ザザーッという音に振り返ると赤谷尾根から白萩川に雪の激流が落ちていた。
今まで雪崩の音は聞いたことがあるが、雪崩れているところを生で見たのは初めてだ。
(恐ろしや)
途中、テラス状で小休止しかけたが、Oさんが「ここ動いてないか?」と移動する
場面も・・・。(たぶん気のせい?でも、嫌らしいのは確か。)
時折響く雪崩の音を耳に、かわるがわるトップを交代してラッセル。
「あそこが稜線か。」と頑張るが、雪の壁はまだまだ続く。ようやく上の方が
明るくなってきたようだ。高度計の数字から見てまもなく稜線に出るだろう。
テン場にうってつけの平坦地で大休止。池ノ谷から立ち上がる剣尾根が荒々しい。
対面には早月の長大な尾根。(一昨年飲んだ早月小屋の賞味期限切れビールは
美味かったなぁ。今回はビールまで持ってくる余裕が無く残念。)地形的に見て
ここが本日の目的地である1600m台地だろう。ただし、時刻はまだ昼前。
ここまでトレースもなく急登のラッセル続きだったにも関わらず、
ルートファインディングは完璧だったし、快調そのもの。3日で下山計画に従って、
13時半頃まで行動したらテン場を探すことにする。(ちょっとした平地があれば
幕営できるのが、小人数パーティーの強みだ。)
平和な春の日差しの下、のんびり行動食を食べていると、ようやく後続5人の
パーティー(通称、名古屋)が追いついてきた。ここからは少し楽させて
もらいましょう。
振り返ると1600m台地にゾロゾロと人が・・・。ざっと7〜8人はいるようだ。
朝は「小窓尾根に入るのは我々だけか。」と思ったのだが、昨夜馬場島で仮眠した
連中は全員小窓尾根に来たようで、本日の小窓尾根は大盛況である。
名古屋と抜きつ抜かれつで1990mピークに到着。時刻は予定の13時半だし、
2121mピークへの登りは急登に見えたので、今日はここまでとする。富山湾や
能登半島を一望できる素晴らしいテン場だ。
池ノ谷側の斜面をトラバースしてきた1頭のカモシカが2121mピークへと
登っていった。そして、後続の2パーティー(通称、豊川と大学生)もカモシカを
追って2121mピークへと消えていった。
テントを張り終え、のんびりとお茶を飲んで晩飯までの一時を過ごす。今日は朝から
ラッセルだったし、たまにはこんなのもいいか。すると、テントの脇を足音二つ。
彼らこそ、この日小窓尾根に取り付いた5パーティーのうち最強の男女2人パーティー
(通称、2人組)であることが分かったのは翌日のこと。
気象通報によると明日も晴らしい。稜線上にいるのが信じられないくらい風も穏やか。
下界の何かに映った夕日が光っている。米どころの富山だから田んぼかな?
小キジに立つと天空には無数の星がきらめき下界には富山の灯が輝いていた。

