幽ノ沢/中尾根

東京岳人倶楽部/木下徳彦、中村圭司


<山行日> 2000年4月8日(土)〜9日(日)<記録> 木下徳彦



 木下@東京岳人倶楽部です。

 4月10日から入山禁止になると言うこともあり、課題にしていた尾根に行ってきま した。

 戸隠、越後好きな偏執的なルートが好きな人にはたまらないでしょう。 そんな感じの尾根です。

<行動>

4/8

指導センター(09:30)〜幽ノ沢沢出合(11:00)〜取付(13:00)〜中央壁ノ頭(18:00)

4/9

中央壁ノ頭(05:40)〜一ノ倉岳(06:45/7:00)〜谷川岳(07:50/08:00)〜指導センター( 09:30)

 マチガ沢からは腐った雪のラッセルとなる。一ノ倉沢から先はトレースさえも見当た らず、 脛からひざ近くまで潜るので、かなりしんどい。 こんな時間にアプローチしているやつもそうそういないだろう。 しかも風も強い(天気はいいが)。 幽ノ沢は中央壁をはじめ、雪は全くなく、石楠花尾根もただの急な尾根。 中尾根も結構少なそうな気もする。

 展望台経由で中尾根に取りつく。下部は樹林帯の急な斜面を登る。 人形岩の左側を登り、これ以上は厳しいというところまでノーザイル。

 1P(40m/中村) 中村リードで急なブッシュ登攀から腐った雪壁、そして右側に雪庇の 出たリッジを登る。

   2P(50m/木下) 腐った雪壁。どんどん傾斜がきつくなる。雪は腐っている上に、ラン ナーも40mぐらい登ってからやっと1本とめっちゃ疲れる。しかまだ核心に比べて傾 斜は緩い。以後つるべで登る。。

 3P(45m) 右側の雪庇に乗らないように気をつけながら、リッジを歩き、どんづまり から右に回り込んで、凹角状の急なブッシュ壁を登る。

 4P(40m) 引き続いて急なブッシュ壁。全然傾斜が緩くならない。雪壁はぐさぐさで、 不快感極まりなし。天気も急に悪くなってきた。風も非常に強い。

 5P(30m) 一旦、雪壁の傾斜が緩くなり、そのまま詰めると30mほどで一旦、下りが 入る。右は大きく張り出した雪庇。上から見たが、どうもトレースは乗っていたらし い。気をつけてはいたがこれほどでかいとは。

 6P(25m) 腐った雪壁を慎重に上がると岩が出ていて、残置ハーケンがあった。腐っ ているが、どうも夏のビレイ点か?岩場からさらに15m程登り、ブッシュをたばねて ビレイ。ブッシュが弱々しい。

 7P(40m) 正面はでっかいひび割れがあって、かぶり気味のため、左にトラバースし て、尾根状から、雪面に乗る。左に見えるのは、中央ルンゼの氷か?ずっと向こうに 見えるのは、3ルンゼだろうか?どんづまりまで登り、 かぶったブッシュ壁を強引に越えて、垂直ブッシュ壁を10m登る。登山体系の記述に ある核心とは、まさにここのこと。雪が落ち着いていたいため、非常に悪かった。

 8P(45m) 全然傾斜落ちず苦しいピッチ。頼りのブッシュは、いっそう弱々しくなり、 悲しい。雪壁は体を支えてくれるだけの支持力なく、精神的によろしくない。雪壁と 一緒に下に落ちちゃいそうだ。最後の最後で傾斜が少しだけ落ちる。

 9P(35m) 岩峰を左から巻き気味にブッシュの出たリッジ沿いに登り、相変わらずス カスカの雪壁を登る。

 10P(50m) 少し緩くなった雪壁から、美しいスノーリッジを、右の雪庇を気をつけな がら登る。

 11P(50m) 左方ルンゼ終了点から、中央壁の頭から続く稜線に向け、雪壁を登る。雪 崩れたら、中央壁基部までダイブできるんでしょう。左方ルンゼ終了点は、安定した 雪の大地となっている。

 12P(50m) さらに雪壁にロープを伸ばして稜線まで。多少締まってきて、登りやすく なった。

 中央壁の頭直下に大きなクレバスが開いており、中をうまく整地して、ツェルトを張る。 風もなく二つ星のテントサイトでした。シュラフカバーでも、比較的よく寝ることが 出来た。

4/9

 ギンギンに締まった尾根をクレバスを右に左にぬいながら20分ほど歩くと、堅炭尾根 に出た。 快晴の中、風で消されてよく判別できないトレースを追いながら、1時間弱で谷川岳 についた。

 山頂からは、東尾根に人影が見えたような気がしましたが、 あれは有持さんだったのでしょうか??

 山頂からは、西黒尾根を尻セード交じりで一気に下る。 厳剛新道分岐先の岩場は、ほとんど埋まっており、 今年の雪の多さがひと目で分かりました。


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