レスキュー講習会

 蜂谷一彦@福岡と申します。

 11/28(日)、福岡市山岳協会主催の第2回レスキュー講習会に参加しました。 朝9:00に前原市の「岩壁公園」集合。講師はアルパインガイド協会の藤原 拓夫先生。 参加者は、藤原先生を含めて総勢14名。

 当日は、あいにくの雨で人工壁が濡れてしまっていたので、「天候の回復を 待って、午後から使うことにしましょう。」ということになり、瑞梅寺「山の家 」へ 移動。小学生達の集いがあって、広い部屋が埋まっていたので、当初我々 にはバンガローの一室があてがわれたのですが、ロープワークを行うには あまりにも狭すぎたので、結局、炊事場の屋根の下で行うことになりました。

 初歩の結び方からきっちりと復習しましたが、『マッシャー』を作るシュリンゲ の大きさについて、現在の最新情報では『7mmロープの芯を2〜3本抜いた もの×「円周40cm程度の長さの輪」が使いやすくて良い』、との指南を受け、 一同感嘆の声が。6mmをそのまま使うよりも、柔らかくていいとのことです。 『芯をピンセットで2本〜3本ずつ抜く』という奇抜なアイディアには、目から ウロコが落ちました。欧米のガイドさんたちの間で最近よく用いられている そうです。

(※ ただし、それはあくまで、マッシャーとかの『制動確保用』のシュリンゲ の場合であり、当然、『ランニングビレー』用には適さないと、私は思います。)

 この芯抜きについて、どれくらいの強度まで保つのか、詳しいことはわかり ませんが、今度、試しに作ってみようかと思っています。

 更には、カラビナ2枚にロープを通して片方のカラビナにループをかけるだけ で簡単に制動確保ができる『ガルーダヒッチ』や、 エイト環やイタリアンでの 『仮止め』方法の最新版(素早く解除できるタイプ)など、実用性の高いロープ ワークを教えて頂きました。

 『1/3システム』や『1/7システム』、などのほか、ロープを継ぎ合わせた 状態で確保始点を通過させる『引き下ろし』など、応用技術を学習して、 丁度お昼の時間。

 午後、雨が降り止んだので、岩壁公園に移動。上のテラスは、ロープを何本 もかけられるほど広いものではないので、コンクリートの地面上に打たれた ボルトで支点を作って、地上で『引き上げ(1/3)ならびに(1/7)』と『引き下 げ』等を練習しました。目で見て頭で覚えることも大切ですが、実際に手足 を動かして、身体で覚えないとレスキュー技術はマスターできないことを痛感。 15:00に終了。今回、実際に壁を使って「引き上げ」などを試せなかったのは、 誠に残念でしたが、とても有意義な講習会でした。

 このMLでも紹介されていたように、トラバース中に墜落した場合の引き上げ など、実践的な訓練をしたかったのですが、形式だけの講習会であっても、 それなりの成果が得られたと考えています。

 ある本で読みましたが、『スイスの山岳レスキュー隊は、どんなに初歩的で 簡単なこと(たとえば、8の字結びとか)であっても、自分がすでに覚えた技術 であっても、毎日毎日、繰り返し唱和しながら、練習する』とのことです。 いざ、目の前で事故が発生したときに、気が動転して手足が動かせない、 というのでは、いくら頭でわかっていても、レスキュー技術を覚えた意味が ありませんし、繰り返し繰り返し練習して、身体に染み込ませて自然に対応 できるくらいになりたいです。

 レスキュー技術は、日進月歩であり、定説で「これが良い」とされている技術 であっても、1年後には欠陥が指摘されていたり、もっとすばらしい技術が 編み出されていたり、などなど、多々あると思いますので、古いテキストに 依存することなく、年間を通じて、レスキュー技術を研鑽していきたいなぁと 思いました。

 藤原先生ありがとうございました。また、参加者のみなさん、寒いなか、 本当にご苦労さまでした。


 増田@YCCです。

> 初歩の結び方からきっちりと復習しましたが、『マッシャー』を作るシュリンゲ
> の大きさについて、現在の最新情報では『7mmロープの芯を2〜3本抜いた
> もの×「円周40cm程度の長さの輪」が使いやすくて良い』、との指南を受け、
> 一同感嘆の声が。6mmをそのまま使うよりも、柔らかくていいとのことです。
> 『芯をピンセットで2本〜3本ずつ抜く』という奇抜なアイディアには、目から
> ウロコが落ちました。欧米のガイドさんたちの間で最近よく用いられている
> そうです。
 さすがに藤原氏の講習は氏の豊富な登山歴とあいまって具体的かつ実践的ですね。 ヨーロッパではクレバスフォールの危険が高く(私もやってしまったことがありま す)、日常ロープを結びあって行動するのが普通ですから、レスキュー技術が良く 研究されていると思います。

