針ノ木岳/西稜

松本CMC/河竹、伊藤、堀、池迫


<山行日> 1999年12月28日(火)〜2000年1月2日(日)<記録> 河竹



 初めまして。
 松本CMCの河竹と申します。
 今回、「針木岳西稜」に行ってきましたので報告します。

◎日程  12/28〜1/2

◎場所  七倉〜七倉岳〜船窪乗越〜針ノ木谷〜針ノ木岳西稜
       〜針ノ木岳〜ビョウブ尾根〜扇沢

◎メンバー 河竹 伊藤 堀 池迫(以上CMC)

◎行動概要
○12/28(火)
 七倉ゲート(0900)−七倉尾根1800m地点CS(1450)

 針木岳西稜の取り付きは針ノ木谷にあるので、まず船窪岳を目指して
 七倉から登り始める。ゲートからすぐのトンネル手前から取り付く。
 いきなりラッセルで、行動開始10分後にはワカン使用。
 
 今日の予定は船窪小屋(2500m)だったのだが、ラッセルがきつくて
 1800mまででおしまい。 

○12/29(水)
 CS発(0630)−船窪小屋(1130/1200)−船窪乗越(1300)
 −針ノ木谷(1430)−CS(1500)

 再びラッセル開始。2100mを越したあたりからクラストしてきて登りが   
 
 楽になる。
 
 船窪小屋に着くが、すでに予定を大幅にオーバーしており、弱気になる     
が、池迫大先生の一喝で、船窪乗越目指して行動開始。

 船窪乗越までの下りは痩せていて、けっこう悪い。

 船窪乗越に着き、そこから雪の状態がいいので針ノ木谷目指して谷を下る。雪が多
くて特に問題はなかった。

 そこから針ノ木谷を下り始め、船窪乗越に向かう夏道との合流点でテントを張る。
水作りをしなくていいのがラッキー。

○12/30(木)
 CS発(0620)−西稜取り付き(0820)−1974m(1110)−
 2000mJP(1230)−2170m地点CS着(1430)

 またまた針ノ木谷を下り始める。そこら中に雪崩れそうな斜面があり、圧迫感を感
じる。あと、時々川に落ちそうになる。

 南沢の対岸が取り付き(らしい)。標高は1500mくらい。そこから登り始め
る。

 ラッセルは、思ったよりきつくなくグングン高度を稼ぎ、JPへ。ここから比較的
痩せた尾根をブッシュをかいくぐりながらのラッセルで、第1岩壁
の手前でテントを張る。明日からが核心部。
 
○12/31(金)
 CS発(0620)−第1岩壁上(0800)−(懸垂1P・登り1P)−
 第2岩壁上(1200)−鋸状岩壁P3取り付き(1300)−(登り1P)
 −鋸状岩壁P4取り付き(1430)−(トラバース1P・懸垂1P・登り1
 P)−終了(1710)−2450mCS着(1730)

 CSよりブッシュの中を少し下り、第1岩壁の取り付きへ。

 ここはスバリ側を少し下り、ルンゼを登り、岩壁途中に出る。
 ここでワカンからアイゼンに履き替え、針ノ木谷側をトラバースし、雪壁 を少し
登って第1岩壁上、2230mの台地に着く。

 台地上をトコトコ歩き、第2岩壁の取り付きへ。

 ここからスバリ側をトラバース、ルンゼを登り、ローソクみたいな岩塔の手前に着
く。また針ノ木谷側の雪壁をトラバースして登って、ローソク岩を巻いて上に出る。

 ここから細いリッジを10m、それからギャップを懸垂で下ろうとするが、全体が
キノコ雪になっていて、河竹はそのキノコごと針ノ木谷に落とされかける。

 ギャップの対岸はドームと呼ばれているところ。少し左にトラバースし、池迫リー
ドでボロボロ極悪の岩場を登る。池迫大先生、ありがとう。

 40mロープをのばすと台地上に出る。台地を下るところがギャップになってい
て、それが雪に隠されており、河竹はまた首まではまる。

 そこから鋸状岩壁と呼ばれる所に入る。P1からP4まである。

 P1は痩せ尾根を歩いて、簡単に着く。

 P2はスバリ側をトラバースし、簡単な岩を登り、痩せ尾根を行き、雪壁を登って
着く。

 P3は針ノ木谷側の雪壁を下り、ルンゼを登って最後はボロボロの岩場をトラバー
スしてP4とのコルへ。

 P4はおそらくルートとしては針ノ木谷側を懸垂下降してU峰に続く台地への雪壁
を登るのが正しいのだろうが、我々はスバリ側をトラバースしておりてしまい、極悪
の登りを体験させられた。

 どうにかこうにかU峰に続く台地に出て、テントを張る。
 ああ疲れた。で、怖かった。

○1/1(土)
 CS発(0730)−U峰(0800)−(懸垂40m)−ギャップ下(100
0)−
 (登り1P)−針ノ木岳(1200)−スバリ岳(1340)−
 ビョウブ尾根降り口(1440)−ビョウブ尾根2206m地点CS着(1530)

 U峰までは単調な登り。U峰から尾根が細くなり、ギャップに吸い込まれる。吹雪
で視界がなく、どこを下るかあーだこーだ言ってて、結局尾根の末端から懸垂で40
m下り、ギャップ下へ。

 そこから痩せ尾根を行き、本峰の登りに入る。

 出だしはボロボロの岩〜垂直の雪壁(15m)。ロープを出す。
 そこを抜けると尾根通しの登りにはいる。

 頂上直下で岩壁に阻まれ、スバリ側をトラバースし、一気に稜線を目指して簡単な
岩を登ると、頂上に続くなだらかな稜線に出る。

 頂上に着く。こんなにうれしい頂上は初めてだった。
 これで生きて帰れる!

 あとはガーっと下る。ビョウブ尾根はトレースがついていて、ラッキーだった。誰
だか知らないけれど、ありがとうございます。

 2206m地点に幕営跡があったので、借用する。

○1/2(日)
 CS発(0700)−大沢小屋(0730/0800)−扇沢(0840)−
 ゲート(1020)

 ビョウブ尾根のトレースは、ありがたいことに谷に続いていて、30分で大沢小屋
に降りれる。

 あとは体をマシーン状態にして、ひたすら下って、やっと終わった。
 2年越しの計画が、やっと実った。やった−!


○感想
 ・情報がほとんどなかったので、苦労したがその分おもしろかった。
  上に書いた第1岩壁だのの場所も、通過したあとにやっとわかると
  いう感じで、手探り状態の登山だった。
  残置もほとんどなく、その分楽しめるかな。
 ・天候に恵まれたのが、すごく大きい。上のような状態だったので、
  吹雪いてたら、かなり時間がかかっただろうと思う。
 ・岩はとにかくボロボロ。危険です!
  確かに「最後まで気の抜けない」ルートではある。2度と行きたくない
  です。
 ・でもその分すごく充実しました。もし行きたい方があればこれ以外の
  情報をお渡しします。

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