錫杖岳/前衛フェース/3ルンゼ

風来坊/大野、龍鳳/松永、ARI/宮川、JECC・立川/竹田、JECC/廣川


<山行日> 2000年3月11日(土)<記録> 廣川健太郎



3月10日(金)

 上野原ICに22時過ぎ集合。 安房トンネルを抜け、車道を下り、蒲田川の橋を 渡り、少し先の露天風呂の駐車、車で仮眠(キャ ンプ禁止)。 

3月11日(土)

 起きたら6時を回っており、寝坊してしまう。 早速移動、槍見温泉駐車場を7時半過ぎに出発。 他に入山者はいないようだ。 登山口は雪は少なく、所々地面が顔を見せている。 トレースならびにトレースの痕跡はないが、出だ しは雪も締まっており、歩き易い。踝上程度まで しか潜らない。

 クリヤ谷を渡るところまでの間、2ケ所デブリが でていたが、堅雪になっていた。 2年前、3月22日に左方カンテを日帰りした時 はトレースがあったが、雪が緩んでおり、所どこ ろズブズブ潜ったが。 谷を左岸に渡ったところで一休み。ところが、こ こからは新雪にややラッセルが深くなり、少し時 間がかかるようになり、さらに、錫杖沢出合いか らは膝上ラッセルになってしまう。

 ラッセルの場合で取り付きまで2時間半程度を予 想してきたが、壁の下の斜面に入り、膝上から腰 のラッセルとなり、遅遅としか進めない。 大野、松永組は当初左方カンテを予定していたが、 時間がおせおせになり、結局全員で3ルンゼを登 ることにした。

 取付き左、大木下の斜面で登攀用意をするが、シ ュルンドがあり、周りの雪を落として埋めた。 登攀開始11時45分。 大野氏はハーネスを忘れており、簡易ハーネスを 作ったものの、リードはできない。松永氏は岩は 良いが氷は自信がないというので、結局全員だん ご、数珠繋ぎにして登ることにした。

 1P目、技術的にはやさしい雪と氷だが、シュル ンドを警戒してアンザイレンして登る。ルンゼの 左側を登り、50mで張り出した岩のところまで。 岩の真中を掘ると残置支点あり。

 2P目、右端に出て、少し直上、左トラバース〜 右上、氷化した雪と氷で傾斜もなく快適だが、所 どころ薄いところがある。 左トラバースした地点ではボロスリングが頭をだ しており、ランナーに使えた。右壁の残置支点に カムを加えてビレー。35m強。

 3P目、薄い氷から雪壁を登ると、テラス状。残 置ピトンあり。小さなCS状に張りついた氷が庇 状になっており、これを散々壊してから氷を抱え るようにホールドにしてトラバース、左の岩に張 りついた氷に移って直上。ここのトラバースが本 日の核心部であったが、上からのスノーシャワー も被り厄介であった。大きなCSの右隅のボルト とピトンでビレー。45mだったかな??。

 4P目、夏は一般的には左壁のフェースを登るが、 悪そう。良く見るとCS内右隅が上に抜けている ようなので、雪をかいて掘り、氷の内面登攀を7 〜8m楽しめるが、体が大きいと苦戦する。ここ も上部からのスノーシャワーが流れ込むのが難点。 35m強位。

 5P目、夏は右側を昔の人工ラインから登るが、 左隅が凍っておりダブルアックスで登る、雪壁か ら最上部一番おおきなCSは左壁、ここは人工。 右端も雪から氷で越えられそうであった。45m ほど。

 18時に近くなり、この上のガレと草付は暗くな ってきたので割愛。 同ルートを懸垂下降。 4回目の懸垂で1P目の半分よりも下、クライム ダウン可能な地点まで届き、1回分節約。

 18時45分〜19時15分、順次集結。 今まで、錫杖は携帯は通じないと思い込んでいた が今回ドコモをもってきたら、クリヤ谷を渡る地 点、錫杖沢に入り、新穂高が見とおせる地点はす べて通話可能であった。

 登攀具を片付ける合間に登攀終了報告を携帯でし たりできるのは便利であるが、今季、篠沢七丈バ ク、大武川一の沢大滝でも通じたし、昨シーズン だと、滝沢リッジの上部ナイフリッジを登ってい る時も電話がかかってきたり(東尾根、西黒の肩 越し下界が見とおし方向になる地点がある)、山 深いところ、下界と隔絶したところで登攀をして いるという緊張感が希薄になるのは難点だが、便 利なので持っていってしまう。

 さて、雪が舞い出す中、新穂高のこじんまりした 夜警をみながら、下降開始。 錫杖沢出合いまでは登りの苦労が嘘のよう。1時 間半弱で槍見温泉に帰着。

酒屋(ゴリラ)の自販機まで、ビールを買出しに いき、槍見温泉の露天風呂で宴会。  宮川君は全ピッチリードで充実したようだったが、 大野氏は全フォローでは登った気がしないとぼや いていた。40台後半だが、まだまだ若い。

 駐車場は幕営禁止だし、地面がぐちゃぐちゃなの でバス停で宴会の続きをやり、そのまま就寝。 12日、温泉により、食事をして、のんびり帰宅。


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