 ところで、私は7mmロープの芯を抜くのは「表面積を大きく、ロープはしなやか に」という風に解釈し、ロープに代えて10〜15mmのテープ(トロール製、チュー ブではないもの)を使用していますが(要するに普段ランニング用に使っているも の)、プルージック、マッシャー、バッチマン共に有効です。 長すぎるときは途中で結んで使っています。

> (※ ただし、それはあくまで、マッシャーとかの『制動確保用』のシュリンゲ
> の場合であり、当然、『ランニングビレー』用には適さないと、私は思います。)

 揚げ足を取るようですみませんがマッシャーなどは『制動(ブレーキ)』用であっ て『確保』用ではないですよね。

> 更には、カラビナ2枚にロープを通して片方のカラビナにループをかけるだけ
> で簡単に制動確保ができる『ガルーダヒッチ』や、

 すみません、これも片方には動くが反対方向にはロックして動かなくなるシステム であって『制動確保』ではありませんよね。

 すみません、嫌味な奴と思わないでください。 このMLを読んでいろいろと学ぼうと思っている初心者の方もいらっしゃるので誤解 を招かないように言葉の定義をはっきりしたいのです。

> いざ、目の前で事故が発生したときに、気が動転して手足が動かせない、
> というのでは、いくら頭でわかっていても、レスキュー技術を覚えた意味が
> ありませんし、繰り返し繰り返し練習して、身体に染み込ませて自然に対応
> できるくらいになりたいです。
 本当にそうですね。事故の時の対応をあとで思い出しても「どうしてあんなちんぷ んかんぷんなことを」と思う事ばかりです。 そんな時、二重遭難の危険も迫っているわけです。

 救助する側も決して安全が確保されている訳ではないことを胆に命じておく必要が あります。 身体に染み着いた『正しい』技術だけが身をまもってくれます。

> レスキュー技術は、日進月歩であり、定説で「これが良い」とされている技術
> であっても、1年後には欠陥が指摘されていたり、もっとすばらしい技術が
> 編み出されていたり、などなど、多々あると思いますので、古いテキストに
> 依存することなく、年間を通じて、レスキュー技術を研鑽していきたいなぁと
> 思いました。
 何年も会の遭難対策をやってきた経験からするとこれが最も難しいのです。 始めの2〜3年は皆珍しさもあって熱心なのですが、数年たつと参加者はどんどん減 り、講習もだらけてきます。 それを見た新人も雰囲気に引きずられて真面目に取り組まなくなってゆきます。

 これをどう打開するかいまだ解決がつきません。 人が替わればとも思い担当を替わってもらったのですが、うまく行ってないように 見えます。 皆さんはどのように工夫されているのでしょうか。


 こんにちは。 蜂谷一彦@福岡と申します。

 増田@YCC様、 私の間違いを御指摘してくださって、ありがとうござい ました。 いいかげんな言葉遣いをしてしまい、すみませんでした。

増田さんwrote:
>揚げ足を取るようですみませんがマッシャーなどは『制動(ブレーキ)』
>用であって『確保』用ではないですよね。
>
>(中略)
>
>すみません、これも片方には動くが反対方向にはロックして動かなく
>なるシステムであって『制動確保』ではありませんよね。
>
>すみません、嫌味な奴と思わないでください。
>このMLを読んでいろいろと学ぼうと思っている初心者の方もいらっしゃ
>るので誤解を招かないように言葉の定義をはっきりしたいのです。
 ハイ。まったくその通りです。『制動』と『確保』の定義を混同して 使っていたうえ、ロックするシステムに対して、間違った言葉使いを してしまいました。申し訳ありません。 御指摘いただいた方に対して、「嫌味な奴」と思うなど、とんでもない ことですし、むしろ、ありがいことだと思っています。 私自身、いろいろと学びたいと思っている「初心者」でありますので、 エキスパートの皆様からみて、まちがっていると思われる言動や行為に 対しては、容赦なく御指摘して下さると幸いです。

 特に、レスキュー技術のこととなると、他人ならびに自分自身の命が かかっているわけですから、言葉一つをとりあげても、正しい認識が 無いと、誤解が生じて事故再発に直結してしまうと思いますので、 今後は、「用語の定義」に充分注意して、発言するよう心掛けます。

 あっ、あと、「マッシャー」や「バッチマン」にテープのシュリンゲ を用いる方も多かったですね。忘れていました。 増田さんが仰有るように、「表面積を大きく、そして、しなやかに」 という効果を考えると、テープのほうがいいのでしょうか。

増田さんwrote:
>始めの2〜3年は皆珍しさもあって熱心なのですが、数年たつと参加者
>はどんどん減り、講習もだらけてきます。
 これも、私のような初心者にとっては、貴重なアドバイスです。 数年たったあと、自分自身が「だらけ」てこないように、気を引き締め たいと思います。

