黄蓮谷/左俣

童人トマの風/柴田修、田辺一世


<山行日> 2000年1月8日(土)〜10日(日)<記録> 田辺一世



 田辺@トマの風です。

 3連休で黄蓮谷左俣に行ってきました。 情報を下さった皆様ありがとうございました。

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 7時過ぎ竹宇の駐車場を出発。 13時頃に五合目小屋に到着。小屋で休憩中に小雪が舞う。 15時頃、千丈ノ岩小屋着。早速、大きな岩小屋の横にある適当なスペー スにツエルトを張る。ボルトが打ってあるので簡単に張ることが出来た。 夜は大きな岩小屋のところでたき火をしながら酒と食事をとる。 岩小屋は実に快適な場所であった。

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 6時頃、出発。本日は朝から快晴無風。 初めの小滝はやはり釜が口を開いており、右岸を巻いて越える。 坊主ノ滝は氷の中に水が流れている部分もあるものの、しっかり凍って いるので快適に登れる。 この時点で2パーティーの順番待ちとなった。

 今回は我々の左俣は4パーティー、右俣は3パーティーであったと思う。 15m滝を越え、左俣出合の滝も情報どおりよく凍っていて楽しい。 チムニー滝を越えた後はナメ滝をフリーで登り、七丈ルンゼ側から本流 に戻ると目の前に60mの大滝が現れた。

 この時点で先頭になったので廣川さんの情報にあった右の比較的やさし いラインをザックを背負って登ることにする。 柴田リードで順調に登っていると1パーティーが我々の少し中央よりの ラインから登り始めた。

 さらに滝の一番左の垂直な部分に1パーティー取り付いていたのだが、 その彼が20m近く登ったところでいきなり落ちた。 2つ目の支点から 5〜6m 登った地点で下から見て、滝の真ん中辺りの 立ったところから落ちたので10m以上は落ちたと思う。 3つ目の支点をとっていればたいしたことは無かったかも知れない。

 墜落したあと一旦、下部の張り出した部分にあたり、次に顔面からその 下の部分にぶつかってザイルにぶら下がりながら止った。 氷に血が飛び散り、本人はぐったりしている。

 滝の上にいる柴田に事故であることを伝え、救急用品をもって負傷者の ところへ行くと意識は戻ったようで少し唸っていたが次第に意識ははっ きりしてきた。

 取り敢えず、順番待ちをしていた2人のパーティーと一緒に負傷者を安 全な場所に腰掛けさせ、怪我の状態をチェックした。 左目の上を強打しており、左目が見えないという。さらに左手も動かな いというので折れているらしい。

 これはすぐにヘリを呼ばなければ大変なことになると思った。 幸い私はアナログの携帯を持っていたのでヘリを呼んだ方がいいことを 負傷者のパートナーに伝え、パートナーから警察に電話してもらった。 (前日、岩小屋でも携帯はつながっていた。)

 一時間ちょっとで山梨県警のヘリがやってきてホバリングで負傷者を吊 上げていなくなってしまった。パートナーは置いてきぼりかと思ったが しばらくたってまたヘリが戻ってきてパートナーも回収して去っていっ た。(京都の男女パーティーであった。)

 我々は2時間以上もそこにいたので既に14時をまわっていた。柴田は滝の 上でセルフビレーをとってずっと待っていたのであった。 もたもたしていると今度は我々が大変なことになる。一緒に救護した八 王子のパーティーの方は大滝を左岸から巻いて登り、私はセカンドでス クリューを回収しながら大滝を登った。

 目の前で事故を見た後だけに登りは慎重になった。 最後の滝は時間的にも無理なので八王子のパーティーの後を追うように 左岸をラッセルしなが巻いて登った。

 そのまま左岸沿いに登っていったので三俣の右に入っているのがわかっ たが膝くらいのラッセルがあったので今さら我々だけ左に行くのも大変 だと思い、先行のトレースを追って稜線を目指した。 途中で陽がおちて、稜線についたのは18時半くらいになった。 二人だけでのラッセルだったらもっと遅くなったであろう。

 七丈小屋には管理人がいてストーブや明かりもあって快適であった。 おまけに一泊2千円で毛布とラーメンとミカン3個を支給されるので安い ものである。お湯も貰えるし、ビール350mlが300円と安い。

 翌日は未明から雪が降っており、8時頃に出発するときには 15〜20cm くらいは積もっていた。それでも五合目小屋を出発する頃には天気が回 復してきて、下るにつれて暖かくなり、駐車場に着いたときには春のよ うな陽気であった。

 山頂周辺だけは雲がかかっていたので、雪もそれなりに積もったものと 思われます。


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