4月30日(日)晴れ後曇り夕方から雪
今日は小窓尾根の核心部を突破しなければならないので少々早めに出発。
ハーネスを装着してヘルメットを被り、2121mピークへの雪稜を登る。昨日と違い
先行パーティーがいるので楽ちん楽ちん。2121mピークにたどり着くと、
先行パーティーが雪壁にザイルを伸ばしていた。ここからが、小窓尾根の核心部だ。
見たところノーザイルでも行けそうな感じだけど、上の方がややかぶり気味で
嫌らしいかな。しばらく順番待ちの後、核心部1本目でもあるし、念のため我々も
ザイルを出すことにした。
ニードルを池ノ谷側から巻いてフィックスで1ピッチ、懸垂下降気味のトラバースで
ドーム取付。ドームで後続の2人組に先行してもらう。(我々を含め他パーティーが
フィックスで通過したやせ尾根を確保無しのコンテで危なげなく通過した彼らの技術に
脱帽)
マッチ箱へはリッジ歩きの後、岩をちょっと下りて雪壁登りとなる。取り付いている
のは豊川らしい。リッジの取付で彼らの登りを眺めていると突然動かなくなった。
「なんだ、なんだ、どうした?」一瞬、事故かと思ったが、一緒に順番待ちしていた
パーティーのお兄さん曰く「何か落ちましたよ。」リッジの向こうの岩陰で順番待ち
していた2人組も西仙人谷を覗きこんでいる。「ここで物を落としたら絶望だな。」
と思っていると、2人組の女性がサッとザイルを繰り出し、男性がスタスタと谷を
下り始めた。どうやら少し下の緩斜面に引っかかって止まっているようで、
程なく拾い上げてくると、豊川のラストに手渡された。落っことしたのはザックの脇に
付けていたテントポールだ。なんてラッキーなパーティーだろう。こんな痩せた雪稜で
止まったことといい、直ぐ後にあの2人組が順番待ちしていたことといい、
奇跡である。
2650mピークへの登りは出だしの岩に雪がベルグラ状にこびりついて嫌らしい。
残置フィックスを利用して何とか越えたが、フィックスが無かったら厳しかったかも。
例の2人組もトップはほんの少し苦労したようだ。
2650mピークで北方稜線と合流して小窓尾根は終了。本日の幕営予定地である
三ノ窓までは小窓ノ頭を越えて小窓ノ王基部から懸垂下降するだけのはず。
小窓ノ頭への登りはややバテ気味。もう16時だし、今日はあまり行動食を食べなかった
からシャリバテかも。ようやく小窓ノ王基部にたどり着くと、大学生が懸垂下降中。
しばらく時間がかかりそうだ。例の2人組はと見ると既に三ノ窓でテントを設営中
であった。(さすが)
ザックに腰掛けて明日登る対岸の池ノ谷ガリーを眺める。
「本当にあんなとこ登るの?」思ったより急で長い雪の壁に圧倒されてしまった。
「新雪が積もったらヤバそう。」等と考えているとチラチラと雪まで舞ってきた。
(そういえば、さっき雷鳥のペアを見たな。やはり雷鳥は悪天の兆しだったか。)
「時間節約のため1ピッチ目はウチの2ピッチ目はそちらのザイルをフィックス
しましょう。」という名古屋の申し出を快く受けたのはいいが、ラテを点けて
嫌らしそうなトラバースをしなければならないことが確実になった時点で、
三ノ窓行きを断念。小窓ノ王基部は上から何か落ちてきそうだというOさんの意見も
あり、少し戻った平坦地を偵察に行ったが、吹きさらしで風が強いため結局は
小窓ノ王基部に幕営することにした。(名古屋の人ごめんなさい。)結果的には
小窓ノ王が北風を防いでくれて快適な一夜を過ごすことが出来た。
テントから顔を出すと暗闇の中をラテの光がまだ動いる。ここで幕営してよかった。
ただ、気がかりなのは、フライをパラパラと叩く雪である。
明日は池ノ谷ガリーを越えられるのだろうか。

5月1日(月)ガス夕方から晴れ
明るくなってきたのでテントから出るとまだ雪がパラついていた。
積雪10cm、視界20mといったところか。キジ場も完全に埋まっている。
さて、今日はどうなる。取り敢えず三ノ窓まで行ってみることにする。
昨日掘り出した支点にザイルを掛けてまずOさんが懸垂下降気味にトラバース。
昨日のトレースは新雪で完全に消されている。次にザイルをフィックスして酒井が
トラバース。足元の雪が崩れる。下は池ノ谷に切れ落ちているはずだが、ガスで何も
見えない。雪壁にピッケルのピックを必死で打ち込み、アイゼンを懸命に蹴り込む。
三ノ窓からは先行パーティーの楽しそうな声が間近に聞こえる。最後はOさんの
ビレイでS君がトラバース。
新雪の急斜面をヒーフー登った三ノ窓は既にもぬけの空。我々がトラバース
している間にみんな出発したらしい。(まさかチンネに行ったわけないよな。
でも、あの2人組ならやりかねないかも。)時刻は9時半。呼べば届くような距離に
2時間近くを要してしまった。
小休止の後、トレースを追って池ノ谷ガリーに取り付く。傾斜が急であまり積もらな
かったのか、斜面には思ったより新雪が付いていないようだ。それでも時折、左側を
サラサラと雪が流れると、自然に登高ペースが速まる。相変わらず視界が悪く
池ノ谷乗越は全く見えないが、回りの岩の形からあと少しで登りきるはずだ。
やがてガスの中にぼんやりと人影が見え、先行パーティーが休んでいる池ノ谷乗越に
到着。ガスの中からザイル操作のコールが聞こえる。アンザイレンしてルートを
探しているらしい。ここは八ツ峰からの縦走で夏に何度か歩いたはずだが、夏とは
全然違う山になっていた。
雪の斜面を登り、痩せた雪稜を大学生のフィックス・ザイルを借りて通過して小さな
アップダウンを繰り返すと、竹竿が立てられたピークに出た。「長次郎ノ頭か?」
先行していた名古屋はザイルを出して懸垂下降を始めた。しばらくしてザイルを担いだ
大学生が左の斜面をコルまで下りられるか偵察に行った。下りられるらしい。
我々は大学生と豊川に続いて左の急斜面を長次郎ノコルへクライムダウンした。
コルから剱本峰へ最後の登り。1ヶ所だけ落ちたらお終いの嫌らしい登りがあって
泣きたくなったが、無事通過。雪の壁を登ると上で豊川が休んでいるのが見える。
あそこが頂上かと歩を進めるがどうも違うらしい。プシュッと気が抜けてしまったが、
更にがんばって前進するとテン場跡が現れ今度こそ頂上らしい場所にたどり着いた。
ただし、視界が悪く、雪に埋まっているのか祠も見えず、いまいち確信を持てないで
いると左手にチラッと尾根が見えた。源次郎尾根だ。やはりここが剱岳頂上に間違い
ない。本来ならここで硬い握手を交わすところだが、明日は天気が悪いとの予報も
あり、心は既に下山モード。「分岐まで行って休もう。」と、頂上は素通りとなった。
幸い別山尾根と早月尾根の分岐を示す道標は簡単に見つけることができた。
これで一安心と。
ところが、今年の早月は甘くなかった。(一昨年が甘すぎた。)腐った雪のルンゼ
(恐らくここが氷化したルンゼだろう)を大学生が必死でクライムダウンしている。
彼らは懸垂支点を見つけられなかったようだが、我々は支点を掘り出すことができ
シングルで懸垂下降。後続の名古屋にも我々のザイルで懸垂下降してもらった。
ルンゼを下りたところが、にせカニノハサミ(仮名)。一見、真っ直ぐ行くが正解に
見えたが、アンザイレンして偵察に行ったS君によるとこちらはルートでは
ないらしい。かくして4月29日に小窓尾根に取り付いた5パーティー総勢20名が
ここに勢ぞろいすることになった。
ガスの切れ間に尾根が見えた。ルートは右のようだ。腐った雪の斜面を
クライムダウン。空身でルート偵察に行ったスーパー2人組とすれ違った。
(お疲れ様)
危険地帯をほぼ脱した2614mピーク手前のコルで幕営。明日は午後から大荒れ
らしいが、ここまで来ればもう大丈夫だろう。
今日も無風状態で快適な夜となりそうだ。
昨日はラテを点けて三ノ窓に懸垂下降していた名古屋は、今日は我々より1ピッチ上の
台地で早めに切り上げていた。

