唐沢岳/幕岩/大凹角ルート・左方ルンゼ

はりま山岳会/竹谷大介、松垣直宏


<山行日> 2000年1月8日(土)〜10日(日)<記録> 松垣直宏



 松垣@はりま山岳会です。

 8、9、10日の三日間で、唐沢岳の幕岩に行ってきましたので 報告致します。

1月7日

 姫路から高速を飛ばして7時間あまり、午前2時頃に七倉に到着。 仮眠をとる。

1月8日(ガス後晴れ)

 唐沢出会から正月のものと思われるトレースが残っていて、 非常に助かる。雪も少なく、2時間半あまりで、大町の宿に着く。 準備をしていると、GMC(?)の二人パーティもやってくる。 彼らは松本ルートを登るそうだ。彼らから、登攀後の下降は 右稜沿いよりも大凹角ルートを(ドーム基部から)懸垂下降した方が いい、という情報を得る。

 11時ころ、登攀開始。一ピッチ目は部分的に雪に埋まっているようで、 小ハングの下のボルトをビレイポイントにする。冬の幕岩は初めて だが(夏も5年前に一度来ただけだが) 、雪が少ないためだろう、支点はほとんど露出しておりルートファインディ ングは易しい。草付に打ち込んだバイルがよくきまる。

 ときどきいやらしいところもあったが5時半くらいまで行動し、 ボサテラスから一ピッチ延ばしたところで、暗い中雪を削ってビバークする。 なんとか二人が半身で横になれるくらいの狭いところだったが、 風もなく、まずまずの夜だった。

1月9日(晴)

 天気が良く、暖かい。春のようである。

 一ピッチで中央バンドに達し、大凹角の登りになる。予想通り、ここには 雪がほとんど付着しておらず夏とあまり変わらない。

 11時ころ、登攀終了。がっちり握手する。GMCの方からいただいた情報に 従って、ドーム基部からは同ルートに合流し下降することにする。中央バンド から4、5回の懸垂下降で楽だった。下降には2時間半程度かかった。

 大町の宿に戻って、左方ルンゼの偵察に行くことにする。 暖かいので半分期待薄であったが、見事にF2の氷柱が見えたときには 二人でとても喜んだ。

1月10日(雪ときどき晴)

 夜半から降雪があり、固く締まった雪の上に20センチくらいの積雪。 非常に歩きづらく、いやらしい。このままさらに雪が積もるようだと、 雪崩の心配も出てくるので迷ったが、天候は小康状態なので登ることに する。7時半、登攀開始。

 F2をはじめ、氷結状態は良好で、快適なアイスクライミングが楽しめ た(ときどきスノーシャワーを浴びたが)。F6を登ったところで登攀終了(11 時半)。

 今登った感じから、同ルートの下降ができそうなので、そのまま懸垂下降 することにする。我々は記憶があいまいで途中から左岸のブッシュ帯に入っ て下降したが、うまく木を拾えば、ほとんど同ルートを下降できると思う。

 あとは下るのみ。男女二人組のパーティといっしょに 降雪でトレースの消えた唐沢をイボりながら転がるように 下山した。

 初めての大きな壁での冬季登攀でしたが、条件が良かったため無事に 楽しめました。これから雪が増えるにしたがって難しくなると思います。 左方ルンゼは氷結は良好ですが、10日以降の降雪はそれ以前の雪と 弱層をつくると考えられるので、雪崩の危険を考えないといけないかも しれません。


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