有持さんwrote:
>どこかのゲレンデの帰り際にでも、何か1つの訓練を実施していれば、
>忘れることはないのではないでしょうか??
 はい、そうですね。いつもゲレンデでは、登る楽しさに目を奪われて ばかりいるので、今後は、「何か1つ訓練してから帰る」ことを意識 してみようと思います。

 皆様、今後とも、いろいろと御指導ください。よろしくお願いします。


 増田@YCCです。

> 増田@YCC様、 私の間違いを御指摘してくださって、ありがとうござい
> ました。 いいかげんな言葉遣いをしてしまい、すみませんでした。
 いろいろさしでがましいことを言ってすみません。 つい黙っていられない性分でして。 「口は災いの元」とは私のためにあることわざです。

> 御指摘いただいた方に対して、「嫌味な奴」と思うなど、とんでもない
> ことですし、むしろ、ありがいことだと思っています。
 ほんとですか〜?そう言っていただけるとありがたいです。 山で会っても決して石なんか投げないでくださいね。 そういえば、最近不可解な落石にときどき見舞われますが。

> あっ、あと、「マッシャー」や「バッチマン」にテープのシュリンゲ
> を用いる方も多かったですね。忘れていました。
> 増田さんが仰有るように、「表面積を大きく、そして、しなやかに」
> という効果を考えると、テープのほうがいいのでしょうか。
 アメリカやカナダで技術書立ち読みするとテープもよく使われていました。 私自身も、「狭いところに通しやすい」「タイオフしたとき緩みにくい」「結 び目がかさばらない」等の理由でテープしか持っていません(例外としてリン グの欠損したボルト用に3mmナイロンまたはケブラーコードを持つ場合あ り)。

 このまえロープが回収できなくなって50mいっぱい15mmテープのカラビナ バッチマン(でいいのかな?)で登り返しましたが問題なかったので大丈夫で しょう。

 むしろ私は6〜7mmロープを使ったことがないので比較はできません。 ただし、ロープもテープも種類を選ぶでしょうね。

> 増田さんwrote:
> >始めの2〜3年は皆珍しさもあって熱心なのですが、数年たつと参加者
> >はどんどん減り、講習もだらけてきます。
> 
> これも、私のような初心者にとっては、貴重なアドバイスです。
> 数年たったあと、自分自身が「だらけ」てこないように、気を引き締め
> たいと思います。
 難しいですが、がんばってみてください。 いくらきれいごとを言っても登り続けていれば事故は必ず起きます。 だとすれば、備えるしかありません。

> 有持さんwrote:
> >どこかのゲレンデの帰り際にでも、何か1つの訓練を実施していれば、
> >忘れることはないのではないでしょうか??
 う〜ん、さすがですね。ついアフタービールに気が行ってしまいそんなこ と考えてもみませんでした。

 有持さん、山岳スポーツセンターで訓練することは考えたことがありませんで した。 たしかに都合のよい形状で確保条件もよいので次回は考えてみます。


 有持です。

 増田さん、こんにちは。

> う〜ん、さすがですね。ついアフタービールに気が行ってしまいそんなこ
> と考えてもみませんでした。

 私が救助技術を覚えたてのころは、帰り際によくやっていました。どうせ 岩場から懸垂下降するなら、パートナーを背負って降りれば訓練になりま すし、ゲレンデのハングで力つきたパートナーをどうせ降ろすなら、回収す る訓練を合わせてやれば時間も無駄になりません。(^^)

> 有持さん、山岳スポーツセンターで訓練することは考えたことがありませんで
> した。
> たしかに都合のよい形状で確保条件もよいので次回は考えてみます。

 今までは、三ツ峠や広沢寺などの岩場でやっていましたが、訓練場所に 登り返す時間が無駄になるし、テラスも狭いので人数が多い場合は、解説 しながらの訓練が難しくなります。

 前に、三ツ峠の四季楽園の正面にあるセストグラフィティストのハングで トップを宙づりにしておいて、テラスまでの回収の訓練をしていた時の事で す。

 しばらくすると、四季楽園にいた登山者が我々が事故を起こしたと勘違い をして騒ぎ出したと言うこともありました。(^^;;;

 すぐに回収したので、大騒ぎにはなりませんでしたが、70m近い岩壁 に宙づりにしてあるので、知らない人から見れば事故を起こしたとしか見 えなかったのでしょう。小屋に一言言っておくという配慮が足りませんで した。(^^;;;

 山岳スポーツセンターの壁なら、救助訓練用の壁が2面あるし、人数が 多くてもスムーズな訓練が可能です。それに、実際に救助している場面 を色々な角度から見る事ができるので、いい勉強になると思います。

 貸し切りには予約が必要ですが、救助訓練用の壁はあんまり使う人が いないので、たいてい開いています。

 それに、宿泊施設もあって1泊3000円で泊まれます。調理器具や食器 など全てそろっているので、材料だけ持参すれば宴会ができます。

 我々も、前夜は宴会をして翌日に訓練をしました。

 是非、一度使ってみて下さい。(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)


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