この日、別山尾根を下山中のトヨタ自動車山岳部員が平蔵ノコル付近で滑落死した
そうで、ガスの中を富山県警のヘリコプタが盛んに飛び回っていました。(合掌)

5月2日(火)晴れ夕方から雷雨
テントを撤収して下山開始。「あれがニードルで、あれがドーム。マッチ箱。
鉛筆のような岩の右が小窓ノ王。」と一昨日ヒーコラ歩いた小窓尾根の岩峰を同定して
名残を惜しみつつもさっさと下山。まだ雪が締まっていることもあり、
豊川をぶっち切って1時間弱で早月小屋に着いてしまった。我パーティー、
逃げ足だけは速い。このペースでは馬場島まであと2時間半くらいか。
今日は絶好の下山日和。たちまち汗が吹き出し、山シャツ一枚となる。
春だな〜って感じ。日が高くなるにつれ雪が腐ってきて次第に歩き難くなってくる。
一昨年は大量のカエルが盛っていた松尾平も一面雪。
カエル君達もまだ熟睡中のようだ。テルモスの底に残った最後のアップルティーを
飲み干していると、早月小屋で幕営していた2人組がスタスタと通りすぎ雪の林に
消えていった。
松尾平の下り口の急坂にかかるとようやく雪も無くなり、アイゼンを外す。
道端には2種類の高山植物がピンクの花をつけていた。(一つはイワカガミに似た
感じだったけど、何だろう?)
小窓尾根-剱岳-早月尾根とぐるっと一周して馬場島に下り立つと、2人組と名古屋が
帰り仕度中だった。名古屋は我々より上で幕営していたから、今朝は早起きしたのか。
ヤマタンを返却して、さあ温泉だ!ところが、富山県警に教えてもらった温泉は
本日休館・・・。明日3日からの連休に備えてお掃除中らしく、ゴシゴシと
デッキブラシの音が響き渡っていた。仕方なく滑川から富山まで高速を飛ばし、
ダイエー屋上のプラ座湯で汗を流して帰岐。夕方から雷雨となった。

今年は近年になく雪が多かったせいもあって予想以上に厳しい山行であった。
それだけにたいへん充実した素晴らしい4日間であった。核心部では待ち時間が
長かったから体力的には楽なはずだが、腐った雪にアイゼンは直ぐ団子になり、
全く気が抜けないので精神的にはかなり疲れた。ただし、比較的天候に恵まれ、
とりわけ風が無かったので助かった。あれで天気が悪かったらツェルトを被って
ガタガタ震えながら順番待ちをしなければならなかったところだ。
なお、この時期の剱岳はダブルアックスがかなり有効のようです。
他のパーティーはほとんどダブルアックスでした。今回、核心部は先行パーティーに
トレースを付けてもらったのでピッケル1本でも何とかなりましたが、
それでも本峰の登りで1ヶ所恐いところがあったし・・・。バイル買おうかな?
あと、ザイルも50mあるといいようです。小窓ノ王基部から三ノ窓への
トラバースとか、我々の45mでは少し足りないピッチが何ヶ所かありました。
最後に一緒に行って戴いたOさんとS君に感謝します。

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